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転生特典のない俺は最強の布陣で異世界に挑む  作者:


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3/60

第3話:うちの使用人、強すぎない?

あれは、近所のリーネ村でちょっとした騒ぎがあった日のことだった。


「魔物が出たぞー!村がやられるー!!」


何やら血相を変えて駆け込んできた農民が叫ぶ。

ちなみに俺はその時、ベビーチェアでお昼寝中だった。


「魔物?……って、ここ、貴族の館のすぐ近くだよね?」


どうやら、村の外れに小さな亀裂ができて、そこからモンスターが漏れたらしい。

スライムか?コボルドか?……と思ってた俺の耳に、次の報せが届く。


「出たのはサラマンダーだ!!火の精霊型!村が焼かれるぞ!!」


「ファイアドラゴンの親戚じゃん……え、ガチのやつ!?」


俺は使用人のエミルおばさんに抱かれたまま、おろおろしていた。だが、そのとき――。


「お任せください、ロルフ出撃します。」


そう言ったのは、例の執事ロルフさん。

眼鏡に白手袋、涼しい顔。

なのに、背中から取り出したのは漆黒の大剣。

え、待って、なんでそんなの持ってんの!?

どこに隠してたの!?


しかも――。


「スミス、サイドから制圧。エミリー、治癒の準備を。リリア、燃えたら困る物資の避難。」


全員がそれに「了解」と即応する。え?ちょっと待って?今、戦隊モノ始まった?

この屋敷、戦闘力で構成されてるの?

俺より圧倒的に強いメイドが、当然のように斧とハルバードを持ち出して走っていく。


ロルフさんは、そのまま壁を駆け上がり、村の方向へ跳躍。


「跳んだ!?」


「うおおおおおおっ!!」


次の瞬間、空から降ってきたのは……サラマンダーの頭だった。


いやいやいや!?首!首落ちてる!何その爽快ワンパン処理!?しかもスーツ汚れてないの!?どうなってんのこの人!?命の重みとかどうした!?


「……事後処理完了です。」


淡々と報告するロルフさん。メイドたちも淡々と後片付け。焼け残った木材を資材として回収しつつ、被災者を手当てし、被害を最小限にとどめていた。


俺、思わずエミルおばさんの腕の中でつぶやいた。


「……うちの家、なんなん?」


「お坊ちゃま、何か?」


「いえ、もう……親の威光に平伏しますわ……。」


この使用人たちを雇い揃えたうちの両親、マジで只者じゃねぇ。貴族の中の貴族、採用基準に何を使ったんだ?魔王軍スカウトでもしてたのか?


「こりゃ下手に悪いことできねぇな……。」


心の中でそっと誓った。うちは間違っても、メイドに逆らってはいけない家系である。


リオン・フォン・エルトレード、1歳半。うちの使用人が最強すぎて震える初夏の出来事である。


つづく。

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