2012年12月の選挙について
これを書くべきかどうか、僕は非常に悩みました。政治には非常に多くの要素が存在していますが、その全てを僕が充分に把握し切れているはずもないからです。過去の実績を振り返るにしても、今は違っているかもしれないし、そもそも、与党になっていないと、その実績を正当には評価できず、そして与党を経験した事のある党は少ない。更に、僕が集めた情報が誤情報である可能性も否定できない上に、集め切れていない膨大な量の隠れた情報が存在しているだろう事も、また明らかだからです。
つまり、情報が不明確で、かつ不足した状態で様々な判断を下さなければいけない。それで、
「これではとてもじゃないが、読む価値のあるような文章を提供できないのではないか?」
と、そのように僕は悩みました。
ですが、ならば貝のように口を閉ざし、今重要な局面を迎えているこの国の政治に対し、何も言うべきではないのか、というと、それもまた違うような気がするのです。
「高齢社会に伴う逼迫した各種社会保障制度の問題、それに景気問題に外交問題。それらに大きな影響を与える選挙は決して、無視して良いものではない。
ならば、読む人が少しの関心を抱いてくれる切っ掛けになるだけでもいいから、選挙の参考になるような文章を書いてみようか…」
そう結論した僕は、やはり筆を取る事にしました。
色々と至らない点はあるかと思いますが、それを了承した上で読んでいただけるのなら、ありがたいと思っています。
では、始めます。
選挙投票へは行くべきです。
それが民主主義においての国民の義務でもありますし、投票へ行く層を観て、政治家は政策を決めたりもするので、はっきり言って行かないと損をします。ところが、
「何処に投票すれば良いのか分からない」
と、いう意見が選挙について多いのも事実で、残念ながら、「その通りだ」と同意するしかないようにも思うのです。
今までの実績を考え、駄目だった党(人)には、投票したくないし、「では別の所に……」と言っても、主張している内容が二転三転する人達だったり(反省して意見を変えるのは良い事ですが、それにしても限度というものがあります)、以前から国会議員をやっている人達だと、また同じ結果になるのじゃ?と不安になりもするでしょう。
そこで、僕個人の考えをまとめるという意味も込めて、選挙の争点について、簡単に語りたいと思います。
と言っても、飽くまで僕の知識の範囲内の話になりますし、できるだけ公平に書く努力はしますが、それでも僕の偏見や先入観が含まれてしまう事になるのは避けられないので、その点はどうかご了承ください。
まず、全体の話ですが、できるだけ選挙投票には行きましょう。特に、若い人達。若い世代の、投票率が低いとどうなると思いますか? 政治家は当選する為には、若い世代の事情を考慮しなくて良い事になります。結果、若い世代にとって過酷な政策が取られるなんて事も起こってしまいます(若い世代へ過剰な負担をかければ、当然ながら、社会は疲弊していきます)。
特に、今は“一票の格差”の所為で、地方にいる高齢者に有利な状況となっているので、投票に行かなければ、これがより悪化する事になります(“一票の格差”の弊害としては、他にも地方の無駄な公共事業を増やしている点などがありますが)。
因みに、つい最近になって、“一票の格差”は裁判所によって違憲と判断されましたが(ただし、次の選挙は違憲のまま行われます)、この“一票の格差”を利用して政権を築いたと言われる自民党政権時代は、不思議な事に違憲とは判断されませんでした。恐らくは、自民党が不利になるからでしょうね(三権分立が成立していないのじゃ?と不安になるエピソードですが)。
民主党政権は全体を観れば、とてもじゃないですが高く評価する訳にはいきませんが、少なくともこの点については、日本政治の膿を出せたと言っていいのかもしれません。
さて。
では個別に観ていきましょう。
まずは、公務員改革。
具体的に期待するべきなのは、公務員の年功序列制度の見直しを含めた給与削減でしょうか。
