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第一章 ハジマリノウタ

――――――――――――――そこには誰も存在していなかった。

いや、消えたといったほうが正しいのかもしれない。


俺は普通の学生で、くだらない毎日をこなすように過ごしていたはずだった・・・

なのに、なぜこんなことになってるんだ!




3日前――――――


俺は、いつものように作業のように朝起きて、学校に向かい聞くだけ無駄なくだらない授業を

受け、家に帰りつく・・・・といった毎日を繰り返していた。


人ごみを避け、人を嫌い、常にたった一人で歩いていた。


そんな俺だった・・・・



「お兄ちゃん、なんで一人で歩いてるの?」

突然見知らぬ少女から話しかけられた。


「俺は・・・誰とも関わりたくないんだ・・・ほっといてくれ」


「ふーーん」

少女はつまらなそうな反応だった。


「じゃあさ、お兄ちゃんの願いって何?」

正直わけがわからなかった。

突然話しかけられたうえに“願い”なんて聞かれても、すぐには思いつかない。


「俺の願いは、世界から人類がいなくなることだ。俺以外のな」

思いつきで俺は少女に答えた。


「・・・・本当にそれでいいの?」

少女は小声でそう言った気がした。


「おい、それはどういうい・・・」

気づいた時には少女の姿はそこになかった。


「・・・疲れてんだな、俺」


家に帰ると、すぐに部屋で床についていた・・・


翌朝目が覚めると俺は、昨日のことについて考えていた。

もし・・・昨日の俺の“願い”が叶うならっと・・・


もし、世界に誰もいないなら俺はまず何をするんだろう?

何をしようが叱られることはないし、迷惑をかけるということも一切ない。


「・・・こんなありもしねぇことを、考えてもしょうがねぇか・・・」


そして、歯車のように生きる毎日が始まった・・・


夕方家に帰りつくと、手紙がポストに入っていた。

“あなたの願い、受け取りました”

それだけだった。

差出人も不明。意味も不明。


「いたずらかよ・・・今時誰もこんなことしないだろ・・・」

といいつつ、少し違和感を感じていた。

“願い”を受け取りました――――――


「まさか・・・な」

今、思うとこれがあの招待状だったのかもしれない―――


そして俺は部屋に入り、また床についた―――――――――



朝、目が覚めると、異変に気付いた

「人の気配が・・・ない??」

何かが、いつもと違った。


違和感を感じながらも、学校へと向かった。



「やっぱ、なんかおかしい」

完全に始業時間過ぎてるはずなのに、学校に先生も、同級生も誰もいなかった。


考えてみると、登校中も誰とも会うことはなかった。


「まさか・・・・ホントに願いが叶ったのか!?」

そう、考えると笑みがこぼれた。


邪魔だと思っていた、人間が世界から一人もいなくなったのだから・・・・


「クッ、クックック、クハハハハハハハハ」

「やったぞ、たった一人の世界だ!」


どこをいこうが俺の勝手だし、何をしようが誰も文句は言えまい!

“俺の世界”なのだから!


「っと腹が減ってきたな・・・」

「誰もいないなら、授業もないし家に帰るか・・・」


帰る途中にコンビニをみつけ、置いてあった弁当を盗んできた。

「誰もいないんだし、いいだろ」

そう、自分に言い聞かせ・・・


しばらく“俺の世界”にふけり、気づけば夜になっていた。


「帰るか」

家に着き、テレビをみようとした。


「あ、誰もいないなら放送もないのか」

「・・・・・・・寝るかな」


翌朝、起きて飯をとりに行こうとコンビニまで行った・・・が


「弁当が・・・腐っちまってる・・・」


空調がついていなかったのだ。

誰もいないのだから。


「・・・ちっ」

俺は舌を鳴らし、大通りのほうへ一人歩いていた。


「ん?・・・誰か・・・いる?」

まさか・・・と思った。

自分以外誰もいないはずなのだから。


それは、大通りの真ん中で立っていた。

・・・あの時の少女だった。


俺は声をかけようとその少女に近づき

「おい、お前なんでこんなとこにいんだ?ここは俺だけの世界だぜ?」


「それは違う」

少女は答えた。


「何?」


そして少女は続けた。

「ここはあなただけの世界じゃない。あなた以外の人類がきえたんじゃない。

あなたが世界から消えたのよ」

「“願い”という名の“罰”によって・・・ね」


「思い出して、私のことを、そしてなぜあなたが人を憎むようになったのかということを・・・」


「今、あなたはこの世界がとてもうれしいものと思っているかもしれない。・・・でも

時期に知ることになる、この世界の本当の恐ろしさを」


それだけいうと少女は消えていた。

何かを落として・・・

「これは、白い羽・・・?」

一応拾っておいた。


少女の言葉をきにかけつつも俺は、家へと帰った。


この“快適”と思える世界で、生きていくことを決意しながら・・・・


家に帰る前に飲み物と発電機を手に入れてきた。

「これさえあれば、まあなんとかなるだろ」


俺は、このときまだきづいていなかった本当の恐怖について・・・・

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