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大熊召喚

さてお話も終わりに近づいてきました。


 翌日、昨夜姉に事の顛末を話しそして、解決策を聞いた。

 実は、一度解決仕掛けていたのだ。

 リミの話を気にせずに神社の前で召喚すれば喚び出すことができるそうだ。


「神殺し? ふふ、神社がある神はその神社がある限りは死んだりしないよ。

 アホのじゃは土地神モドキを退治したことがあるから勘違いしたんだろうな。

 その時は怒られる程度で済んだのだが、まあそんなことがあったから気が気でないんだろう」


 だそうだ。

 骨折り損というか何ていうか。

 そういうわけで、そのことを会長と刀子さんに伝える。

 場所はもちろん生徒会室だ。


「今回の霧の怪人はあのリミという少女らしい、霧の発生のさせ方まではわからなかったけれど、これからは霧の怪人が出ることはなくなるだろう」

「なんか拍子抜けだね」

「そんなもんだろ」

「ややこしい人物でなくてよかったというところですかね」


 まあ、まだ気になることが無いわけではない。

 会長と刀子さんが行き遭った大きい赤子。

 その正体は何だったかはわかっていない。


「会長的にはまだ気になることはあるか?」

「ううん、今のところは大丈夫だよ」


 我慢出来るのはいいことだな。


「今日は召喚を放課後に行うから神社の前に集合でいいよな」

「うん」

「ああ、問題ない」

「じゃ、俺は先に召喚の準備をしておくよ」


 そう言って生徒会室を後にした。



---



 召喚の準備を終わった頃、日も沈む少し前、会長と刀子、そして今回の元凶のリミが集まった。

 神社の目の前にリミを置き向かって右を俺が、左を刀子さんが固める。

 まるでリミが罪人のような立ち位置だが、まあ仕方がないだろう。

 生徒会長は結界の外から心配そうに見ている。


「花楽里鳴知さん準備はいいですね」

「う、うむ」

「刀子さんもいいですか?」

「ああ」


 リミは今回、加害者だ謝る必要がある。

 その為、彼女は地べたに正座だ。

 見ているだけで痛々しい。

 この正座は彼女自信が反省して自ら行っていることだ。

 流石に少女姿の子にそんなことは強要できない。

 刀子さんは不測の事態に武力介入してもらう。

 土地神と同等の力を持っているので問題ないだろう。


祝詞のりとを唱えますので静粛に」


 そう言ってみんなを見回す。

 全員頷いたことを確認すると、熊さんを喚び出す祝詞を唱える。

 ただ、ここでよく勘違いする人がいるのだが、式神を使役するよに喚ぶのではなく、あくまでお越しいただく必要があるのだ。

 あくまで下手においで頂くように喚ぶのだ。


「古くは、我が同族を喰らいし大熊よ、その所業により命を落とし、しかし、自らの行いを憂いてこの地を治めし神よ。 今一度、この身の前にいずれい出てその姿を晒し給え、遠き地の魚をもってここに立つものの願いを受け入れ給え」


 言った内容は「あなたの所業は知っている、お土産持ってきたから会ってください」というふうになっている。

 傍から聞くとむにゃむにゃとしか聞こえないように言っている。

 人の恥となることも神の恥ともなることを言うので神にさえ届けば聞き取りづらくてもいいのだ。


 祝詞を唱え終わるとすぐにリミの前に光が集まり熊の姿を象っていく。

 光が弾けるように霧散すると目の前には確かに3メートルはあろう大熊が座っていた。


「おう、何じゃ己等は」

「初めましして、土地神様、私の名前は、大神犬太郎おおがみけんたろうといいます」

「おう、で何の用じゃ」

「こちらに座っているものがあなたに危害を加えてしまったようなので謝りに来ました」


 ちらりとリミを見る。 緊張して肩に力が入っている。

 被害者とそれも力のある者との面会だ緊張もするだろうな。


「おう、お前はあの時の……。 いや、今回は許そう」


 あっさりとお許しをもらった。


「いいのか?」


 そう聞いたのは他の誰でもなくリミその人だった。


「おう、正直暴れてたことは覚えてるのだが、なぜ暴れてたかを思い出せん」

「私がしたことで怒ったわけじゃ」

「もともと暴れてた矛先がお前のほうに向いただけでお前の所業に問題はないわい、反省しとるじゃろうしな」


 リミは胸を撫で下ろしたようで大きく深呼吸をして


「このたびはご迷惑をおかけいたしました」


 頭を下した。

 DOGEZAである。

 すげえ初めて見たよ。


「おう、次からは気を付けろよ」

「すみません土地神様」

「おう、まだ何かあんのか?」

「なぜ暴れていたか全く見当つかないのですか?」

「おう、全く見当つかん」


 なんか中途半端な終わり方だな奥歯にものが挟まったみたいな感じだ。


「おう、もう用事はないな!」


 そういって大熊は光になって霧散した。

 口調が神様じゃねえしとか思ったのは秘密だ。

 まあ、とにかく心配は杞憂にすんでよかった。

 これから姉に報告しなければならないこと考えるとぞっとしないけれど。

拙作をお読み下さりありがとうございます。

不思議現象の正体を突き止めて解決しましたが、謎が残りました。

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