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第三章 三話 プリン事件

ストーリーとは関係ない話が入っています。

のじゃロリの扱いが徐々に悪化していく……

 姉の友人である九段綾が不良どもを撃退した後、彼女は俺の家までついてきた。


「ひさしぶりねぇ、あれからどれくらい経ったかしらぁ?」


 なんてことを言いつつ家に這入り込む。


「おいっ! 何勝手に入ってるんだよ!」

「へ? か弱い女性を不良から助けてお持ち帰りでしょう?」

「お持ち帰りって……、そもそも助けてねえよ」

「助けてくれようとしたでしょう?」

「それはそうだが、助けれてねえし」

「結果は良いのぉ過程が大切!」

「いや、結果が全てだろ」

「よく言いました。

 結果、私は惚れました」

「な!」


 やべえ、お持ち帰りの方向から変えられない!


「お持ち帰りされたって噂流しちゃうよぉ?」


 しかも脅しまで


「何がしたいんだよ九段さん」

「綾って呼んで?」


 グイグイ来るな。


「はあ、……綾さんで勘弁してくれませんか?」

「う~ん、仕方がないなぁ」

「何でまたあんなところで不良に絡まれてたんですか?」

「なんでって言われてもねぇ。

 私が美人だから?

 それともこんな体かしら?」


 あざとく首を傾げ、左腕で支えている胸を若干程度持ち上げる。

 縊れているウエストを歪ませて腰に手を当てる。


「ドヤ!」

「うん、その言葉は口に出すものじゃないと俺は思うんだ」


 しかし、ドヤ顔ではない。

 どっちかというとエロ顔だな、妖艶な笑みだ。

 まあ、彼女が魅力的な体の持ち主なのは間違いないだろう。


「いや、そうじゃなくてこんな田舎に何の用なんですか?」

「昔なじみに用があって来たのだけど、いないわね」

「いませんね」

「仕事中?」

「そうですね。 そう言えば綾さんはどんな仕事を?」

「占い師?」

何故なぜに疑問形なんだよ」

「だって占いなんてしてないし」

「じゃあ、占い師と答えた!」


 もう愕然とするしかねえな。

 姉ちゃんの身の回りにはこんなんばっかか。


「いつの間にかそう呼ばれるようになったの」

「さいですか」

「たっだいまーなのじゃ!」

「おかえりみ」

「人の名前を挨拶に組み込むのは辞めるのじゃ!」


 毎度お馴染みののじゃロリである。

 とある事件で家に泊まることになっている居候である。


「む? な、なんと! 女子おなごを連れ込むようになるとは!

 これは結殿に伝えなければ!」

「おい、待てのじゃロリ」


 しかし、俺の声を無視してスマホに何かを入力する。


「ちっ」

「お! 返ってきた」

「『お! 返ってきた』じゃねえよ」


 俺はのじゃロリの頭を鷲掴みにする。


「いだだだだ! 何するのじゃ!」

「それはこっちのセリフだ!」

「せっかく彼女が出来たことを報告してあげようとしているのじゃ! ありがたく思うのじゃ!」

「お前は近所の噂好きのおばちゃんかよ」

「ところで、そこのお主の名前は何なのじゃ?」

「え? 私?」

「おい」

「いだだだだだ! 何するのじゃ!」

「人の話を聞け」

「私の名前は九段綾よ」

「ありがとうなのじゃ!」

「何で答えてるんですか!」

「まあ、私の名前を聞けば納得すると思うけど?」

「そ、そうですかじゃねえ!」

「頭が割れるのじゃぁあああああああああ!」


 一瞬妖艶な笑みに押されかけたが手に力を込めて踏ん張る。

 のじゃロリの頭を掴んでいる右手に力を入れているが、声を上げているのとは対照的にスムーズにスマホを操るリミ。


「何がお前にそこまでさせるんだぁあああああああああああああああああああああああ!」

「プリンの恨みなのじゃぁあああああああああああああああああああああああああああ!」


 アイアンクローが効かないのかこいつ、いや、叫んでるし効いているはずなんだがスマホを意地でも離さないつもりのようだ。


「プリンってお前何のことだ!」

「しらばっくれるでないのじゃ! 結殿に儂の残しておいたプリンの在り処を聞いた時の儂の絶望を味わうのじゃあああああああああああああああだだだだだだだだだだだだだ!」」

「それ食ったの間違いなく姉ちゃんだからな!」

「嘘を付くでない! 『美味しく頂い……てたわよ』とか言っておったのじゃ」


 いや、姉ちゃん食べてるでしょ。

 見るに見かねたのか綾さんもリミの勘違いを解くべく尋ねた。


「はあ、空になったプリンの容器が結の前に置いてなかった?」

「置いてあったのじゃ! こやつに食べられた儂のプリンの残骸が!」

「けどおかしくない?」

「何がなのじゃ?」

けん君が食べたのなら容器はゴミ箱の中にないとおかしいでしょ?」

「捨て忘れたに決まっているのじゃ」

「けど結の前に空の容器があったのでしょう?

 なんで結が食べてないと思ったの?」


 当然のことを尋ねる綾さん。


「結殿がもう一つプリンを食べていたからなのじゃ」

「でもそれは姉ちゃんが食べてない事にはならないよな」

「まさか大神殿は結殿が禁を破ったと?」

「そうだろうな」

「そ、そんな、なのじゃ」


 両手を床についてがっくりするのじゃロリ。

 orzな姿勢だ。

 そんなのじゃロリからスマホを取り上げて姉に正確な報告メールを送る。


 全く、組織でも姉に踊らされてるんじゃないだろうな。

 のじゃロリを若干不憫に思いつつ、しかし、毎回だまされるこいつもこいつなのでフォローはしない。

 とりあえずは姉の友人であり、謎の巨乳美女、九段綾の話を聞くことにした。

 昔馴染みに用があるという事についてね。

拙作をお読み頂きありがとうございます。

次回、葬儀屋さんが来ます。

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