夏の教室
私の学校には教室にクーラー何てものはない。
涼しさを求めて窓を全開にする。
それでも、暑さを紛らわせる事ができないので各個人でうちわを持っている。
来年にはクーラーがつくそうで今年一杯我慢すれば天国が待っている。
とはいっても三年生の私は卒業なのだが。
隣の席の男子生徒も暑さにまいってるようで頑張ってうちわで仰いでいる。
「私のことも仰いでよ」
隣の彼にそういうと彼は嘲笑うかのように自分自身を仰ぐだけだった。
こんな会話をここ最近は毎日続けており日常の一コマのようになっている。
隣の彼はある程度満足したのか、仕方がないといった感じで私に向かってうちわで仰いでくれる。
「ありがとー」
とだらけながら言う私に対して彼はめんどくさそうにしながらも優しい顔を向けてくれていた。
その顔が好きな私はなんだかドキッとしてしまい、恥ずかしくなって顔を机に伏せた。
彼の仰いでくれる風で私の体と心は静かに溶けていく気がした。