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第5話 これが召喚した人を住ませる場所?!

 あの後ヴォルゴードさんに連れられて、そのまま城の中に入った。一応僕らには部屋が与えられるような話がステータス確認の前にあったのは覚えている。


 きっとこの世界の基準からすれば良い方なんだとは思う。もちろん現代人な僕らからすると不満はあるような部屋だ。その点は他の人達も同じみたいだった。まあ、他の人が話していたのを聞いていただけなんだけどね。


 そんな僕らの部屋は城の2階以上にあるはずだけど、ヴォルゴードさんはどこまでも城の1階を進む。そして到着した扉を開けると、そこは地下への入り口だった。


「何も言わずに来い」


 僕が何か質問をすると思ったのか、すぐさま釘を刺される。それに城に入った時からヴォルゴードさん以外に2人の兵士も僕の両側にいて、まるで連行されている感じだ。実際これで手錠とかされていたら、間違いなく連行されていると思う。どちらにしても武装した人が3人もいたら、僕なんかが逃げられるとは思えない。


 ちなみに鞄とか持っていた僕なんかは、外でステータスを確認する前にメイドさんが預かっていった。


 階段を降りながらいくつか踊り場のようなところを過ぎて、多分今は地下5階。薄暗い地下の通路を僕らは進んでいて、どうやら一部は倉庫みたいだ。途中でメイドさんらしき人が食料が入っていそうな大きな袋を担いでいるのに出会ったりもしている。ただ地上階にいたメイドさん達とは違い、明らかに服装に違いがあって、何より汚れが目立つ。メイドさんの中にも身分差があるんだろうとは思うけど、流石にどの様な違いかは分からない。


 さらに歩いて行くと、扉の前で立ち止まる事になった。ただしその扉は、普通鉄格子という扉だ。奥に通路が続いているみたいで、明らかに普通の人が入るところとは思えないし、何より召喚した人を連れてくるところとも思えない。


 そのまま有無を言わせないように両側にいた兵士が僕の側から肩を担ぐと、慌てて振りほどこうとする寸前に布で猿ぐつわをされた。しゃべれなくなって思わず唸ったけど、ヴォルゴードさんは何も言わずに歩き出し、兵士2人は僕の足を地面から離した状態で歩き出す。口だけでなくいつの間にか手足などもロープで縛られていて、暴れる事すらまともに出来ない。


 そのままの状態でさらに進むと、螺旋階段をさらに降りて円形の広場のような所に到着した。そこには鉄製の扉がいくつもあり、扉には窓も無いのでどうなっているのか分からない。


 そのまま一つの扉の前に到着すると、ヴォルゴードさんが扉の鍵を開けた。扉には2つの鍵が付いていて、形は時代劇で見るような大きな南京錠のような物。しかも明らかに重いと分かる。それを両方とも外して中に入ると真っ暗。


 壁の近くにヴォルゴードさんが手をかざして何かを唱えた。するとそれが灯りを点ける為の呪文みたいな物だったのか、暗かった部屋が一応明るくなる。とは言っても、青白い光で明るい訳ではないし、部屋全体は一応分かるけど、どちらかというと常夜灯の青色版みたいな感じで、部屋の中がやっと見える程度といった感じ。


 部屋の中にはシングルサイズよりさらに幅が狭そうなベッドが一つと、その上に布が一つ。枕は無いみたいだ。机もないけど、一番奥に座れそうな場所がある。よく見ると真ん中に穴が開いていた。


「後で私物を運ばせるが、ここが今日からお前の部屋だ。出る事は許されない。食事などは定期的に運ぶ。その時はベッドの横にあるそこの金属の扉から出てくる。食べ終わったら扉の中に戻しておけ。トイレはその穴の中にしろ。それと専用の服を後で運ばせる。それまではこのまま縛らせてもらう。まあ、運が無かったと思え」


 そう言い残して僕をベッドの上に兵士2人が放り投げた。ベッドは藁か何かを敷いているみたいだけど、クッションの役割ははっきり言ってほとんど無いし、壁に背中を打って呻いているうちに扉が閉まる音がする。


 両手両足を縛られながら、何も出来ない状態で一体何でこんな事になったのか考えたけど、多分ステータスカードの内容が関係しているんだと思う。だからってこれはあんまりだ。


 泣きたくなるのを抑えてそのまま待っていると、しばらくして別の人達が入ってきた。思わず睨んだけど、まるで気にしていないのはすぐに分かる。


 そのまま動けない僕を2人が押さえつけて、後ろで縛られている腕に何かを注射された気がした。何をされたのか分からずにいると、次第に力が入らなくなる。僕がまともに動けなくなったのを確認したのか、それから縄や猿ぐつわを外した。文句を言おうとしたけど、喋る気力すら出てこない。何か変な薬を打たれたんだと思う。


 その間にベッドの横には僕の数少ないいくつかの私物が床に置かれ、そのまま服を脱がされた。下着も奪われて裸の状態で別の服を着せられていくけど、どんな服かはよく分からない。きっと囚人服みたいな物だと思う。正直頭が何を起きているのか判断するのを拒否しているんだと思う。


 私物の方に何とか目を向けると、元々着ていた服はいつの間にかなかった。


 天井にフックがあるのに気が付いたんだけど、それは僕に金属製の手錠をした後で、その手錠の真ん中から伸びる長い鎖が付けられたから。どういう仕組みになっているのか分からないけど、しばらくするとフックは天井の奥に消えて、鎖がやっと出てこれるほどの穴を残して、フックがあったとは思えない状態になる。鎖の長さから部屋の中を移動するには困らない長さだとは分かったし、手錠の両側も鎖で肩幅程度には一応開くので、食事などには多分困らない。けど色々と納得出来ないどころか、ふざけるなと言いたい。


 そんな僕を無視して一通り終わったのか、最後に僕の状態なんかを確認してから入ってきた人達は扉の外に消えて、外から2つの鍵は閉まる音がした。

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