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モジシャン  作者: 9741
第1章 遅れてやってくるのはヒーローだけで十分
8/9

必殺技を繰り出す時は技名を叫べ

「え、なんで……」


 武器が出てこなかったことに動揺した乃々(のの)に、怪人は攻撃をする。彼女は慌てて態勢を立て直し、その攻撃をかわす。


「なんで。なんで出てこないの!?」


『ふむ、どうやら“カタカナ(かたかな)”は使えないようだな』


 突如、腰に着けた謎の機械から、声がする。この声は勇助(ゆうすけ)のものではない、もちろん怪人の声でもない。


「ベルトが喋った!? ベルトさん!? クリム・スタインベルト!?」


『落ち着きたまえ。そのベルトには通信機能が備え付けられている。私は離れた場所から音声を飛ばしているだけだよ』


「あ、あなたは一体誰なんですか!?」


 乃々(のの)は怪人の攻撃を器用にかわしながら、正体の分からない声に話しかける。


『だから落ち着きたまえ。私はそこに転がっている江角(えすみ)勇助(ゆうすけ)くんの知り合いだ。それこそ、泊進之介とクリムのような関係さ』


 つまりは勇助(ゆうすけ)の味方というわけだ。通信を通してはいるが、喋り方から察するに、どうやら乃々(のの)より年上の男のようだ。


『今は私のことはどうでもいい。それよりその化け物を倒す方法を教えよう』


 男はとても冷静な言葉遣いで、乃々(のの)に助言を与える。


『いいかね? その怪物は不死身ではない。そいつの正体は言ってしまえば、水、だ。攻撃が当たる瞬間に身体を液状化させて、衝撃を受け流しているだけさ。だが今までの戦いを観察するかぎり、液状化するのは一瞬だ。フェイントをかけて攻撃を当てれば倒せる』


 どうりでダメージが全然無いわけだ、と乃々(のの)は理解する。

 さっきの勇助(ゆうすけ)キーメイス(きーめいす)による攻撃も、身体を水に変えて受け流していたのだ。


『そのベルトの青いボタンを押したまえ。そうすれば相手を倒すだけのエネルギーが溜まる』


「で、でも私には武器が……」


『安心したまえ。エネルギーは変身者の任意の部位に溜まる。右拳でも左脚でも好きな場所を選ぶといい』


 乃々(のの)は、青いボタンを押すと武器にエネルギーが溜まる、と勘違いしていた。


 だが実際は違う。


 この男が話しているとおり、青いボタンを押すとエネルギーは使用者の脳が思い浮かべた身体の部位に集中する。勇助(ゆうすけ)は腕を通して、キーメイス(きーめいす)にエネルギーを溜めていただけなのだ。


『だが気をつけたまえ。攻撃が空振りした場合、エネルギーは暴発するからね』


「とにかく、青いボタンを押してフェイントをかければいいのね。分かったわ!!」


 乃々(のの)はエネルギーが右脚に集中するのをイメージして、青いボタンを押した。


 ――テンサク、フィニッシュ!!――


 彼女のイメージどおり、右脚にエネルギーが溜まる。乃々(のの)はそれを肌で感じる。


『あ、そうそう。必殺技時に技名を言うのを忘れないように』


「え、そんな急に言われても!!」


『ほらほら、早くしないと力が暴発するよ?』


「え、じゃ、じゃあ……フェイクキック!!」


 乃々(のの)は即席の技名を叫び、怪人に向かって攻撃を……すると見せかけて、一瞬蹴りを止める。その時、怪人は自身の身体を液状化されるが、一瞬で元に戻った。


 敵の身体が元に戻った瞬間を狙って、乃々(のの)は回し蹴りを喰らわせた。


 怪人の身体は爆発し、今度こそ大破した。


『ナイスドライブ、見事だよ。ベルトを外したまえ、そうすれば変身も解ける。……そうそう、江角(えすみ)くんに伝えておいてくれ。石を回収するのを忘れるな、とね』


「ま、待ってください! あなたは一体……」


 乃々(のの)は男の名前などを聞こうとしたが、通信はそれで途絶えてしまった。彼女は男が言ったとおりにベルトを外し、変身を解いた。


 ふと乃々(のの)は自分の身体を見回す。


 勢いで変身して怪人を倒したことを、乃々(のの)は夢のように思えた。


 しかし、これは現実。乃々(のの)が変身をして、怪人を倒したのだ。


「そうだ! 勇助(ゆうすけ)!!」


 怪人を倒すことに専念しすぎて、乃々(のの)は負傷した恋人のことを忘れていた。


 慌てて思い出した乃々(のの)勇助(ゆうすけ)に駆け寄る。


「ハァ、ハァ」


 腕の傷が痛むのか、勇助(ゆうすけ)は虫の息になっていた。


 乃々(のの)は慌ててスマホのエマージェンシーコールを使用して、救急車を呼ぶ。


 乃々(のの)勇助(ゆうすけ)と共に救急車に乗り、彼を病院まで送り届けた。


 救急車に乗る前に勇助(ゆうすけ)が大破した怪人の死体から何かを拾い上げるのを、乃々(のの)は目撃した。


 彼女は勇助(ゆうすけ)に何をしたのか聞いたが、彼は何も言わなかった。


 変身アイテムは勇助(ゆうすけ)が半ば無理矢理に乃々(のの)から奪い取った。


 登場人物情報が更新されました


佐倉(さくら)乃々(のの)

 19歳。女性

 ミスコンで銅賞を貰えるほどの容姿を持つ。

 彼氏持ち。


 ヒーローに変身して怪人を倒す。


 好きなライダーは、仮面ライダー電王(超クライマックスフォーム)



江角(えすみ)勇助(ゆうすけ)

 19歳。男性

 乃々(のの)の彼氏。

 青いヒーローに変身する。


 左腕を負傷中。

 怪人の死体から何かを回収。ベルトも乃々(のの)から回収した。


 好きなライダーは、仮面ライダーディケイド(通常形態)。


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