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~Before the chapter8~
ザッ!
竜馬たちの最初の一歩は、やけに柔らかい砂の感触に吸い込まれた。
「……………」
「……………」
「……………」
しかし、彼らはそんなことは気にしない。
隣を歩く親友の存在を感じながら。
ゆっくりと、ただし確かに歩を進める。
「来たか…」
「うむ………。にしても、この砂浜というものは歩き辛いな…。足が埋もれてしまう…」
「そうかぁ?」
「ゴブリン殿!どうやれば沈まずに歩けるか教えて下され!」
「いや、何も………って、体の重さが違うだけだろ…。ふざけてないで戦う準備しなって」
「むう…戦いに集中できればいいが…。しかし、彼はなぜこんな場所を選んだのか…?」
「…まあ本人に聞いてみるのが一番だろ。いいから行くぞ!」
「「うむ」」
近づいてくる『対象』に向けて、前進する。
それぞれの覚悟を乗せた一歩は、確かな形としてそこに存在する。
砂浜の砂を踏む音は、彼らを戦いの場へと導いていく。
そしてその時…
目に見えないというか、存在が確認できないというか…
そんな一歩が…
踏み出された。