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ドラゴンに会いました。
人はふざけてるとしか言いようがない光景を見るとなにも出来ないんだと改めて思った。
『グルルルルルル』
黒い鱗、黒い爪、黒い翼、黒い角、黒い牙。
あらゆる部位が真っ黒に染まった巨大な体躯の生き物はこちらを唸りながら見下ろしている。その眼は赤い発光だけで出来ており、知性は感じず、まさしく獲物と捉えての眼だと思う。
まさかファンタジー世界の代表格に突然会うとは誰も思わないだろう、と言うか出会いたくもない。
「何なんだよいったい…」
そう小さく呟いた瞬間、目の前のドラゴンが咆哮と同時に黒い塊を吐き出した。
『ガァァァァァァァ‼︎』
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
何なんだよいったい⁈と心の中で叫ぶと反射的に後ろに逃げ出した。その直後背後で着弾した音が響き、爆風で俺の体が浮き上がるのを感じつつ、何でこうなったか必死に考え始める。
あれは大学が終わった帰りだっただろうか?