表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/53

幕間 1

 そのとき、たしかに世界はかがいていた。

 おひさまがあたたかい。

 かぜがやわらかい。

 あまりの気持ちよさに、ぼくは少し眠くなる。

「……いい子にしてるんだぞ」

 ぼくをかかえた『せんせい』が、ちいさな声でそういう。

 だけど、その時のぼくは言葉の意味なんてわからない。

『せんせい』はそれっきりだまりこんで、スタスタと建物の中をすすんでいく。まどが多い。とてもおおきな建物だ。ぼくの家とは大違い。やがて目的の場所についたらしく、『せんせい』はぼくをゆかにおく。

「あるきなさい。みんなに紹介するから」

 ぼくはあるきはじめる。でも、『みんな』って誰だろう。答えはすぐに分かった。目の前にあった扉を引いて、『せんせい』は中に入っていく。ぼくも、ペタペタとついていく。

 ゆかがつめたくて、すこしきもちいい。

 部屋の中には、たくさんの人間がいた。

 人間の、こどもだ。

 みんな、目を丸くして、ぼくのことを見つめている。

 これはあとで知ったことだけど、ここは『がっこう』と言って、おなじ年頃のこどもたちが集まるところらしい。そんなところに、なんでぼくがいるんだろう……。

「はい、静かに――」

 ポンポンと手をたたく『せんせい』。

 ――みんなに新しいトモダチを紹介しよう――

 よく通る声でそういう『せんせい』を、ぼくはどこかふしぎそうな顔でみあげていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