第二章 三話 二人の転校生
あけましておめでとうございます。
今年はじめての投稿。
新年で新キャラですよ。
そして次回予告の実装
さて意味があるのかないのかで言えばないかも
その日はクラス中が騒然となっていた。
クラスは二つの人だかりができていた。
一つは小柄な少女を中心にもう一つは大柄な女子を中心に集まった人だかりだ。
小柄な少女のほうには男子が多く、大柄な女子のほうには女子が集まっている。
いつもと違う光景に何とも落ち着きが無いことだと思いながらも高校生活の中で数少ない刺激に自分もそわそわしていることに気付いた時に、「まあ、仕方がないよな」と都合のいい思考をして、この騒動のもととなることを思い出すのであった。
それは、今朝のホームルームのことである。
寺原先生から転校生の紹介があったのだ。
転校生は二人、一人は、尾崎弥子、もう一人が大賀照虎という名前で両方とも女の子であった。
尾崎弥子は、大和撫子よろしく清楚な雰囲気を纏う長髪美少女だ。
和服が似合う小柄な体格であり身長は140cmぐらい肩幅も狭く守りたい系と言われれば納得せざるおえない。
顔も整っており、切れ長の目に口角を少し上げて常に微笑みを浮かべている。
大賀虎子は少々気難しそうな表情をしているが、動きがぎこちないところを見るに緊張しているのだろうと推測できる。
大柄な体格をしており尾崎弥子とのギャップもあり大女という印象を受けた。
そして、体つきが体に応じて全体的に大きくなっている。
具体的には、巨乳と言って差し支えないほどの胸と胸に押されて制服が大きく膨らんで分かりにくいがくびれたウエスト、そしてあの脚で蹴られたら痛いではすまなさそうなふとももだった。
表情がぎこちないが、短髪とどことなく幼さが残った顔つきが、彼女の性格を表しているように感じる。
「二人とももともと同じ学校で友人同士だそうだ。
たまたま。親の都合が被り同じ学校に通うことになったそうだ。
いやあ、偶然ってあるもんだな。
両方とも美少女だ、思春期男子どもにはちょっとばかり刺激がある子達だが仲良くしてやってくれ」
寺原先生はいたずらな笑みを浮かべて二人を紹介した。
そして、冒頭の状況に入るのである。
俺としてはあまり人にかかわることは良しとしない。
もちろん、必要最低限の付き合いはするつもりではあるが、『仕事』があるので遊び友達というものは居ない。
なので、転校生に全く興味が無いと言えば嘘になるが、変に校内の案内人として抜擢されないよう小さくなっていた。
しかし、担任の寺原先生がそれを許してくれなかった。
「この二人の案内は大神に任せる。 大神放課後に残るように」
「は?! なんで俺なんだよ! そこに候補がいっぱい固まってるだろ!」
「生徒会役員でもないのに生徒会室に出入りしているような輩はお前ぐらいだ。 ついでに生徒会長にも顔を通しておいた方がいいだろう?」
だろう? っていやいや。
「なあ、誰か代わらねえか?」
と同級生たちに美少女と関わるチャンスを与えるが、
「大神が案内するなら、まあ」
「大神君ならいいよ」
「大神なら問題ない」
「大神君ちゃんと案内してあげてね」
といった感じだ。
いやいや、普通はそこみんなして代わろうとするだろうに。
「まあ、生徒会長と付き合っているお前なら問題あるまい」
「いや、何言ってんすか先生、付き合ってないってさんざん言ってきたでしょうが」
「ふふ、まあ、休日にお前たち二人がよく目撃されているんだ。 諦めたまえ」
と最後誤解を受けるような事で脅されて諦めを促されて撃沈するしかなかった。
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放課後、二人を連れて校内を案内することになり最初に生徒会室に向かったのである。
生徒会室の扉をノックしてどうぞと声がかかったので中に入る。
「あ、大神君今日はどうしたの? 転校生の案内?」
うん、疑問形の意味。
「ああ、そうだ。 一応伝えとこうと思ってな」
「さっさと案内しに行ってきなさい犬、女の子を待たせるような真似はするなよ」
「は……、犬じゃねえ大神だ」
やべえ、ちゃんと返さねえとそのうち犬で返事しそうだ。
幸い? 生徒会には俺を除いて今三人しかいない。
一人は最初に質問を飛ばしてきたおっとり系美少女で名前は岩手千秋、生徒会長だ。
そして人のことを犬呼ばわりするのが、御剣刀子。
悪いやつではないのだが、今の状態ではなぜか口調が悪い上に犬呼ばわりしてくる。
そして、いつも生徒会室で寝てる出雲寝瑠だけだ。
寝瑠は今日も寝息をたてている。
「そういうわけで今日は、一人で帰るわ」
「うん、わかった」
「じゃあ、また明日な犬」
「犬って言うなしせめてケンとか言えし」
そう言って俺は生徒会室を出る。
悪意は無いのは知ってるのだけどなあ。
「お待たせしました」
生徒会室前で待たせていた二人に声をかける。
「いや、いいよ。 こっちは案内してもらう方ですしな」
意外なことに清楚系と思っていた尾崎さんの話し方が関西弁だった。
何気にギャップがある。
大賀さんの方も関西弁なのだろうか?
