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41話 剣術授業



 今日から騎士科との合同授業が始まった。


 先程、お昼休みに別れた皆とまた再会する。軽い挨拶を交わすと、授業が始まった。


 授業が始まると、先生からグループ分けを発表される。


 レオン、ドニ、ニコルさん、クリスチアン様が居る数名で構成された上位グループ。

 テオ、ベン、エッボ、ディル、ヤン等、ドニの友達が居る一番人数の多いグループ。

 そして一番人数の少ない、わたし、マリー、フレデリク様の三人グループ。


 剣術が得意な騎士科において、わたし達のグループは明らかに能力が不足しているのだろう。魔術の授業に引き続き、自分の能力不足に少し落ち込んでしまいそう……。


 わたしもドニと一緒にダンテ師匠に教わっていたから、それなりに出来ると思い上がっていたばかりに、魔術の授業の時よりショックが大きい。



 授業が進むと、他のみんなは打ち合いをしているが、わたし達は基本の構えや素振りのみだった。それでも息切れを起こしているわたし達には、他のグループの人達の体力が無尽蔵に思えた。


 素振りをする腕が疲れて剣先がブレてくると、先生から注意が入る。その声でまた力を入れ直す。そんな光景が続く。


 わたし達がクタクタの状態で素振りをしている間に、上位グループでは模擬戦の様なものが始まっていた。気がつけば、賑やかな掛け声が聞こえてくる。


 模擬戦を終えたのか、汗を滲ませたレオンが笑顔を携えてこちらに駆け寄ってきた。


「よぉ!女に混じって素振りか〜!?」


 レオンは元気にそう言いながら、素振り中のフレデリク様の背中を勢いよく叩いた。フレデリク様の口から「うぐっ……

 」と言う重い息が漏れたと同時に、持っていた剣をカランと落としてしまう。


「お前ホントに弱っちいなぁ〜」


「人には、適材適所と言うものが……」


 ケラケラ笑いながら言うレオンに、フレデリク様はゼェゼェと息を切らしながら答える。落ちた剣を拾おうとするフレデリク様の手が、疲労からか震えていた。


「ハハッなんだそれ!」


「向き不向きの問題です」


 レオンが興味無さそうに「ふーん」と答えながら、頭の後ろで手を組む。素振りの疲労からか、なかなか剣を拾えないフレデリク様に変わって、わたしが剣を拾い上げる。


「大丈夫ですか?」


「すみません……」


 剣を渡すと、フレデリク様は申し訳なさそうに受け取った。眼鏡の位置を直そうとする指も震えていて、フレデリク様の疲労が伺える。


「女に心配されてやんの!」


「そんな言い方したら、フレデリク様が傷ついちゃうよ」


 わたしがそう言うと、レオンは不機嫌そうに「フンっ」と鼻を鳴らして去っていった。


「申し訳ありません、レオンが失礼な態度を……」


「わたしは全然気にしてないので、謝らないでください」


 フレデリク様は困った様に微笑みながら、深い緑色をした真っ直ぐな髪を掻き揚げる。艶のある髪は、またサラサラと元の位置に戻った。



 

 ゲームでのレオンとフレデリクも、仲が良いとは言えなかった。お互いに得意な事が違うので、価値観も意見もよく対立していた。


 剣術が得意なレオンは、王国騎士団長の息子という立場でクリスチアンと知り合い、フレデリクは幼少の頃から学問に秀でていた事を評価され、クリスチアンの友人として過ごしていた。


 クリスチアンを通じてふたりは出会い、交流していく。その中で自分の苦手なことが、相手の得意分野である事実にお互いコンプレックスを抱いていくのだ。


 元からお互いの能力については認めていて、主人公と恋愛をしていく中で素直に認め合える存在になっていくストーリーは、とても感動した。


 主人公と向き合う事で、自分のコンプレックスとも向き合う事が出来たのだ。最初は価値観の違いから衝突する事もあったが、元々認め合っていたふたりからコンプレックスを取り除けば、素直に尊敬し合える関係を築けた。

 


 きっと、マリーはクリスチアン様のルートに入っているはずだから、レオンとフレデリク様は険悪なままなんだろうな……と少し悲しい気持ちになる。




「エマ?大丈夫ですか?」


 マリーが心配そうにそっと腕に触れてきた。また思考の海に沈んでいた事に気づき、ハッと浮上する。


「う、うん、全然、平気!大丈夫!」


 急いで笑顔を貼り付ける。まさかマリーの恋愛事情を考えてたなんて、言えるわけがない。


 マリーは一瞬不思議そうな顔をしたけれど、すぐに可愛らしい笑顔を返してくれた。



 わたしが何かしようだなんて、おこがましい。だってわたしはただのクラスメイトで、ただの友達で、そんな深い所に急に入り込んでいい関係性を築けていない。悲しいけれど、わたしにはどうする事も出来ない。だって、わたしは主人公なんかじゃない。わたしは、マリーじゃない。


 だって、皆の心を救うのは、いつだって主人公だから。



 だからわたしには、なにも出来ない。ただのモブでしかない、わたしには――。




 そんなどうしようも無い、タラレバばかりを考えてしまう。



 それでも、やっぱり、大好きな皆には、幸せになって欲しいよ。


 

 


 

 

 

 

 

 

Merry Christmas!

貴重な時間を頂きありがとうございます!

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