俺。転生した。
「はぁ。今日も疲れたなぁ」
会社帰りの俺、佐藤天賦はどこにでもいるサラリーマンだ。今日は残業して、疲労困憊だ。
会社まで徒歩で通っている俺は、信号を待っていた。
(明日も会社かぁ。異世界転生とかして、美少女達に囲まえてぇなぁ)
そんなことを考えていたら、トラックが突っ込んできた。
「テ、テ、テンプレ展開だ!!!」
そう。このトラックが突っ込んでくる展開は、転生する予兆。大体のラノベ主人公はこの死に方で転生すると言っても過言ではないだろう。
トラックが俺と衝突した。血が流れる。周りの人々が救急車を呼んだり、写真を撮ったりしている。
(見てろよ。俺は転生するんだ)
そして、意識が飛んだ。
「……よ。……天賦よ。佐藤天賦よ」
低い男の声が聞こえる。
来た。神様の声だ。僕は勢いよく起きて、その声の主を見る。
白い髭を生やした爺さんだ。白く、少しボロい服を着ていて……。The神 といった印象だ。
「は。はは。わーーーーはっはっはっ!!見たか!!!!俺は転生するんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
転生することが嬉しすぎて、テンションがおかしい。
「お前神だろ!!俺は異世界転生して、チートハーレム作るんだぁぁ!!!」
「お、おう。そうか。じゃあ、とりあえず力はやるからあと頑張ってくれ」
「任せとけ神よ!必ず魔王を倒してくる!」
「お、おう。よく魔王がいる事がわかったな。一応言っておくが、お主は勇し……」
「勇者として転生するんだろ?」
「お、おう。そして聖け……」
「聖剣を引き抜き、聖女などの仲間と一緒に魔王を倒すんだろ?」
「お、おう。もういいや。いけ!!佐藤天賦よ!!魔王を倒せ!!」
紫色のブラックホールような物が現れた。これワープだな。
「行ってくるぜぇぇ!!」
俺は意気揚々と、そのワープに入った。
「い、行ったか。勇者あいつで大丈夫なのか……。心配だ……」
俺は転生した。