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『御滝上てくださりありがとうございます』【元塾講師の実体験怪談】

作者: 夕暮れの家
掲載日:2026/08/05

 大学生のとき働いていた塾で「稲川淳二」という名誉ある称号を頂いたことがある、ちょっと怖い実体験を語っていこうと思います。


 私の心霊に関するお話を語るのであれば、最初のエピソードは中学三年生のときになります。


 中学三年生のとき、机の掃除をしていた私は、引き出しの奥にくしゃっと潰れた一枚の写真を発見しました。


 その写真は、中学一年生のときに桜の木の前で撮った集合写真でした。


 何気なくその写真を見ていた私は、白い霧のようなものが映っているのに気づきました。心霊写真だと思い、興奮したのを覚えています。


 人生で初めて心霊写真を見た瞬間でした。


 それで慌てて母親に「心霊写真を見つけた!」と言いにいきました。


 そこで不思議なことが起こります。


 母はその写真を受け取ると、すぐに目を閉じました。


 そして、


「いるね」


 といい、こことこことここ、と4箇所ポンポンポンと指で写真を指していきます。


 母が指さした先を見れば、何もないところに顔が映っているように見える箇所でした。


 母は言います。


「笑顔だから悪いものじゃないよ。多分先生と所縁のある人なんじゃないかな?」


 と。


 私は母がこんなことができると知らず、また幽霊なんていうものも信じていなかったのですが、初見の写真でポンポンポンとピンポイントで顔らしきものが映っている箇所を指定してきた母を否定することもできず、ただ疑問に思い聞きました。


 どうしてそんなことができるのか、と。


 そうすると母は言いました。


「我が家の家系は憑かれやすい家系なんだよ」


 と。


 そこで初めて、我が家で起きていた心霊現象を聞くことになったのです。


 母は語りました。


 幼い頃、父と母、兄と自分の4人で神奈川にある海水浴場に行き、写真を撮りました。


 まだ幼かった兄はそのとき青と白のボーダーの服を着ていたのですが、写真の中では右腕だけが赤と白のボーダーになり、ごっつい腕に変わっていたそうです。


 その写真は「右腕に悪いことが起こる前兆かもしれない」とお焚き上げしたのだと教えてくれました。


 このように、私は知らないうちに心霊現象と身近に接していたのでした。


 しかし、私の身に直接そのような不思議な現象が起こることはなかったので、いつしか他人事のように思っていました。


 ですが、高校二年生のとき、それは起こるのです。


 私が通っていた高校は神奈川県にある戦前から存在した高校で、ところどころ古い設備が残っていました。


 私は剣道部に入っており、武道場で放課後毎日汗を流していました。


 部活が終わった後にトイレに行きたくなった際、武道場にはトイレがありません。


 本来なら校舎に戻ってトイレをするしかありませんでした。


 しかし、武道場の隣にある体育館の奥に古びたトイレがあり、小をする分には問題なかったため、部活終わりにはよくそこを利用していました。


 ある部活後、日が落ち切って夜になったときにそれは起こりました。


 友達と一緒に帰ろうと思っていたのですが尿意を催し、「ちょっと待ってて」と言って、いつもの通り古びたトイレに向かいました。


 トイレを済ませてふと個室の扉の前を見たとき、そこが白くぼんやりと光っていたのです。


 見た!と思いました。


 そのトイレには窓などなく、外から光が入ることはありません。


「これは幽霊だ!」と思って、私はその場から逃げ出しました。


 そして友達に「幽霊見た!」と言いました。


 友達は驚いていましたが、「そうなのか」と受け入れてくれました。


 怖っと思いながら友達と帰路についたとき、私はふとこんなことを思いました。


(幽霊からしてみれば、いきなり驚いて逃げ出されて失礼だったんじゃないか。謝った方がいいんじゃないか)


 止める友達を振り切り、私は謝るため再度トイレに向かいました。


 真っ暗なトイレの中は、先ほどのように光っていることもなく静寂が広がっていました。


 私は言いました。


「先ほどは逃げてすみませんでした」


 頭を下げました。


 そして、引っかかっていた気持ちがスッキリしてその場を離れました。


 友達に「謝ってきたよ」と伝え、普通に帰路につきました。


 しかし、学校からの下校の最中、私の右半身が学校側に向かってぐわーっと引っ張られる感覚に襲われました。


 友達にも言ったのですが、友達は怖がるばかりで何もしてくれません。


 私も怖いだけで、どうしたら良いのか分かりませんでした。


 しょうがないのでいつも通り友達と別れ、バスを待ちました。


 バスが来て一番前の席に座りました。引っ張られている感覚はあるものの、


(これは疲れているからだ。寝れば治る)


 と思い、部活で疲れていたこともあって私は眠りにつきました。


 そして目を覚ますと、今度は左肩が何かに乗られているようにずっしり重くなっていたのです。


(憑かれている)


 そう確信しました。


 家に着くと、玄関で母に言いました。


「塩を持ってきてくれ」


 塩で払おうと思ったのです。


 しかし、事情を聞いた母は家の中に入るように言いました。


(霊を家に入れてもいいのか?)と思いましたが、指示に従いました。


 家に入ると「少し待つように」と言われ、座って待っていると、母が一つの箱を持ってきました。


 その箱を開けると、文字の書かれた紙がありました。


 母はその紙を飲むように言います。


 水に溶けるオブラートに、お経が書かれた紙でした。


 私はその紙を受け取ると丸めて口に運び、水で流して飲みました。


 そうすると……すぅーっと肩が軽くなりました。


 これが、私が高校生のときに体験した不思議な出来事です。


 ここまでお読みいただきありがとうございます。


 最後に一つ、大学時代の小話を語って終わろうと思います。


 大学のとき、塾の講師をしていました。その塾にはホラーが大好きな小学生の女の子がいました。


 そこで、勉強を頑張ったご褒美として、上記で語った体験談を教えてあげました。


 女の子はすごく喜んで、


「何か他にないの?」


 と言います。


 しかし、そんなにネタがあるわけではないので「ないなー」と答えながらも、何か話せることはないかと自分でも探すようになりました。


 そこでふと、塾に行くために大通りから一本内に入った道をショートカットに使っていたのですが、そこの桜が怖い印象があったなと思い出しました。


 そこで、その桜の写真を撮ってみました。


 そうすると、白い顔のようなものが映りました。


(良いネタが出来た!)と思って、後日塾に持っていきました。


 不思議なお話はここからです。


 他の塾の講師に見せると、


「これどこで撮ったの?」


 と言われました。


 どこどこだよと説明すると、


「あー、そこS先生が怖いからって絶対通らない道だ」


 と言われました。


 霊感が強い先生がいて、その先生が絶対に通らないと言っていた道だったのです。


 私は気になって調べました。その道に何があるのかを。


 そうすると、その道にはひっそりと「お墓」がありました。


 以上です。


 これが今までの私の体験談です。


 これを去年noteに投稿したのですが、最後に誤字脱字がないか確認しているところで、「お焚き上げ」の箇所が、


『御滝上てくださりありがとうございます。』


 に勝手に変わっていました。


 久しぶりにヒヤッとしました。

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