高齢社会で人口のピラミッドが崩れているので、高齢者への高い給与を支えられるはずがありません。しかし、公務員ではこれが維持されている。当然、人件費が高くなり、財政を悪化させます。しかも、高齢者は消費意欲が低いのが一般的なので、景気を悪化させる要因にすらなり得る(通貨は、消費する必要のある子育て世代に回すべき)。当然、手を付けなくちゃいけません。
もっとも、これが財政改革の決定打になるような事はないでしょう。人件費削減で期待できるのは、国と地方合わせてで、できたとして4兆円~5兆円といったところではないでしょうか(実質的には公務員と変わらない独立行政法人などの方々への支出削減も合わせるのなら、もう少しいくかもしれませんが)。
実績で観てみると、自民党は公務員の給与にはほとんど手を付けていません。民主党は少しはやりましたが、公約で掲げていた2割削減には遠く及ばない上に、年功序列を改める事はせず、逆に新卒の削減という若い世代から雇用を奪う方法を執りました(ただし、退職金の減額は決定されましたし、公務員宿舎の値上げなども行う方針のようです)。みんなの党はずっと公務員改革を訴えていますが、与党になった事がないので、当然実績はありません(ただし、自民党時代から勉強し続けてきたはずなので、その点は期待できるかもしれません)。
唯一、この点で充分に実績があると言えるのは、大阪府の改革を行った橋下さんで、“維新の会”をこれに含めるのなら、“維新の会”のみ、という事になりますが、最近は随分と様変わりしてしまったので、何とも言えません。
因みに、公務員は法律で守られているので、クビにできない、と考えている人がいるようですが、実はちゃんと認められています(ただし、デフレスパイラルの悪化を考慮するのなら、やるべきではないと思いますが)。
次に医療介護年金といった社会保障制度改革。
高齢社会の今は、この改革を避けられません。高齢者の増加に伴ってその額が大幅に膨れ上がっているからですね。
ただし、医療と介護については、雇用の創出に繋がり、それが若い世代への支援にもなるので、上手く“通貨の循環”を創るようにすれば、負担にならないように済むやり方は存在します(医療費や介護費などの支出は増えるが、同時に収入も増える)。
因みに、自民党は長い間、医療費の削減を実行しようとし続け、医療業界からの反発を招きました(また詳細は割愛しますが、その他の政策的な失敗もありました)。民主党は逆に医療予算の増額を実施したはずです(ただし、今後の方針としては、医療費の適正化を打ち出しているようなので、これからどうなるのかは何とも言えません)。
医師一人当たりの収入の増加は、もう必要ないと思いますが、医師数を増やして、過労問題に対処する必要はあると思います。
そして、医療や介護と違って、絶対に減らさなくてはいけないのが、年金です。少し調べてもらえば分かりますが、年金の格差、世代による不公平は、もはや犯罪的です。年金保険料をほとんど納めていないのに莫大な額の年金を受け取っている高齢者世代がいる一方で、年金保険料を納めている若い世代は貰えたとしても払った額に対してマイナス、最悪、それまでに制度が破綻して、一円も貰えないなんて可能性もあるのです。
しかも、高齢者は消費意欲が低いので、その高齢者に高額の年金を支払ってしまうと通貨が使われず、景気悪化の要因にすらなってしまう(個人的には、年金支給の上限を15万円程度にするくらいは必要だと思います。夫婦なら、二人合わせて30万。充分な額だと思うのですが)。
ところが、そんな状況であるにも拘らず、「年金の支給を減らす」と主張している政党が見当たらない。
確か、僕の記憶では“維新の会”が、まだ人気のあった頃に、「年金支給額の削減」を主張していたような気がしますが、人気がなくなると共にいつの間にか聞かなくなりました。代わりに相続税などの増税で、それを賄おうとしているようですが、増税による副作用は考慮されていないようです。
社会に与えるインパクトを考え、より安全にこの問題を改善するのなら、支給額を下げる方法が良いと思うのですが、それをしようとしなくなってしまった。
