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六月

六月一日火曜 雨のち晴

今日は早起会なので、學校へ来た。今日から帽子に白いひもをつけるので、白くなってきれいだ。雨がふったのでびしょぬれになってしまった。三時間目の綴り方は発表会をして、僕は園芸の話をした。徳川光圀のお話をきいて、えらいと思った。今日、本代を渡した。手工は、図案をかいて板をけづった。予習する時、僕がよんだ。

帰りは、石山先生と一緒に帰った。帰って、孝と照山堂へ帳面をかいに行った。寝たのが九時半。林内閣じ職す。


六月二日水曜 晴

朝刊をみると、近衛文麿公に大命が降下したそうだ。今日はひさしぶりの晴で、非常にあつい。体操するのにもあつくてよわった。書方は自分の好きな八字をかいた。僕は「心、構、勢、風、牛、乳、原、激」とかいた。うまく行った。今日、三笠のまえでとったしゃしんをもらった。僕は台無しであった。

内へ帰ってみると、お母さんは行李こうりから夏のものをだしていらっしゃった。寝たのが十時であった。 

    

六月三日木曜 晴

世の中がさわがしくなってきた。朝起きて、やぶけたパジャマをきていた。飯をたべて學校に来た。今日から写真をはるのだそうだ。今日は吉畑先生が「明日はむしば予防デーである」といった。四時間目はきかい体操をした。それからキックをして、3↔0で白がまけた。けがをしてしまった。

内へ帰って、すぐ四連隊へお父さんの所に行ったがいなかった。寝る時いちごをいただいた。寝たのが十時。


六月四日金曜 晴

今日、大臣が全部きまって視任式をするそうだ。今日は非常に暑い。朝早く起きてしまった。客間に虫がおっこって仕方がないとおっしゃった。遊び時間に飯森とまりなげをして遊んだ。今日はむし歯予防デーだ。朝、はね先生からおはなしがあり、大きなはぶらしで、はのみがきかたをおしえて下さった。あとから、うたをうたった。今日寺へ家賃をもって行った。寝たのが十時。


六月五日土曜 くもり

朝起きて勉強して下へおり、朝飯をたべて學校に来た。今日は早かった。今日は門の前をはくのだけれども、はかなかった。算術の時、出て黒板にかいて説明した。今日は通信もぎ試けんをした。よくできた。球算は試けんをした。予習をすましてちゅうしゃをした。前は0・2、こんどは0・4、前よりいたかった。

内へ帰って、方々まわって帰ってみると、お父さんが帰っていた。今日は風呂に入れない。寝たのが九時半過ぎ。(早けい戦の一回戦をやる)


六月六日日曜 くもりのち雨

朝おきてみると、今日は朝寝坊してしまった。お父さんと今朝、穏原のすぐ隣の家がやけたのを見に行った。それから上へ上がって勉強していると、下へおり、お寺へゆき木にのぼっておこられた。あとから船をつくった。大きいのと小さいのをつくった。

夕方お父さんと手紙を出して、せとものやで鉢をもらった。内へ帰って、寝たのが十時。


六月七日月曜 くもりのち雨

今朝は早く起きてへやをはき、すみ江のお床をとってやった。飯をたべて、學校へ来る前、お母さんが「天気がかわる」とおっしゃった。今日はあまり早くなかった。校長先生が、此の學校の生徒はお行ぎがよいことをおはなしになられた。雨の降る中を体操して、びしょぬれになってしまった。

帰る時早慶戦をやっていて、6|4で早稲田がかった。四月十八日の日にとったしゃしんができたので見た。寝たのが十時。


六月八日火曜 雨のちくもり

今朝早く起きて勉強して、二日まえからのんでいる「えきり」の薬を孝とえり子がのむので、すみ江が遊ばし僕がそうじをするのだが、今日で終いだ。學校へ来てみると、あと十分というところだった。綴り方は、前のようにお話みたいのをした。

内へ帰ってみると、すみ江とえり子しかいなかった。すぐ二階へ上がって勉強した。夜は僕がたくさんたべたので、お母さんが「今日はよくたべた」とおっしゃった。晩は、子供四人がお父さんにかかっていって、わいしゃつを破り僕達がかった。寝る時、孝が僕のふとんで寝た。寝たのが十時。


