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第3話 ステータス

 王様との謁見?が終わった後、僕らは別の場所に移動となった。多分謁見の間は普通は使わないのだろう。そして案内されたのが壁に囲まれた土剥き出しの広場。感じからして兵士の訓練する場所かもしれない。


「私はこの国の近衛兵団隊長を陛下より拝命しているオレール・ドゥラノワだ。先程陛下のお言葉があったように、貴様らにはこれから魔族と戦う兵士となってもらう。拒否したい者は名乗り出ろ。その様な未熟な者は必要ない。この場で即座に処分する」


 オレール=ドゥラノワと名乗ったのは一際豪華な装飾をした鎧を着た男で、金髪。身長はかなり高いのか、190センチはあるはず。そして『処分』というのは、きっと殺すという事だと思う。だから僕も含めて誰も名乗り出なかった。


 正直怖いけど、こんな所で死ぬのはもっとゴメンだ。今は生き延びる方法を探すのが先決。


 それにしても、外でも肉声がよく聞こえるのはなぜだか全く分からない。屋内なら何か仕掛けがあるのかと思ったけど、少なくとも外でそんな事が出来る方法を知らない。


「うむ、よい心がけだ。今は魔族との戦闘は小康状態だが、我々は1年以内に占領された地域を奪還する計画を練っている。貴様らはその戦いに参加してもらう。戦いたくないという言葉を除き、一応質問を許可しよう」


 前の方にいた女子が恐る恐るといった感じで手を上げた。


「何だ?」


「わ、私達は戦った事なんてありません。こ、ここの事も、わ、分からないし、何を、ど、ど、どうすれば良いのでしょうか?」


 震えた声で聞いていたけど、多分僕らが一番知りたい事だ。


「そ、それと私達は元の場所に帰る事は出来るのですか?」


「まず、帰る事など考えるな! そもそも私はその様な事は知らない! そんな事を聞くという事は、逃げたいのか!?」


 完全に脅している声で、質問した女子生徒が震えている。


「い、いえ。そんな事はありません!」


 完全に相手に全てを握られている。そして多分帰る方法があったとしても、この様子だと教えてくれるとは到底思えない。つまり帰れない。他に気が付いている人はいるかな?


「まあいい。戦い方はこれから教えるが、我々にはそれぞれ『能力』を持っている。一般的には『スキル』と呼ばれる事が多い。召喚した貴様らにも、この世界のスキルが使えるはずだ。それと召喚者は、一般的に他の人間よりもスキルの力が強い傾向がある。かといって我々に逆らおうとするなよ。個人での能力が多少上回ったとしても、集団となると話は別だ。こちらの話を聞かないような奴には、相応の罰を与える。陛下からは最悪処分してもよいと言われている。魔物の餌になりたくないなら、我々の言う事には絶対に従え」


 女子生徒は完全に萎縮してしまって、嗚咽のような声が聞こえるけど、誰もが無視していた。まあ僕も、声をかけるほど度胸はない。とてもじゃないけど、こんな所で何か声をかけて、相手の兵士の印象を悪くしたくはない。


「それとだが、スキルの中には戦闘に向かない場合も当然ある。しかしその場合でも、戦闘向けのスキルを持った者の補佐をさせる。拒否権は無い。スキルが戦闘向けで無いからといって、戦闘に参加せずに済むなどとは思うな」


 勇者召喚どころか、これじゃあ奴隷召喚じゃないか。しかも相手の方が強いので、とてもじゃないけど下手な事なんて出来ない。


「そしてこれがステータスを表示させるカードだ。ステータスカードと呼ばれるが、身分証にもなるから無くすな。また犯罪を犯すとその表示も出るようになっている。場合によっては奴隷になる可能性もあるので、絶対に無くさないように。町中で持っていない場合でも、場合によっては奴隷商人に連れ去られる事もある。その場合は諦めろ」