高齢社会の今に「年金支給額の削減」を主張すると選挙で不利になってしまうので取り下げて、高齢者の反発が少ないだろう別の(悪い)手段を執った。といったところでしょうか。ポピュリズムです。正直、民主主義制度の欠点が如実に表れているような気がします。
この辺りの話は、日本の国民性が試されているとも言えるでしょう。
社会保障と言えば、生活保護制度も問題ですね。各党、今は免除されている生活保護受給者に医療費を負担してもらう、現金ではなく現物で支給する等、色々と案が出ているみたいですが、個人的には、それら案に加えて受給者に対し研修を義務付けるべきだと考えています。業界は絞りますが、企業から求められた場合は、それに応じて研修をしなければならない、というような。
生活保護受給者の主役は高齢者なので、無理があるのではないか?と思われるかもしれませんが、農業従事者で最も多い世代は70代です。決して、無理な話ではないように思います。糞尿や生ゴミ利用による堆肥作り、廃棄物資源リサイクル、介護などの人手不足の分野でなら、他の人間から雇用を奪う事にもならず、それなりの効果を期待できるのではないでしょうか。
次に景気対策について。
これについては、基本的には公共事業派と市場原理の有効活用(規制緩和?)派に大きく分かれるでしょう。
維新の会、みんなの党は、市場原理の有効活用を謳っていて(ただし、石原さんの主張を僕は知りません)、自民党は公共事業派。で、民主党についてはどっちなのか僕にはよく分かりませんが…(僕の不勉強かもしれませんが)最近の傾向は、間違いなく公共事業派でしょう。
もちろん、公共事業の増加には、財政赤字の悪化という副作用が伴います。
ここで注目すべきなのは、最近の自民党の主張でしょう。金融緩和はもちろん、禁じ手ともされる「日銀による国債の直接買い取り」を行うような事を言っている(そこまでは実は言っていない、という話もあります)。
この方法、簡単に言ってしまえば、通貨を増刷するのと、ほとんどおなじ事だと思ってくれて構いません。通貨を市場に多く供給するのだから、当然、物価は上昇する事になるはずです。これまでは、市場を通して国債を日銀が買っていたのを、市場を通さずに日銀が買う事になる。これは、つまり日本国債が、市場の信任を得ない、という事です。
ただし、市場に通貨を大量に供給している点は今までと同じです。で、今までも物価上昇は起こって来なかった。これは金融機関でだけで通貨の流通が完結してしまい、実体経済には大きな影響を与えなかったから、などと説明されているので、もしかしたら、似たような事が起こって、大きな物価上昇には繋がらない可能性もあります。が、希望的観測に過ぎないでしょうね。
もし、自民党が勝って、この手段を執ったなら、だから、物価上昇及びに金利上昇を警戒してください(もちろん、その規模にもよりますが)。貯金を多く持っている人は、それを家や土地や或いは太陽電池といった資産に物価が安い内に換えておくべきでしょう(高齢者に多い、貯金生活者は、特に警戒して何らかの対策を執るべきです)。また、変動金利でローンを組んでいる人は、固定金利に変えておくことを奨めます。
因みに、これ、実質的には「緩やかな財政破綻」と見なせる方法です(物価が上昇すれば、国の借金は実質減るので、借金を返さないのと同じ事になるのですね)。財政楽観論者と財政悲観論者の主張をじっくり読んでみると、この「緩やかな財政破綻」を財政破綻と扱うかどうかの違いだけで、実は同じ事を言っている、というケースもあります。これを“同じ主張”とまとめてしまうのであれば、かなり多くの人が近い将来に「緩やかな財政破綻が起こると考えている」事になるのかもしれません。
この自民党の方法、正直、ギャンブルだと僕は考えています。上手くいくかどうかは、分からない。……最悪、金融経済が混乱して悲惨な事態に陥る可能性もあります。