六月九日水曜 雨のち晴

今朝起きて勉強して、すみ江にお床をとってもらった。今日も雨だ、ほんとうにいやになってしまう。勉強をすまして、算術の予習をして難問をだされた。

内へ帰ってすぐ飯森君とで、新宿伊勢丹で北海道店があるので見に行った。かけあしだ。パノラマや実物などを見た。一番おもしろかったのは、国立公園の展望台や伝説やアイヌの内などを見た。今日はえんまさんのおまつりとみえて、おどりをおどっていたえんまさんを見て、おでんをたべた。帰る時はもう遅かった。寝たのが九時半。


六月十日木曜 晴

今日はひさしぶりの晴。學校へ来る時、一時かかってやっと難題ができた。その為、學校へ来るのが大そう遅かった。教室に入って、身体検査の比体重や比胸囲や比座高を出して、それに二時間かかった。今日あたらしい映写機をかったそうだ。本をかりた。皆が沢山新聞やざっしをもって来たが、僕はわすれてしまった。今日は時の記念日だ。時間を大切にしようと思った。

内へ帰ってみると、昨日かった冷ぞうこがあった。すみ江が福下の内へ行っているのだそうだ。寝たのが十時であった。


六月十一日金曜 晴のちくもり

朝起きて學校へ来た。今日は僕は日直であるから出られなかった。算術は又復讐をした。唱歌は「蓮の池」をならった。図書は写生だ。僕は砂場から上降口をかいた。今日は当番だから当番した。女は今日は予習はないのだそうである。いる男だけでした。通信模ぎをもらった。

内に帰って木にこやしをやった。ちそがうめてある。お風呂に入って寝たのが十時半。(パンをかった。新聞や雑しをもって行った。)


六月十二日土曜 くもり時々雨

朝起きて勉強して、學校へ来た。今日は頭がいたい。學校へ来てみると、今日は外遊びだった。球算は始めに樋田君が速算をして、試けんをしてあとからあわせた。算術は昨日の続きをした。予習をして、前の四人はよめなかった。帰りに、石山先生といっしょにはなしながら帰った。

内へ帰ってすぐ、飯森と昌坊と三人で池山さんへかたつむりをとりに行き、あとでまりなげをしたり、やきゅうをしたりした。内へ帰って寝たのが十時半。


六月十三日日曜 晴のちくもり

今日は寝坊してしまった。お父さんが、はえ十匹で一銭やるといったので、方々とって五十四匹とった。午前中は勉強した。それから下へおり、草をむしったり水をかけたりした。庭が、今までとはまるでちがってしまった。花壇を三つつくり、畠にはトマトやきゅうりなどをうえた。佐田の内で、おばけごっこをして遊んだ。夕方、立井の内へ人とおつかいに行った。内へ帰って夕飯をたべて、すみ江とけんかして絶交した。寝たのが十時であった。


六月十四日月曜 くもり時々雨

今朝早く起きて下へおりてみると、孝がおきていたので孝をあそばした。朝、庭で散歩した。今日かたつむりをもって行った。修身はいろ々なことを話してくれた。地理は、今から西山先生がして下さるそうだ。理科の時、僕のかたつむりと樋田のかたつむりとがけんかしてしまった。

内へ帰って孝を遊ばして、夕方お父さん達が焼酎をうめの中に入れていた。晩は、チフスの予防注射をすみ江は0・二、えり子は0・一するのでついて行った。寝たのが九時であった。


六月十五日火曜 くもり

今日は早起会なので、三人で来た。朝遅くなってしまった。算術は応用問題3をやった。読方の時間、できない人はおこられていた。綴り方は「外へ出てかいていい」とおっしゃったから、僕はアパートの公園で写生文かいた。国史をならった時、大石良雄の忠なのにかんしんした。今日は難問題が全部できた。内へ帰る途中、お母さんとあった。

内へ帰ってトマトやなにかに水をやった。途中寝たのが十時。


六月十六日水曜 くもり

今朝は早く起きて、はなれに行って勉強して、孝を遊ばした。ごはんをたべて學校に来た。すみ江が一年生みたいなので、一年生一年生とからかってやった。行く時、竹をひみつしておいた。村岡がいつものをもっているので、からかってやった。書方は、「自分の好きな字を八つかけ」とおしゃった。理科は火山をした。体操は6―7でまけた。帰る時、めずらしい花をみつけた。

