第四章 九話 急転
すみませんしばらく投稿できませんでした。
投稿できなかった理由はスランプとかそんな高尚なものではなく、ただリアルが忙しかったその一点につきます。
これからは不定期投稿になります気が向いたら見てやってください。
ひとまず少女を追いかけた。
追いついたところで何がどうなるわけでもないが、なんとなく追いかけたほうが良いような気がした。
消防士の話を完全に信じるのであれば放火に関係ある可能性が高そうだ。
まあ、どちらにしろこの少女は夜遅くまで街を徘徊している可能性があるためそういう意味でも少女を追いかける。
狼形態で、
狼単体であれば犬と勘違いしてくれる人も多い。
狼だと一番のネックが保健所の人だ。
気がつくと追い詰められているのだ。
ある意味、鬼より怖い人たちである。
そんな危険を冒してでもわざわざ狼形態になったのには理由がある。
人の姿のままだと警戒されるか、また、逃げられるかもしれないからだ。
もちろん、追いかけて捕まえることは簡単にできるだろうが見た目が最悪だ。
少女を追いかけて捕まえようとする男、この言葉が端的にそのひどさを表している。
狼とは言え、犬のようにふるまえば犬と勘違いされることはよくあることなのでそれを利用しようということだ。
少女は、きょろきょろと周囲を警戒して歩いているように見える。
すると唐突に人気がない民家の敷地内に入り込んだ。
何をするつもりだ? ……まさか。
そう思いながら少女の動向を屋根の上から見張る。
いや、ほら、例の人たちが怖いとかそういうのではなく少女に気が付かれないようにだぞ?
少女は当たりを警戒しながらも鞄から袋を取り出した。
なんだろうか?
と凝視していると少女は黒い袋をめくる。
すると中から黒い物体が出てきた。
少女はそれに齧りつく。
何かよくないものを見たような気分になるが、そこまで酷い奇行ではない。
しかし、どう話しかけたものかと思った。
しばらく、少女の様子を見続けて少女が民家を出た時に話しかけようと思い至った。
思考がまとまったその時、数軒先の家から火の手が上がったのである。
どうやら少女もその日に気がついたようで黒い物体を袋に慌てて戻し逃げ出す。
少女を捕まえるか火の手が上がったところを見に行くか一瞬迷ってしまった。
その間に思いもよらない事が起きた。
「やっと見つけた」
下校中に出会った。
消防士の青年が現れたのである。
青年消防士は、笑い出す。
「くはははっははははははは!
ようやく見つけたよ。
見てはいけないものを見てしまった君を見つけるのは大変だったよ」
青年が言い終わるが早いか少女が走り出す。
しかし、青年はあっと言う間に少女に追いつき捕まえる。
「ダメダメ、逃さないよ」
そして、少女が声をあげようと息を吸い込むと今度は青年が少女を押し倒して口を塞ぐ。
「それもダメだよ。
まあ、心配しなくても良いほんの少し熱いだげっ!?」
少女にまたがる青年って絵は傍から見ると最悪の一言だった。
ので、青年消防士を蹴り飛ばした。
もちろん人形態で、
「か弱い女の子に何やってんだ? クソ野郎」
「ガフッ、き、君は、ふん、ついてないな。
また殺さなきゃいけないやつが増えた」
青年がそう言いながら立ち上がると同時にあたりに霧が立ち込め始めた。
「全く、せっかくおもしろい力を手に入れたのに目撃されるし、目撃者を消そうと思ったら今度は邪魔者が増えるしめんどくさいなぁ!」
そう言って青年が手をこちらにかざしてくる。
「まあ、最も誰も信じちゃくれないだろうねこんなことをしても、さっ!」
青年が言い終わる前に少女を抱えて横に躱す。
すると青年の腕から炎が飛び出してきた。
「へえ? 面白いね。
コレを避けるなんて、まさか、君もこちら側の人間かい?
それなら少し面倒だなっ!」
今度は両手をこちらにかざしてきた。
とっさに少女を抱えながら躱すが、腕を炎がかすめる。
くそっ! 少女をかばいながらでは分が悪い!
「ふふ、このまま焼け死んでくれるかい?」
そう言いながら青年は腕から炎を吐き出し続ける。
このままでは、言うとおりになるが、そうはならない。
なぜなら
『急々如律令 断絶結界』
絶縁結界とは違い前面に見えない壁を出すタイプの結界だが、効果は絶縁結界より上だ。
結界というより障壁といったほうが正しいのだが、まあ、細かいことは気にしない。
「あ!? なんだってんだくそ! ぶっ殺してやる」
青年は今度は両手を前に出す。
そして、
「っち、仕方がねえな覚えてろよ!」
何かに気がついたかと思うと一目散に逃げ出したのだった。
一体何だったのかと思うと後ろから威圧感を覚えたので振り返ると
「おい、犬、こんなやつに何故遅れをとっているんだ?」
御剣の登場である。
拙作をお読み下さりありがとうございます。




