プロローグ
俺の名前は片岡鉄郎。
高校二年の至って普通の男の子。そう、…至って普通の。
そんな俺には、0歳の時からずっと一緒にいる、まるで兄弟のような幼なじみがいる。
ここで女だったなら、実に素敵な恋物語が始まるところだが、人生そう上手くはいかない。
まぁ、兄弟というからには男なんだ。
しかも実に憎らしい男だ。
そいつの名前は今井雪矢。
俺とは正反対の性格の持ち主で、いつも冷静で落ち着いた男だ。怒ったところなんて俺が今まで彼を見てきた限り、一度も見た試しがない。
俺が何をしたって
「テッちゃんは仕方ないなぁ」と俺をなだめ、事をおさめるんだ。
まるで拍子抜け。
しかもこれがまた、なかなかの好青年で、余計憎い。
俺はそんな雪矢が…正直憎たらしくて…
見ててイライラして…
でも…認めたくないけど…確かに俺はいつも雪矢を目標にしていた。
いつも羨ましかった。
勉強もできて、スポーツもできて、日々を臨機応変に生活することができる雪矢が…。
自分ばかりが全く成長していない気がして…いつまでも子供みたいで…どんどん先に行ってしまう雪矢に早く追い付きたくて…でも俺はいつも雪矢の背中を見ていたんだ、きっと。
そうなんだ、認めたくないけど…
絶対に認めたくないけど…
認めてやるよ。