お風呂は、五時半ごろ入った。寝たのが九時であった。


六月十七日木曜 くもりのち雨

今日も難問題がとけなくてこまって、遅くなってしまった。ならび方が、土曜には一分二十秒、火曜には一分、水曜には五十秒、今日は四十五秒早くなっているということをおっしゃった。松戸君が久しぶりに弁当をたべた。書方は先にすすんだ。体操の時キックをして七―二でかち、向うは六―〇で白が大勝利をえた。内へ帰る時雨がざあ々ふっていたので、雨宿所で傘をもってくるのをまった。今日女の山上の内からパンを二つづつくれた。

内へ帰ってお父さんから難問題を出され、三枚のうち一枚だけできなかった。寝たのが九時半。


六月十八日金曜 くもりのち雨

昨日かりた傘をかえす為に飯森の内の方へまわったので、遅くなってしまった。算術は黒板に出たかいた。唱歌はよして、地図にかきこんだ。図書は、勝手道具(台所用品)をかいたがうまくいかなかった。参宮貯金(お伊勢参りの為の積立)の紙をもらった。地理は、昨日のとおり西山先生にしてもらった。山脈や気候などをならった。予習の時大そううるさかった。帰って、又すずりをもって帰るのを忘れたので、とりに行った。雨がふっていたので、ゆっくり行った。夕方雨はやんだ。お風呂は早く明るいうちに入った。寝たのが十時。


六月十九日土曜 晴

今日は久しぶりの晴だ。朝、すみ江にねんどベラをつくってやった。すみ江は随分早く行ってしまった。読方は一番でできた。他の人はみな宿題である。二時間目国史をして新井白石をならった。それからすぐ、家にたべに帰った。チンドン屋が来たので、孝がみせてくれというので見せてやった。通信もぎをした。

内へ帰り、隣の内の五郎がガラスをわったのでおこってやったら、ぺこ々あやまった。夜は花火した。お客が来た。おもてでごはんをたべた。十時。


六月二十日日曜 晴

今日は早く起きて、離れで勉強した。宿題は朝のうちにやってしまった。宿題が全部できたら、「道玄坂に夜つれていってやる」とおっしゃった。二階でやってわかんなかったから、叔父さんにおしえてもらった。昼はひるねした。屋根の上であそんだり、船にすみをぬったりした。ばんお風呂入る時、はだかでかみをつんだ。

飯をたべて道玄坂へあるいて行った。お母さんをまって、十銭ストアに行ってずっと上までゆき、帰りに澁谷食堂でオレンジをのんだ。帰りもあるいて帰った。寝たのが十二時であった。


六月二十一日月曜 晴

今日は夏至だ。夏至というのは、一年中で一番夜のみじかい日である。大そうあつい。昨日遅く寝たので、今日は寝坊をしてしまった。學校へ来る時、本をみながら来た。砂場に行って鉄棒をした。せ上がりしようとしたが、できなかった。球算は割算をならって、できるようになった。臨海學園其の他の説明書をもらった。土田という内からせんべいをもらった。

内へ帰り、ばんはすみ江とえり子がチフスの注射した。寝た。(まっくらな時間、八時間)


六月二十二日火曜 くもり、晴

朝起きてすぐ顔を洗って勉強した。今日はお父さんは早く行かれたそうだ。行く時本がなくなってしまったのでさがした。少し遅くなって行ってみたら、まだ早かった。鈴林が臨海學園に来い々というのに、こまった。算術は復習した。綴方は先生のいうのをうつしてかいた。だいは「新聞配達の朝」というのである。四時間目に手工した。今日は手工室の当番だったからした。

きゅうりが大分大きくなった。夜寝たのが十時半であった。


六月二十三日水曜 時々くもり

今日は朝早く起きて、下へおり庭を散歩した。上へ上がって予習した。朝飯を食べていたら、すみ江が先に行ってしまった。教室の中にのこっていたら、遅れてしまった。一時間目は算術の考査をした。これは土曜日の父兄懇談会に出すのだそうである。書方はすずりを忘れてしまったので借りた。五時間目はキックをして白が1赤も1で同点だった。予習の時は、僕が黒板に出て書いて説明した。