ただし、それでも僕が少しだけ惹かれているという点は正直に告白しておきます。何故なら、これに付け足せば、今までに僕が提案している方法と同じになるからです。
例えば、ここに太陽電池を絶対に買う事になる、何らかの制度を付け足したとします。すると、その増刷された通貨はその太陽電池に対しての“通貨の循環”に使われる事になります。通貨が供給された分、通貨需要が増え、“通貨の循環”総量が増える。これはそのまま経済成長を意味します。もちろん、経済成長に伴う健康な物価上昇は起こるでしょうが、これなら悪性の物価上昇は起こり難くなり、状況は随分と改善されるでしょう。
もっとも、経済が成長すれば、同時に人件費が高くなるので、国際競争力が弱くなってしまうというデメリットがあります。ですから、何らかの対策が必要になってくるのですが(例えば、“国外企業と競合する業種に対しては、電力料金を減らす”、などの処置が考えられます)。
次に外交について。
と、その前に断っておきます。正直、僕はこの話題は弱いです。それほど語れる知識を持っていません。ですので、飽くまでその程度のものだと捉えた上で読んでください。
今の時代に外交といえば、TPP問題と対中韓関係でしょう。
TPP問題については色々と言われていますが、協議に参加するしないだけで全てが決まるものではないはずです。仮に参加する事になっても、その後でどんな行動を執るかが重要になってくるでしょう。
国内農業は現在、利権構造確保の所為でジリ貧の状況ですから、TPP参加が何らかの起爆剤になる可能性もあります。医療財政だって色々と、利権問題が絡んでいると言われているので、農業と同じ様にTPPが何らかの契機になるかもしれない。もっとも、医療と市場原理の相性が悪いのは本当の話なので、その点は大いに警戒するべきですが(どれだけ医療費が上がろうと、通常の生産物とは違って、医療の需要はほとんど下がりません。簡単な話ですが、病気は治ったりしないからです。また、医療サービスは供給量も増やし難い。そのため、市場原理が有効に働かず、医療費が高騰する可能性があるのです)。
もっとも、TPP参加でどうなるのかは、やはり各国の思惑が交錯するので、やはり“賭け”になるだろう点は分かってください(ただし、参加しない事も同様に“賭け”です)。
そして、TPP問題は米国及びに中国の関係とも絡んできます。よく聞く話ですが、TPPはアメリカの対中国方略だと言われているからですね。
だから、中国との親交を深めたいのなら、TPPには参加するべきではない、という事になります。もちろん、対中強硬姿勢イコール、TPP参加という訳ではありませんが(飽くまで、その要素の一つですね)。
昨今の情勢を観る限り、中国と親交を深めるという流れはなさそうなので、少なくともその点からはTPPに参加した方が良いと言えるのかもしれません。
もっとも、日中韓の自由貿易協定の話は未だに消えてはいないので、何とも言えません。
一応、断っておきますが、基本的に「協力し合う」のと「反発し合う」のでは、どちらが優秀な方略なのかといえば、間違いなく「協力し合う」方が優れています。
「反発し合う」場合、お互いに相手の足を引っ張り合うのだから、これは当然でしょう。歴史を観てもこの点は明らかです。先進国では戦争はとても少ないのに対して、発展途上国では未だに紛争が続いているケースが少なくない(争いの続く社会では、社会発展は望めないのです)。だから、少なくとも隣国と積極的に喧嘩をするような姿勢は、評価すべきではありません。
この話を踏まえた上で、対中韓外交について注目すべきなのは、自民党が強硬派という点でしょう。
と、この話の流れでいくと、自民党批判をするつもりか?となるような気がしますが、僕にはそのつもりはありません。そもそも、長期に渡る自民党政権時代、日本は中国へも韓国へも支援をし続けていました。今の自民党は違うのだ、と言うのなら、そうなのかもしれませんが、僕はそれも疑っています。
いえ、すいません。この点は、根拠の薄弱な憶測に過ぎないのですが……、
