5/7
5.クマに襲われる夢
私は山頂を目指していた。
山には草木が芽吹き、山菜が豊富である。鳥やタヌキも若々しく、そういう季節だからかなあと私は思った。
◇
私は山頂に行かなくてはとおもいつつも、山の幸を収穫していた。
唸り声がした。
はて、と私が顔を上げると、谷合の向こうに直立不動のクマがいる。
私は戦慄した。私のどんな行動も、このクマには通用しないと直感する。
ああ、今は春だった。
このクマは襲ってくる。
と私が思い、クマは猛然と走ってきた。
わたしは谷合に降りて、そこから山の下に走った。
クマは下り坂が苦手なはず。
いや、そうだったか?
クマとの距離は若干広がっている。
私は重力と、脚力と、坂の下に向けて伸びているロープを引っ張る力も利用して、高速で坂を下った。
その坂は近所の墓参りの道だった。
私は崖から飛び降り、駐車場に着地した。
クマは崖を迂回してこちらに向かってくる。
実家がすぐそこだが、クマが追ってきたら実家にいる人間が危険だ。
私は焦った。
そこで、目が覚めた。