第二章 コドクトシンジツ
俺は、家にいた。
誰もいない世界で生きていく覚悟を決めて。
「さて・・・この発電機を使うかな」
俺は、もちろん発電機の使い方なんて知る由もなかった。
「クソ・・・使い方が全くわかんねぇ」
なんとか試行錯誤して発電機を起動させたときにはすでに日は落ちていた。
「この世界に来て二日たったのか、早いもんだな・・・」
発電機を起動させたのは、俺にとってかなり気分的によいものとなった。
「やっぱり、光がないとな」
「これで、食料の貯蔵が可能になったな、明日は食える飯を探すか」
「水回りやガスコンロとかもあるといいな」
俺の気分はまるでサバイバルにでもきたようなものだった。
「とりあえず、今日は寝ようかな・・・」
――――――翌朝
目が覚めて目の前を見ると、あの少女がそこにいた。
「・・・どうした?」
俺はぶっきらぼうに少女に聞いた。
「この世界は・・・楽?」
「・・・ああ」
「この世界に来てよかったと思ってる?」
「ああ、今は思ってるよ。俺の願った世界だしな」
「あなたに・・・この世界の真実を伝えなければならない」
「この世界は、あなたの“願い”という名の“罰”だといったけれど、それだけじゃない」
「どういうことだ?」
「あなたは・・・もし自分と同じ“願い”を共有する人がいるなら・・・って考えたことはない?」
「いや・・・ないな」
「・・・そう、この世界はね同じ“願い”をもしも共有する“罪人”がいるならば世界を共有することができるのよ」
「つまり・・・孤独ではなくなると?」
「・・・そう」
俺は嫌悪感とともに安堵も抱いていた。
何もすることがない、この世界は退屈でしょうがなくもあったからだ。
「それと・・・この世界はあくまで仮の世界であるから、そう長くもつわけでは、ない」
「なんだと!」
「たぶん・・・もってあと一週間」
「世界が消えたら・・・俺はどうなるんだ?」
「存在が・・・完全に消える」
「存在が・・・消える・・・」
「存在が消えたら・・・どうなるんだ?!」
すでにそこに少女の姿はなかった。
まるで伝えることを伝えるだけの伝令役のように・・・
――――――――俺は、どうしたらいいんだ・・・
楽園のように思っていたこの世界は、偽りの・・・仮の世界で
期限が過ぎると消滅し、俺も消える!?
そんなの・・・嫌だ。
まだ死にたくない、こんなとこでたった独りで死ぬなんて!
まだしてないことだって、たくさんあるんだぞ!!
俺はその場でうずくまり、すすり泣いていた。
「・・・脱出しよう・・・この世界から」
でも、どうやって?出口なんてあるはずがないのに
「・・・いや、ひとつだけあるか」
「あの少女の言葉の――――思い出して・・・か」
確かになにか引っかかる気はする。
しかし、“何か”がよくわからない。
「・・・とりあえず、飯とかの調達に行くか、残りわずかの日数ならなおさらだ」
俺は、飯や生活必需品、暇つぶしなどの道具をたくさん持ってきた。
幸いこの世界は電気や水道などは動かないが、店にあるものはそっくりそのまま再現されていた。
「まあ、これくらいあればたぶん大丈夫だろ」
いろいろなものをとって家へと帰った。
「さて・・・あの子について思い出すかな」
「・・・・・・・・あぁぁぁ、ってそんなことできたら苦労しねぇよなぁ」
「もう一つの言葉も気になんだよな・・・」
―――――――同じ“願い”を共有する“罪人”なら世界を共有することができる・・・
「“罪人”・・・か・・・」
「俺、そんな罪のつくようなことした覚えない気がすんだけどな・・・」
「あと、誰か来る可能性もある・・・ってか・・・」
「来る方法がわかれば、出る方法もわかるかもしんないな」
最初は、孤独の・・・たった一人の世界なんてとっても素晴らしい世界だと思っていた。
自由・・・そんな言葉が似合う世界だった。
今はそんな世界がとても恐ろしく感じていた。
自由じゃなくある意味束縛という言葉が似合うかもしれない。
「日も落ちたし、今日は寝るかな」
「明日はこの世界を少し歩いてみるかな」
そして俺は床についた。