 そう言って銀色のカードを見せた。大きさはキャッシュカードよりもだいぶ大きい。前にパスポートを取った事があったけど、それよりも若干小さいくらいだと思う。


「1人につき1枚渡す。同時にナイフも渡すので、それで指先を刺してカードの中央付近に血を付けろ。それでステータスが表示される。ナイフもそのまま所持して構わない。護身用にもならないが、最低限の調理に使う事くらいは出来るだろう」


 渡されたナイフは、刃渡り10センチにも満たない長さで、確かに武器として使うには明らかに役不足。急所を狙えば多少は可能性もあるけど、現実はそんなに甘いと思えない。


 ナイフと同時に渡されたカードを見たけど、どちらが表かも分からない。どちらを見ても何も書いていないので、とりあえずナイフの先端で親指を少しだけ刺す。血が滲んできたのを確認してから、それをカードの真ん中に押しつけた。するとカードが淡い青い光を少し放つ。同時に何か体から抜けるような感覚。親指を離すと、既に血は止まっている。そしてカードには文字や数字が並んでいた。


 仕組みはさっぱり分からないけど、そこには名前の他に性別や年齢が記載されている。


タカミ=コガ(古河 貴海)、男、ヒューマン、17

職業:--

Lv1

状態:普通

HP:39(39) MP:22(22)

STR:12

DEX:14

VIT:59

AGI:91

INT:45

MND:12

LUK:5

魔法属性

--

固有魔法

--

スキル

--

固有スキル

--

称号

被虐者、運悪き者

固有称号

召喚されし者、被虐体質、運無き者


 ステータスカードにはこのように表記されているけど、まるでゲームみたいだ。HPやMPはそのままの意味かな?AGIが一番高くて、VITがその次。INTもそれなりの数値に思えるけど、正直他の数字がかなり低いように思える。説明してもらわないと、正直何の事だか分からない。


「よし、全員終わったな。それでは1人ずつ確認する前に、それぞれの説明を簡単に行う」


 その説明で分かったのは、一番上が当然名前だけど、この世界では名字が後に来るらしい。ただ括弧付けで日本語名があったりするのは不思議に感じる。そして性別に種族、年齢と続いているそうだ。ヒューマンは当然普通の人間の事で、他の種族だと当然ここが変わるそうだ。


 その後のHPやMPはゲームで聞くのと同じみたいで、HPに関してはゼロになると死んでしまうけど、MPがゼロでは死ぬ事はないらしい。ただ普通よりもかなり疲労感が強くなるので、いわゆる魔法の使いすぎは命に関わると言われた。個人差はあるらしいけど。ちなみにHPの正式名称はヘルスポイントというらしく、MPはマジックポイント。


 その後のはそれぞれスタミナ、デクスタリティ、ヴァイタリティ、アジリティ、インテリジェンス、マインド、ラッキーの事で、最後のラッキーだけは0から100の間の数字。他には上限が無い。スタミナは力の強さであり、デクスタリティは器用さ(武器や魔法の扱い、種類の豊富さ)、ヴァイタリティが持久力でアジリティが敏捷性。インテリジェンスは賢さ(魔法の威力に影響)となり、マインドが精神力(魔法防御力と精神耐性(グロテスク耐性))を示すと言われた。


 そして一般的な人のレベル1の場合の平均値だけど、


HP 50、MP 20

STR 30

DEX 25

VIT 40

AGI 20

INT 20

MND 30


 となるらしく、ここにいる騎士達の平均的な値は


Lv50

HP 6000、MP 3000

STR 1200

DEX 350

VIT 1500

AGI 1000

INT 500

MND 2000


 だと言われた。レベルに関してはこれからの訓練で上がるので気にする必要は無いらしく、別に魔物などを殺さなくても、普通の肉体作りの訓練で上がるらしい。もちろん何かを倒して殺した方が圧倒的に上がるのは早いらしいけど。もちろんレベルが上がればステータスも上がるらしいけど、LV50でこの数字は高いのか低いのか判断があまりつかないし、そもそも一般の人と比べると僕の数値は明らかに低い物ばかり。さらに変な称号までいくつも付いている。


 何だか嫌な予感がするな。

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