第25話:勲章と、釘と、挑戦状
王都に着いた日のことは、あまり覚えていない。
とにかく人が多くて、建物が高くて、警備兵の装備がピカピカで――
「リオン・フォン・エルトレード殿、前へ。」
その一言で、俺は壇上に呼ばれた。
拍手。ざわめき。ざわめきの中には、確かに“驚き”が混じっていた。
「えっ、子供……?」
「育成所の代表って、この子なの……?」
「さすがに“顔見せ要員”では?」
失礼な!!本物の“中身”だぞ!!
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王都の教育省主催、「民間功績表彰式」。
俺は、“育成制度による地域自立支援”の功績で、最年少受章者となった。
金色の勲章が胸にかけられたとき、拍手が一斉に鳴った。
その後、控室に通された俺に、一人の官吏が話しかけてきた。
「リオン殿。この度の栄誉、心よりお祝い申し上げます。」
「ありがとうございます。」
「ただ一つ――ご忠告を。」
彼は、にこやかに笑いながら、しかし鋭く続けた。
「“王族・貴族の教育”には、今後一切、助言も批評もなさいませんよう。」
「……」
「あなた様の活動は素晴らしい。しかし、それと“上層の教育”とは別物なのです。」
つまり、「平民の子をいくら育てようと、上には口を出すな」と――。
その夜、俺は勲章を見つめながら、ロルフさんに言った。
「この金のメダル、ちょっと重いね。」
「誇りの重みでしょうか?」
「いや……“限界”の重みだよ。でも、それって超えていいって意味でもあるよね?」
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王都からの帰還翌日。
俺は執務机に新しい紙を広げた。
『プロジェクト・逆輸入』
・王都貴族家庭に向けた“教育素材”の無記名提供
・連盟分校からの交換留学生、王都へ派遣(選抜制)
・王都下層部対象の“無償学習支援”開始
「“王都より上の教育”を作って、それを“王都が学ぶようになる”形にする。」
「リオン様、それってつまり……教育で、王都を“ひっくり返す”つもりですか?」
「うん、あの言い方ムカついたからね。」
俺の目は、笑っていなかった。
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リオン・フォン・エルトレード、4歳と5ヶ月。栄誉と制限を一度に受け取り、今、静かに“反撃”を始めたところである。
つづく。




