第5話「壊れた少女、忘れられた記憶」
舞台
場所:市場から徒歩30分ほどの旧配送センター跡
建物:半壊した鉄骨構造、倉庫部分は半分崩落し、管理棟はかろうじて形を保っている
目的:お酒の探索(換金・消毒・燃料用として)
【廃墟への探索】
日の傾いた午後。2人は市場で得た物資を整理した後、軽装で配送センターへ向かっていた。
レイナ「ほんとにあると思ってんの?酒なんて」
ミナ「瓶のラベルが綺麗だったら高く売れるんだよ? 消毒用でも使えるし」
レイナ「……まぁ、あんたの変な勘は当たるからいいけど」
埃をかぶった棚、散乱する段ボール――2人は管理棟の小さな倉庫で、それなりに年代物のウイスキーや焼酎の瓶を見つける。
【発見】
ふと奥の崩れかけた扉の隙間から、かすかな発光がレイナの視界をかすめた。
「……おい、誰かいる?」
ライトで照らすと、そこには――
少女の姿をしたアンドロイド。
背中を壁に預けたまま倒れ、片腕は失われ、胸部装甲も割れている。
肌は人間のように柔らかく、しかしところどころに機械の骨格がのぞく。
胸元の識別コードは焼け焦げ、表情はうっすらと苦しそうなままフリーズしていた。
【機能回復と会話】
ミナがしゃがみ込み、慎重に残った端子を確認。
「うわ まだ、動いてる……起きてる。意識だけは残ってるみたい」
応急処置としてバッテリーパックをつなぎ、冷却液パイプをタオルとテープで仮補修。
わずかに、瞳が光を宿す。
「……わた、しは……ユ、イ……ですか……?」
少女型アンドロイドは、ぎこちない声で名乗る。
レイナは即座に警戒する。
「置いていく。企業製だ。下手すりゃ、信号送ってるぞ」
「でも……この子、生きようとしてた。たったひとりで」
「機械に“生きる”なんて感情は――」
「あるよ。だって“お願い”って、言ってたもん」
ミナの強引な説得に折れ、レイナは舌打ちしながらもユイを担ぎ上げる。
「チッ……責任持てよ、ミナ」
「もちろん! 家族が増えるんだもん!」
ユイは、ゆっくりとレイナの顔を見て、微かに微笑んだ――
それが、彼女の本当の“起動”だった。