表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生特典のない俺は最強の布陣で異世界に挑む  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/60

第19話:「学ぶのは子供だけだと思ってる?」 by 4歳児

「問題は……親だな。」


フォローアップ班の報告を読み終えた俺は、ついに“根本”に手をつける決意をした。


「子供が変わるには、大人も変わらなきゃ意味がない。」


「リオン様……それを、まさか……?」


「うん、やる。親の特別授業、俺がやる!」


ロルフさんが無言でメモを取り始めた。今やもう「リオンの唐突な決断→体制構築」は通常業務だ。



---


まずは育成所への“保護者招待制度”を試験実施。


地方から親たちを招き、数日間滞在してもらう。

内容は食事、見学、体験、そして最後に「リオン特別講義」!


「緊張してきた……。」


「リオン様、いつもの“偉そうでちょっと生意気な風”で大丈夫です。」


「どんなアドバイス!?」



---


中庭に集められた約30名の保護者たち。


農民、木工職人、魚屋、元兵士、酒屋の女将……多種多様な“大人たち”が並ぶ中、俺は台に立った。


「皆さん、こんにちは。育成所代表、リオン・フォン・エルトレードです。」


ざわ……と空気が動く。


「うそ……あの子が代表……?」


「まだよちよちしてるような……。」


よちよち言うな!ちゃんとしたステップだこれ!


俺は咳払いし、堂々と宣言した。


「今日は“教養の必要性”についてお話しします。テーマは――“学ばない大人が、子どもの未来を壊す”。」


空気がピシッと固まった。



---


「子供は、“見たものをまねる”んです。


字を読まない大人を見れば、“字は読めなくていいんだ”と思う。


学ぶことを馬鹿にする大人を見れば、“勉強しても意味ない”と思う。


……それ、ほんとに言いたいことですか?」


数人が、うつむいた。


「もちろん、大人になると忙しい。わかります。


でも、たった10分でもいい。本を読むふりでもいい。


“学ぶってことは、かっこいいことなんだ”って、背中で見せてください。」


老いた漁師がぽつりと漏らした。


「……わし、読み書きできねぇ。でも、孫に“かっこいい”って言われてみてぇな。」


「その気持ちがあれば、もう始まってます。ようこそ、リオン養成所・親の部。」


その場にいた全員が、笑った。


俺は締めの言葉を口にした。


「子どもは育つ。でも、大人も“育て直し”できる。


だから俺たち、大人も、がんばりましょう。」


拍手がわき起こった。誰も俺の年齢を口にしなかった。


このとき、俺は“先生”だった。



---


リオン・フォン・エルトレード、4歳と1ヶ月。ついに“大人に教える側”に立った、冬の光差す午後である。


つづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