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転生特典のない俺は最強の布陣で異世界に挑む  作者:


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43/60

第43話:学びは言葉ではなく、結果で語る――教育外交の幕開け

場所は、再び国連会議の場。


だが今回は、戦争でも経済でもなく――


《教育亡命》を巡る緊急外交会談だった。


会場は緊張に包まれていた。


アーグラ代表が立ち上がり、冷たい声で言い放つ。


「王国の行為は“思想の越境”であり、我が国への侵略行為に等しい。」


「“教育”という名のもとに、民を洗脳し、国を揺るがすのは許されざる行為だ。」


ざわめく場内。


その中心で、王国の代表――そして、国師であるリオン・フォン・エルトレードが、静かに前に出た。


彼の隣には、かつてアーグラから亡命してきた少年と少女。



---


「私は言葉で、説得はしません。」


「ただ、“数字”と“現実”をお見せします。」


背後の魔術式投影に映し出されるのは――


・リオン式導入国における識字率の上昇グラフ

・平均寿命の伸び

・犯罪率の減少

・経済成長曲線

・国民満足度の調査


そして次に、亡命者に関するデータが映る。


・亡命者総数:月間1,000名超

・平均年齢:18歳以下が過半数

・亡命後の再教育成功率:92%

・職能就業率:76%


リオンは、はっきりと告げた。


「これが、学びがもたらす“結果”です。」


「亡命してくる人々が後を絶たないのは、私たちが奪っているからではありません。」


「“求められている”からです。“学びたい”という意志に、我々は応えているだけ。」



---


場内に沈黙が走る。


リオンは続けた。


「貴方たちが“教育を禁じる自由”を主張するなら、私たちは“学びを提供する責任”を選びます。」


「そして、学びを受け入れた国々をご覧ください。」


魔術映像が、世界各地の光景を映し出す。


・農村で文字を読み解く老人

・工房で機械を組み立てる少年

・裁判所で弁論する少女

・診療所で助けを求める人々を導く医師たち


すべて、“学びを得た”者たちの姿だった。



---


アーグラ代表は沈黙した。


世界は、“否定”ではなく、“問い返し”の眼差しを向けていた。


(なぜ、彼らは“学ばせない”のか?)


その場で明確な反論を返す者はいなかった。



---


リオン・フォン・エルトレード、5歳と10ヶ月。


彼はこの日、“言葉の戦争”に勝ったのではない。


“現実”で、世界を圧倒したのだった。


つづく。

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