中国にも韓国にも、日本の投資家は投資をしています。例えば、韓国のサムスンの株を日本人は保有しています。つまり、サムスンが利益を上げれば、日本人の投資家に利益が入って来る。逆に言えば、サムスンが損をすれば日本人の投資家も損をするのです。
もちろん、日本人の投資家には、富裕層が多いでしょう。政財界に繋がりのある人も多くいるのでは、と予想できます。そして、長期間政権を維持し続けてきた自民党は、その人達とも繋があるでしょう。
ならば、韓国経済にとって大幅にマイナスとなるような事を行うとは思えない…。もちろん、これは相手が中国でも同じでしょう。
先にも断りましたが、これは根拠薄弱な憶測に過ぎません。が、仮に自民党が政権を獲得しても、ポーズだけで、中国や韓国に対して、実質的な大打撃となるほどの強硬な姿勢は取らないのではないか、と僕には思えるのです。
最近の中国の動きは非常に不安です。日本だけでなく、周辺の国々に様々な圧力をかけてきている。何かしら対策が必要な点は明らかでしょう。ただ、それなら、強硬な姿勢を見せれば、それで解決するのかといえば、僕はそうは思いません。更に事態を悪化させてしまう可能性すらあるのではないか、と考えています。
むしろ、上手く懐柔して、操るような方法が望ましいのでは、と思います(経済の悪化を受けて、日本への姿勢を見直そうという動きも中国に出てきているらしいので、これは無理な話ではないと思います)。
これを実現させる為には「中国は日本の協力がないと困るが、日本は中国がなくても大丈夫」という状況を作りだす事が、理想的でしょう。具体的には、レアアースやリンなどの重要鉱物資源を、国内及びに他の国から調達する手段を手に入れる事。
例えば、生活保護受給者達に、鉱物資源リサイクルや糞尿のリサイクルなどの仕事を行ってもらえば、その分、中国に頼る必要はなくなります(因みに、海外から輸入している資源を国内で調達できるようになれば、その分、国内総生産は上昇します)。
次に消費税について。
まず、税全般の話ですが、あまり話題に上らないのですが、税金は“取る”だけで完結するものではありません。その“使い方”がとても重要なってくる。
その点を考慮するのなら、消費税だろうが別の税だろうが、使い方が間違っているのなら、増税には反対するべきです。
例えば、どう考えても計算上、無理がある高額年金支給維持の為に税を充てるのなら、とてもじゃありませんが、納得はできません。
先にも述べましたが、消費意欲の低い高齢者に対して高額の年金を支給すると、景気は悪化してしまうんです。
消費意欲の高い人間に対し、通貨を支給するのが景気回復の基本。つまり、消費意欲があるだろう(というよりも、その必要のある)子育て世代に通貨が回るような体制を作らなければならないのに、その逆に、子育て世代から通貨を奪って高齢者に支給しようとしている。
これでは、事態を更に悪化させます。
消費税の特性を観るのなら、逆累進性は問題ですが、増税による副作用が少なく、高齢者世代にも平等にかかる税だという点を考慮するのなら、それほど否定する要素はないと思います(増税には、副作用があるのが普通なのです。例えば、相続税ならば、資産の海外移転や、資産隠し、といったデメリットがあります。増税を考える場合、そういう点も考慮しなくてはなりません)。
税の問題は、そのまま財政の問題とも絡んできます。そして、仮に増税で財政が改善するのだとしても、それだけで対応を終わらせてはいけません。
仮に、借金返済に税金を使ったとしましょう。すると、それだけ金融機関に通貨が余る事になります。この通貨が使われなければ、そこで通貨の循環が止まってしまい、景気を悪化させてしまいます。
つまり、金融機関の通貨を使わせるような何らかのアプローチが必要になって来るのです。例えば、規制緩和によって、企業の投資意欲を刺激する、などの。
ところが、官僚の利権を護る為に、日本の規制緩和は進んでいません。このままでは、もし仮に、財政赤字問題が改善したとしても、景気が悪化してしまう可能性があるのです。