「はよ、案内して」
せっかちだな。
大賀さんのほうはさっきから一向に話さないことが気になるが、まあ、やることはやろうか。
「とりあえずここが生徒会室、一般生徒は関係ないですが、まあ知っておいて損はです」
そう言って、学校中を案内して周った。
「ところで、大神君が生徒会長付き合ってるってほんまやったん?」
「いや、男女の付き合いというものはないですよ」
「え~、そうなん? がっかりやわ~」
「がっかりって」
「生徒会長のこと聞きたかったのに」
「それって、どういう?」
「生徒会長意外と有名な知らんの?」
「ああ、なるほど、テレビで知ったのですか」
たしかに一時期、テレビに取り上げられたりはしたが、あの程度で有名ってことになるのか?
「いやいや、知らんのやったらいいわ」
「テレビじゃないところで有名?」
「だからいいって、しつこいと嫌われるで」
そっちから振ったんじゃないか。 はあ、
「そうですか、ああ、そこが音楽室です」
「なんや、普通の音楽室やな」
「学校に奇抜さを求めるなよ」
「くはは、ええツッコミや」
いや、そんなことを褒められてもうれしくはない。
それと、さっきか大賀さんが喋らないから若干居心地が悪い。
「ああ、照虎、ほら、ここが音楽室や、なんか質問ある?」
こちらの視線を追いかけてうなずいた尾崎さんが気を利かせてくれた。
「え? ああ、うん、大丈夫」
なぜかおとなしい大賀さん、照虎って名前負けしてない?
元気っ子なイメージが崩れるな。
「なんや、まだ緊張してんのか」
呆れたように尾崎さんが言う。
「そのうち、緊張も解けるでしょうし、まあ、付いてきてくれれば問題ないです」
「なあ、あんたの喋りどうにかなれへん?」
「え?」
「そんな、他人行儀な喋り方されてたらいつまでたっても虎子の緊張解けへんわ、さっきのツッコミみたいな口調でいいから」
そんなものか?
あと、ツッコミって関西人ってやっぱり日常的に漫才でもしてるのか?
「それじゃあこんな感じでいいか?」
「ん、それでいいわ」
そうして、案内を続けて最後に着いたのが職員室前だ。
もちろんそういうふうになるように案内していたわけだ。
「で、最後に、ここが職員室、なんか、困ったことがあって先生がどこにおるかわられへんかったらここに来たらいい」
ん? なんか違和感が
「そうか、わかったわ、案内ご苦労や、ほら照虎も」
「ありがとう」
「はあ、ほんまごめんな。 もっと元気溌剌な子やねんけど、まだ緊張解けんみたいやね」
「まあ、おいおい慣れていけばいいさ」
「そうか、ありがとうな、最後にお願いあんねんけど」
「なんだ?」
「教室まで連れてって」
ああ、鞄を持って校内をうろちょろするわけにもいかないし置いて来たんだっけ、鞄を取りに戻らないといけないか。
「って、まだ教室の場所覚えてないのか」
「しゃあないやん、そんなすぐに覚えれるほどあたしの頭は良うないからな」
「そうか、まあ、どっちにしろおれも取りに戻らないといけないしな」
「そやそや、さっさと案内してえな」
「はいはい」
そうして二人を教室まで連れていく。
拙作をご覧いただきありがとうございます。
必要以上に喋る人って案外適当なことを喋っているか考えながら喋れる人かですよね?
考えながら喋るってどうやってるか見当がつかない。
ひとまず次回予告
再び現れる霧の怪異
富岳大聖を出雲寝瑠に替えました。
ふがくんいつの間にかいなくなってました。




