表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

エピローグ?

 貴海が魔族と共にどこかへ連れ去れたが、残ったメンバーは結局その事を気にする事もなく3ヶ月が経過した。


 時折貴海の居場所を騎士などに聞く者がいたが、あくまで興味本位であり、相手も分からないと言うと、それだけで終わってしまう。そもそも居場所を本当に知りたいのではなく、適当に嬲りたい者がごく希に聞く程度だったため、そういった事自体が希だった。


 そして訓練を終えてすぐさま前衛として戦える者と、それを補佐する者を含めた120人に、さらに国中から徴兵された兵士と共に、草原へと集まっていた。


 少し先には立派な石造りの『ラングハンス砦』という場所が見えるが、そこは魔族の占領地になっている。バレンティン=ハロン=テヘダ=パレンシア国王の説明では、元々村があった所に魔族の侵攻を食い止めるため砦を建造したらしいが、町や村があったという痕跡は道を含めて全く無い。しかし召喚者たちはそれを疑問に思う事もなく、翌日に控えた砦奪還作戦のために最後の休養を与えられていた。


 しばらくすると見張りが大声を上げて何かを言ったが、同時に轟音が辺りに響き、召喚者120名は全員死亡。数人だけ生き残った徴兵された者が、傷だらけの身体で近くの町に何とかたどり着き、奪還軍の全滅を伝える。


 それとほぼ時を同じくして、王都の各地では火の手が上がり、闇を明るく照らしている。姿が見えないその攻撃に人々はただ逃げ惑うのみ。


 翌日の昼頃には城が陥落し、城にいた者の大半が捕縛され、王族全員が死亡または捕らえられていた。その中には同時に残りの召喚者も含まれており、彼らは全く抵抗できなかった事が捕縛しいる者たちは無傷どころか服装などに傷もない状態であり、捕まった者たちの何割かに血痕などが付いている事からも、王都の住人は理解する。


 さらに3日後パレンシア王国の滅亡が占領した魔族によって宣言され、周辺にあった3つの国へ吸収されたが、魔族はそこに加わっていない。それどころか戦闘が終わると、最低限の交渉のための人員だけを残して去っていったという。


 ただ一つ。魔族にいた指揮官らしき者の1人が、撤収する前にこう言っていたという。


『タカミ様々だったな。これでこの地は平和となるはずだ』


 また、召喚されて生き残った約300人は、生き残った全員が魔族の捕虜として連れ去られたが、その後どうなったのかは分かっていない。


 後の歴史家は、この時代についてこう書いている。


 パレンシア王家の暴走で始まった混乱は、結局異世界から召喚された者たちの中の、たった1人のために終息する事になった。詳しい事は今もベールに包まれている事が多いが、以後その1人の名前が当時の魔族領、現メリーン王国の礎となったのは、今もその名がかたられている事から間違いないと思われるが、メリーン王国に住む住人の大半が魔族である事と、その者の事についての詳細な記録は厳重に保管されているため、何が起きたのかは分かっていない。


 しかし1つ言えるのは、当時のパレンシア王家が恐れていた魔族が凶暴というのは幻想であり、実際にそれ以前やそれ以後の歴史でも、現メリーン王国やその元となった国々が他国に対して積極的な軍事的侵攻を行った記録は見つかっておらず、むしろ友好国であった他国は、旧パレンシア王国よりもはるかに裕福であったとも伝えられている。


 異世界から召喚され、パレンシア王家より生贄として当時の魔族に引き取られた者の名前は「タカミ=コガ」と言われており、メリーン王国では今でも魔族に貢献した1人として崇められている。メリーン王国城内にはその銅像があるとされるが、そこはごく一部の者以外立ち入る事が許されず、生前どの様な姿であったかも分かっていないが、彼ら魔族の中では今も『英雄』や『救世主』、『国の母』や『魔族の母』などとされており、その名前はメリーン王国各地の教会などでも一般的に見られる事だが、「タカミ=コガ」は男性であったとされており、『国の母』や『魔族の母』という意味がどの様な事を指すのかは今も分かっていない。


 また他にも大勢の召喚者がいた事は分かっているが、正確な人数は不明である。一部が当時の魔族が住む地域へ送られたらしいが、こちらも記録が曖昧であったり、非公開になっている物もあり、謎に包まれている。そしてタカミ=コガと異なり、他の召喚された者たちについては、一部に人体実験されたなどの噂があるが、真実は不明であり、タカミ=コガと異なり、1人1人についての詳細な記録は全く残っていない。


 ただし「タカミ=コガ」については、あと500年後に、当時より魔族に貢献した全ての事実を公開するとメリーン王国は宣言しており、これはメリーン王国成立前から伝えられているとされている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