総じて税金を論じるのならば、“通貨の循環”を意識しなくてはならない、という事になるでしょうか。
次に原発についてです。
まず、誤解があるようなので、説明を加えます。「脱原発化否か?」という論じ方をされていますが、これは誤りです。脱原発は既に決まっていて、いつのタイミングでそれをし始めるかの問題に過ぎません。例えば、今からやるのか、それとも数十年後なのか。何故なら、原発の燃料であるウランは将来、枯渇する資源だからです。ウランがなくなれば、当然、原発稼働は不可能です。
では、脱原発を始めるのは「今」が良いのか、それとも「数十年後」が良いのかといえば、それは明らかに「今」なのです。
何故なら、日本は少子化で近い将来に労働力不足になると言われているからです。労働力不足に陥った状態では、脱原発をし、エネルギー改革を行う事は難しくなります。それに対し、今ならば労働力が余っているので、それを用いて太陽電池、風力発電の開発等を行えば、経済発展になります(因みに、核廃棄物の処理などは、その労働力不足の時代に行わなければいけません。このままでは、間違いなく、悲惨な状況に陥るでしょう)。
更に、円高で物価が安い内に再生可能エネルギーに設備投資をしておけば、再生可能エネルギーの多くは維持費が安価なので、物価が上がってからの利回りは良くなります(再生可能エネルギーのコスト計算からは、物価変動の考慮が漏れている場合が大変に多いので、騙されないように注意してください)。
よく勘違いをしている人がいますが、経済の実態は、「労働力、技術力、資源」などです。“通貨”ではありません。仮に現在、通貨がなくても、これらを活かせれば通貨は自ずから発生します。
要するに、労働力が余っていて技術力がある状態で、そこに資源を投入して生産活動を行わせられれば、それはそのまま、経済成長になる、という事です。
再生可能エネルギー普及を行えば、50兆円の負担増になるなどと脅し文句のような事が言われていますが、これは間違っています。確かに支出は増えますが、その代わりにそれ以上に収入が増えるからです(ただし、国内でほとんどの労働力を賄う前提)。
つまり、再生可能エネルギーの普及により、50兆円以上、国内総生産が増えるのだと思ってくれて構いません。
何故、それ以上に収入が増えるのかというと、景気回復による波及効果と、海外からの原油、天然ガス、ウランなどの資源輸入が減る効果があるからです。再生可能エネルギーは、国のエネルギー自給率を上げるので、資源エネルギーの輸入を減らせるのですね。そうすると、海外へ出て行く通貨が減るので、結果的に国内の利益が増えるのです。
この具体的な方法は、景気対策の項で少し説明したので割愛します(僕が書いた他のものにも出てきますが)。
長期的視野に立つのであれば、経済的にはだから間違いなく、脱原発に今から動き出した方が良いのです(飽くまで、短期間の特例として、稼働を認めるのは有りだとは思いますが、今の国に自制ができるかどうかは、非常に不安です)。
この点を理解するのなら、脱原発に反対する理由はない事になります(もっとも、あなたが貯金生活者で、将来世代への負担丸投げにより、今、できる限り贅沢をしたいと考えているのなら、話は別です)。
政治家が、脱原発に反対する理由は、大きく分けてこの二つでしょう。
一つ目は「原子力・利権構造を護りたい」。
二つ目は、「核兵器が欲しい」。
実質的には、この二つが混在している状態だとは思いますが、明確に「核兵器が欲しい」が圧倒的に強い方もいますね。まぁ、“維新の会”の石原さんですが……。
逆に言えば、これは踏絵にもなります。「原子力・利権構造を護りたい」という理由で、原子力を擁護しようとしている政党は、官僚権力と結びついている、と判断できるのではないでしょうか。
そう考えるのならこの点は、原子力政策以外でも、様々な他の政策の目印となるのかもしれません。
以上、駆け足で説明してみました。
正直、今の各政党の主張や実績を見てみると、消去法で選ぶしかないかな?と思えてきます。
妥協して投票するしかない、ですよね。