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少年と女の子
「少年、その笹舟がどこに辿り着くか気にならない?」
僕が、いつものように川に流した笹舟が水流に乗るのを見守っていると、ふと聞きなれない女の子の声が後頭部に投げかけられた。
僕はちょっとびっくりして後ろを振り返った。
そこには僕よりちょっとだけ年上っぽい女の子が腰に手を当てて、まるで悪いことに勧誘するかのようなニヤニヤした表情をして立っていた。
花柄のワンピースにそこから覗く細い手足は健康的に日に焼けていて、頭には大きな麦わら帽子を被っていて、ひまわりみたいな女の子だなって僕は思った。
「お姉ちゃん、僕のこと知ってる人?」
どこかであったことあるなんとなく、そんな気がした。
「知ってるっちゃ知ってる、知らないっちゃ知らないかもね、少年。」
どういうこと?と僕が訪ねると女の子は質問には答えずに続けた。
「あの笹舟がどこに向かうか気にならない?流れていく先を見に行こうよ、少年。」
その時の女の子の得意げな顔は今でもはっきりと思い出せる。