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霧の迷子

怪異よくわからないものとの遭遇です

 それは、赤ん坊だった。

 ただし、大きさ的には本来の大きさの10倍はある大きさだ。


「セコか?」


 私が知っている妖怪で人を迷わせる子供の姿をした怪異といえばセコだ。

 しかし、あまりにも大きすぎる。 このぐらいの大きさのセコはいないはずだが、


「まあ、考えても仕方がない。 イワシはいるかい?」

「刀子ちゃん!?」


ああ、岩手会長は知らなかったっけ


「あれは、セコという妖怪に似ています。 セコという妖怪は子供の姿をしているそうなのであっているかと。 そしてセコはイワシが嫌いだとか」

「なるほど、でもなんでだろ?」

「思いつくかぎりでは、子供が魚ぎらいになりやすいからかな?」


対策としては一番お手軽だけども


「効いてる感じしないよね」


大きな赤ん坊は、私たちの進路を塞ぐように四つん這いで止まっている。


「あるいは、大きい赤ん坊姿をしたセコの話は聞いたことありませんのであるいは、狸か狐か猫が変化した可能性もありますね。 ヤコとか迷わせるだけの狐の妖怪である可能性もありますが」


 そもそも大きい赤子の怪異など聞いたことがない。

 しかし、今行く手を塞いでいる大きい赤子が居る。


「困りましたね」

「鮭、クマの神さまに届けないといけないのにね」

「そもそも、こういう怪異は山の中で出てくるものが多いのです」


 目の前に居るのはわかったのはいいがおそらくこの結界から出た時点でこの赤子の姿は霧散してしまうだろう。


「おい、そこの者、ソナタは何者だ!」


 問いかけてみるが


「無視だねあれは」

「全く、しかしこのままでは「ああう」


 不意に赤子がこちらを向く。 怖っ!


「反応したの?」

「おそらく」


 赤子はこちらを向いたまましかし、その場所から離れようとしない。

 赤子の姿をしているだけで十分に薄気味悪いのに、と思っているとこちらに赤子が歩いてきた。


「刀子ちゃん近づいてくるよ?」

「そうですね。そんな簡単に危害をくわえてくるなど滅多にありませんし、もし仕掛けてきたとしても結界がありますから安心してください」

「そう?」


 ひとまず、あいつの気をこちらに引くことには成功したが、もし結界から出てもまた見えなくなるという可能性もなくはない。

 でかい赤ちゃんはよちよち歩きで近づいてくる。

 私は隠していた刀を赤ちゃんの方からは見えないように構える。

拙作をお読みいただきありがとうございます。

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