内へ帰ってこやしをやった。お父さんは畠に垣をして下さった。ご飯を食べて二階へ上がって勉強して、お母さんとお父さんと孝の三人が浅妻へ行ったので、僕達子供三人と亮ちゃんと留守番をした。其の間亮ちゃんが支那ソバをとってくれたので、四人で食べた。寝たのが十一時。


六月二十四日木曜 くもり時々晴

昨日遅く寝たので、寝坊してしまった。又すみ江が先に行ってしまった。来てみるともう遅かったので、遅れてしまった。二時間目に、読方の試けんを二枚した。三時間目の書方は自由。お母さん方に見せるのだそうだから、うまくかいた。四時間目のはことびはできた。五時間目は地理をした。読方の本がなくなってしまった?読方は僕が一番先にできた。

内へ帰り、お風呂は孝と入った。十時に寝た。


六月二十五日金曜 晴

朝起きて勉強してから學校へ来た。帳面をかったので、遅くなってしまった。かいてんの練習をした。二時間目に図書をして、三時間目に映画を見た。後ろの方で見た。理科の話やら、家なき子、まんがなどを見た。よいきかいでやったので、はっきり見えた。当番は放課後やった。今日は、予習を三時でやめるのだそうである。だから、早く帰ってこられた。

お父さんはかぜをひいてらっしゃって、お休みになった。夜牛乳をのもうとしたらへんだったので、トマトをたべて、寝たのが十時半。


六月二十六日月曜 晴のちくもり

朝起きて、今日は父兄会なのでえり子をつれて行った。一時間目は中々お母さんが来なかったが、一番にお母さんが孝をつれてきた。その次に、樋田君のおばさんが来た。一時間目は少ししか来なかったが、二時間目から沢山来た。今日は二時間で予習は無い。だから早く帰れた。

昼はざるソバを食べた。それから少し昼寝をして、ありの島をつくってありを沢山のっけた。夕方お風呂に早目に入って、第一に納税の活動(写真)があるので見に行ったら、もう遅かった。内に帰って寝たのが十一時であった。


六月二十七日日曜 くもり時々雨

朝起きて顔を洗って、庭をさんぽした。きゅうりがだん々大きくなってきた。花もさきそうだ。二階へ上がって勉強をした。お父さんは軍曹の人のおくさんが行けないそうだから、病院にお見舞いにいらっしゃった。僕もあのように、病気になるのはよそうと思った。

夕方、はだしたびをはいて、すみ江とかけっこをしたりした。原宿市場へみんなで行った。花火をやった。難問題を出されて、一時までかかった。寝たのが午前一時であった。


六月二十八日月曜 雨

だん々梅雨ぎみになってきた。しと々ふるので、いやになってしまう。朝遅くなってしまった。だけどまにあった。新しい市長は小橋氏だそうだ。万国はくらん会やオリンピックなど、大そう骨折りでしょう。三時間目に理科して、いか・たこをならった。そして標本をいじくりまわした。四時間目は球算をした。五時間目にはお話をした。予習の前にグライダ式てつ棒をした。通信もぎをした。成績をかえしてもらった。寝たのが十時半であった。


六月二十九日火曜 くもり時々雨

今日も雨だ、しと々ふっている。昨日傘を忘れてしまったので、びしょぬれになってしまった。行ってみたら、まだ早かった。算術は、二学期に入って歩合をならった。綴方は樋田のいうことをかいた。四時間目には手工した。僕は本を忘れてしまったので、自習した。五時間目は国史をして吉深(よしふか・石出常軒のこと)をならった。予習をしてから、内へ帰って牛乳をのんだ。

それからオセンベイをかいに行き、復習してから体操して、風呂に入って飯をたべ、寝たのが十時であった。


六月三十日木曜 雨

今日も雨、いやになってしまう。朝刊を見ると、ロシヤの軍艦や兵隊が満州領内に入ったという事件について重光大使はこうしょうをつづけ、とう々ちるということになったそうだ。朝来てみると遅かった。書方は失敗してしまった。理科は教室でした。五時間目は先生がいらっしゃらないので、熟語百五十かけといったので二番にかけた。

内へ帰りおだんごをたべた。ラジオをきくと、日満軍(関東軍と満州国軍)がロシヤの軍艦を一隻をしずめ、一隻は大損害をあたえたという号外の音があわただしくなる。なんとなくさびしい。寝たのが十時であった。


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