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番外編2 賭け

「兄者、あの生き残りはどうなさるおつもりですか?」

生き残りとは、カレン·バディムの従妹、アンジェリーナの姪であるアレクシア王女のことだ。

実の親のやり方に耐えかね、王家を見限りベシュロムから亡命した王族だ。

「あれはまだ様子見だ」

「ふふ、やはり兄者はお優しい」

「優しいのではなくて、甘いと言いたいのだろう?」

彼ら一族は、二度も目こぼしされて来たにも関わらず、恩を仇で返したのだ。


一度目は5代前の王子、二度目はアンジェリーナだ。


せっかく命までは取らなかったというのに、何も学ばず、自分の子孫に注意することすら怠った。


「あの娘はアンジェリーナとカレンのような悪辣な女ではないですからね」

弟の言葉に兄が返した。

「本当にお優しいのは女王陛下だ。あの一族にやり直す機会を今まで与え続け、我ら二人にもこのように目こぼしを与えて下さっているのだからな」

「確かに」

「あの方も、結構甘いところがおありなのだ」

「ええ、本当は乙女ですからね」


その時、森がビリビリと感電するような衝撃が走った。

「ウッ···」


『余計な口を叩くではない』

「御意」

『あの娘は、無害ぞ』

「はっ」

『だが、しかと見張っておれ。また害になる血筋となるならばその時は』

「承知」

その時は、また我らが屠るということだ。

『あれは、(わらわ)の賭けじゃ』

「賭け?」

(妖精の女王の気まぐれか?)

弟がそう思った時、またビリビリに襲われた。

「ヒッ···」


『そこでだ、お前の禁を解く。隣国まで出張らないとならぬであろうからな』

「ありがたき幸せ」

『ではな、励めよ』

双子達はひれ伏した。


「兄者、女王の賭けとは、一体どちらに賭けているんですかね?」

「決まっているだろう、無害な血族が続く方にだ」

「でも、その反対もあるわけですよね。現に我らは屠ったばかりですよ」

「ああ、それでも陛下は信じたいのだ」

「裏切られても、まだ信じようとするの、それ、ますます女···」

「おいっ、そういうことを言うのはやめ···」


双子は本日三度目のビリビリを味わった。


兄は、その銀の左手で弟に拳骨を食らわせた。

「ごめんなさい」



(了)

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