第35話:軍を売るな、学びを売れ――リオン式、世界を交渉の場に
場所は、五大陸平和連合――通称「国連会議」。
年に一度、各国の王族・元首・宰相・代表者が一堂に集う舞台。
今年、そこで話題の中心となっていたのは、“軍備”でも“経済”でもなく――
「リオン式教材」だった。
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「その“リオン式”というのは、実際どこまで有効なのか?」
「識字率はどう伸びる?算数、歴史、倫理面は?」
「言語や文化の違いにも適応できるのか?」
各国代表が次々に問いを投げかける。
そのなかで、王国代表――現王が、堂々と立ち上がった。
「答えよう。“リオン式”は、我が王国が育んだ、“最強の非軍事資源”である。」
「彼の名はリオン・フォン・エルトレード。我が国の“国師”にして、王国育成庁の創設者である。」
静まり返る会場に、王の声が響いた。
「戦争で得るのは土地だ。だが、学びで得るのは“人”だ。
我々は“リオン式”で、国の底を支える全ての人材を変えた。
今、我が国の成長率は過去最大、犯罪率は最低、民衆の平均識字年齢は“6歳”を切っている。」
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他国代表たちはざわめいた。
「6歳で識字……!?」
「それは……軍備より遥かに強い“基礎力”だ……!」
ある南方島国の女王がつぶやいた。
「……それを、“買う”ことはできるのか?」
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その言葉に、王国王はにやりと笑った。
「“買う”のではない。“学ぶ”のだ。」
「我が王国は、“リオン式教材”を“国際教育支援資源”として輸出する用意がある。」
「ただし、“支援協定”を結ぶ国に限る。“学ぶことを放棄しない国”だけに、我々は手を差し伸べよう。」
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それは、武器ではない。
だが、世界中の指導者たちが本能で理解していた。
(この“教材”こそが、次の時代を制する。)
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リオン・フォン・エルトレード、5歳と2ヶ月。
彼の作った教材は、国の“防具”から、国の“貨幣”へと姿を変え――
いま、“外交の武器”となって、世界の心臓に届こうとしていた。
軍事ではなく、国力で勝つ。
それが、“リオン式外交”の始まりだった。
つづく。




