第4話 え、いきなりボッチ?!
ステータスカードの作成と説明が終わり、それぞれのステータスカードを確認すると言われて列に並ぶ。列は3つあり、近衛隊長と言っていたオレール=ドゥラノワが真ん中で監視しながら、その前に副長のマクシム=ユルチャ。左には近衛兵のペッテル=ヴォルゴードという人で、右側には魔術師と名乗ったマチアス=バルビエという人。
近衛隊長とその部下は、いわゆる騎士の格好をしている。重厚な鎧にこの国の物らしい紋章が胸に描かれ、隊長と副長には肩に黄色い飾緒が付けられていて、首を守る部分には階級章らしき物もある。階級章は黒地に赤い線があり、赤い線の数が多いほど階級が高いみたいで、さらにその階級章には六芒星の形をした金色や銀、赤色などいくつかの種類があるみたい。
魔術師の方は濃い紺色のローブ姿だけど、何だか重そうなローブを着ている。こちらは右胸にこの国の紋章が描かれていて、左胸に階級章らしき物が付けられていた。デザインは鎧に付いている物と同じみたいだけど、鎧に付いている物より少し大きい気がする。また赤い飾緒も肩に付いているけど、色に意味があるのかどうかは良く分からない。
ステータスカードを見せる相手で何か違うという事は無いみたいだけど、カードの内容からか、いくつかのグループに割り振られて並べされられている。違いはまだ分からない。実際、男女比はバラバラだし、身長や体型もバラバラの組み合わせ。
そんな中で僕は一番左の列に並んだ。別にどこでも良かったんだけど、何となくそこの列が短く感じたし。それに見せるのは結局同じだ。だったら早く終わらせたい。
先に並んでいた同級生の杉浦 聖治が勇者の称号を持っていたらしく、かなり騒がしくなった。ただ個人的には勇者なんかじゃないと思う。だって他人を踏み台にして自分が目立つ事を好んでしているとしか思えないから。
それから僕を積極的にイジメている1人の友廣 護は守護騎士という職業だったらしい。どう考えてもそんな人物じゃない。
さらに数十分ほど経過して、やっと僕の番がやってきた。ここでまた変な事に巻き込まれたくないので、すぐにステータスカードを見せる。
「ん?気のせいか・・・・・・」
僕のカードを見たヴォルゴードさんが顔をしかめる。一度服の袖でカードを拭ってからもう一度見て、すぐ後ろに控えているドゥラノワ近衛隊長の方を向いた。
「団長、宜しいですか」
「何かあったか?」
すぐさまドゥラノワ近衛隊長が来て、僕のステータスカードを確認すると、僕を頭の上からつま先までジロジロと見て、もう一度ステータスカードを確認する。それから何かをヴォルゴードさんに耳打ちすると、そのまま元いた位置に戻った。
「何か問題ですか?」
正直心配になって聞いてみると、なんだかとても嫌らしい顔をしてヴォルゴードさんは、ステータスカードを返すと誰もいないいちばん右側に移動するように言う。嫌な予感はするけど、下手に騒いで殺されたくもないし、大人しく指示された場所で待つ事にした。
結局最後までステータスカードの確認が終わるまで、僕の所に来た人は誰もいない。かなり不安になるし、クラスメイトを含め何人かが変な顔をしてこちらを見たりしている。なかには嫌らしい顔を向けている人もいるけど、正直こっちはそれどころじゃない。
それとステータスカードの確認が終わりそうになる前に、何人かの近衛兵と思われる人や、ローブ姿の人が現れた。
「よし、終わったな。これより別れたグループごとにこれからの予定を伝える。それと――」
ヴォルゴードさんが団長に耳打ちした。
「タカミ=コガは、ヴォルゴードが案内するところに行くように」
こうしていきなり僕は、他の人達から引き離される事になってしまった。余計に不安だ。




