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転生特典のない俺は最強の布陣で異世界に挑む  作者:


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第2話:赤子の拳じゃジャイアンは殴れない

俺が異世界に転生してから、早一年。


最近はハイハイを卒業し、よちよち歩きで屋敷の庭を探索するのが日課だ。

見た目は立派な貴族の長男。

でも中身は中途半端に自我と知識を持った元高校生。

しかもスキルも魔力もナシ。

つまり、ただの雑魚である。


そしてこの世界にもいた。ガキ界の王様。暴君系幼児。


「おいリオン、またミルクもらってんのかよ〜?甘ったれだな!」


「おれのオヤジは酒のつまみくれたぞ!根性なし〜!」


名をフリッツという。

近所の豪腕幼児、年齢は俺より一つ上。

すでに筋肉がうっすらとついていて、しかもなぜか声が太い。

生まれ変わりなのか?プロレスラーだったんじゃないのか前世。


フリッツは俺のことが気に食わないらしく、しょっちゅう絡んでくる。しかも取り巻き付き。


「リオン、おまえ魔法使えないんだって?ハズレじゃん!どしたの〜?神様寝坊したの〜?ぎゃははは!」


ちくしょう、その通りだよ!

神様どころか、転生時に“おつかれさま”の一言もなかったわ!


俺は無言で立ち去ろうとする。が、次の瞬間――。


「って、なんでパン投げてくるの!?」


「魔法のかわりに飛び道具だー!」


顔面に当たったのは乾いたパン。

意外と痛い。赤子の皮膚はデリケートなのよ!?

しかもそのあと、まさかのタックル。

よちよちタックルでもフリッツの筋肉はズルい。


俺は盛大に転倒して、地面でジタバタする。


「くっそ……これが……現実……。」


無力感とは、体力もスキルもない赤ちゃん時代にこそ味わえる絶望。

もはや笑うしかない。泣かない。泣いたら負けだ。

いや、泣いたら来るか?ママ……助けて……。


「うぉいフリッツー!またリオン様にちょっかい出してるなー!」


「げ、執事のロルフだ!にげろー!!」


シュババッと逃げるガキ共。

ちくしょう、素早いな!

ジャイアンムーブかましてくるくせに、逃げ足だけは早い!


ロルフさんが俺を助け起こしてくれる。


「まったく、あのフリッツ坊は……リオン様、おケガは?」


「……あーうー(無念です)。」


「そうですか、無念ですか……。ふふ、きっと将来、見返してやれますよ。」


その言葉、俺の心に刻まれた。


今は負け犬のび太ポジでも、俺には知恵がある。

部下がいれば、戦力があれば、世界が変わる。


フリッツよ……今に見ていろよ……!


リオン・フォン・エルトレード、1歳。ジャイアンにパンで殴られた秋の出来事である。


つづく。

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