ー第8話ジョーンズクリーク
母親は喜んでくれた。
会社は徹さんが、祝賀会を開いてくれた。
ただミレエメリラの父親は反対で、バンドの練習にも来なくなった。
ダニーボーイとフリーゴーとサトシで、説得に行くが会ってもくれない。
そんな夏が来て終わり。クリスマスが来た。
3人でクリスマス飲み会をしていると、お友達のおっさんとおばさんが来た。
「店は閉めて来たんですか?」
「もちろん」
「真ん中に真ん中に」
二人を押し込む。
「ミレエメリラはどうなの?」
「親父さん、音楽界を風俗だと思ってるみたいです」
「まぁ、そういう事やってる連中も居るからな」
サトシが言う。
「ミレエメリラのお父さん。演歌の大江千裕のファンでファンクラブにも入ってるみたいなんです」
おばさんがニタリと言う。
「つまり?おっさんのコネで大江千裕に説得してもらう?」
「大江千裕の後援会長は、月末にゴルフコンペで会うから頼んでみるよ」
ダニーボーイがおっさんにビールを注ぐ。
「サトシ、意外と業界っぽい発想するな?」
「違うよ。母親のアドバイス。元グルーピーだから」
おっさんが言う。
「あぁ?香さん?そういや、元旦那のバンド。アメリカでバズってるらしい。アトランタのジョーンズクリークのフェスに、元旦那招待されてる。YouTubeで火がついたらしい。」
「Grandmenu?サトシの離婚したお父さんだろ?歌うまいよな」
「僕も知らなかった。話してくれなかった。最近ポツリポツリ話してくれるよ」
おっさんはサトシを見つめた。
「ファウチのレーベルの人がね。香さんをフェスに連れて行きたいって。三上慧が20年振りに歌うかもしれない」
サトシはおっさんを見つめ返す。
「それはぜひお願いします」
結局母親香と、サトシ、ダニーボーイ、フリーゴーで行く事になった。帰国子女のミレエメリラの語学力が有ると助かると言う事で、説得を急ぐ事になった。