イェーガー
そろそろタイトル変えます。いつまでも(仮)はね。
「英雄狩り! お前は忘れていても、私は覚えているぞ!」
ファラは大声で吠えると、剣をかざし、黒い刃を輝かせる。それに呼応してファラの足元が輝き出した。
「変なやり方をしてると思ったが、ブースターか」
Jは小さく呟き、少し距離をとった。そこ目掛けてラロが剣を振り下ろす。
「ちっ、気に入らねぇ」
ぼやきながらもラロの剣をいなし、返しの剣を斬り上げる。その剣先をラロは紙一重で躱し、軽いステップで距離をとる。
「てめぇ、どっかで見たことあるなぁ。試すか」
体勢を立て直すと同時にファラから声がかかる。
「ラロ!」
その声に反応してラロはJに斬りかかった。
振り下ろし、切り上げ、横薙ぎ。
その全てを寸前でかわしながら、Jはラロを観察し、頭の中で、ひとつの答えにたどり着いた。
「お前、ラズヴェル・ロッドか?」
その名前に、ラロは一瞬反応した。
「そうだ、その足の運び、ラズヴェル・ロッドだ。南方十指と言われた男が小娘に顎で使われやがって。その姿、見に耐えんな」
顔をしかめてそういうと、Jは腰に下げたもう一本の剣に手をかけた。
『なんだ、まだ片付いていなかったか』
マナを帯びた言霊が響きわたり、そこに居た全員が声のした方向に視線を向けた。
戦場を見下ろす古城入口門の上に一人の男が立っていた。
青白い髪、赤い右眼、眼帯に覆われた左眼、両腰に二本、太腿に二本の剣を携え、戦場を見下ろす男。
その男に顔を見るなり、Jは信じられないほどの気迫で叫んだ。
「何故貴様がいる! ジョーカー!」
その叫びに、ジョーカーは薄く笑い、少し考える素振りをしてから答えた。
「なぜここにいる、か。考えたこともなかったな。しいていえば」
マナがざわめき、空気が張り詰める中でジョーカーは静かに、冷たく言った。
「お前が、俺を、殺したから、かな?」
その言葉から放たれる殺気に、そこに居たもの全ては気圧され、後ずさった。
「なんてな、もうそんなこと、どうでもいいんだよ。だがな、イェーガー」
ジョーカーは柔らかく微笑んでそう言うと真っ直ぐソフィアを指さして吐き捨てた。
「貴様が彼女の影をなぞるのは、我慢ならん」
ドスッ!
「えっ?」
後ろからスフィアの胸を、一本の剣が突き刺した。
「にゃはっ」
力なく倒れるスフィアの後ろで血を流した全裸のワータイガーが笑っていた。
「来い、ラウラ、いい子だ」
ジョーカーがそういうとワータイガーは跳躍し、ジョーカーのもとに降り立った。
「これで、五分だよな、イェーガー」
その問いにJは静かに答えた。
「墓が浅すぎたか。帝国を片付けたら、もう一回念入りに殺してやる」
Jはそう言うと腰の剣を抜き、一直線に駆け出した。
目標は、ラロ。
踏み込みを利用した斬り上げ。
ラロはそれを察知し、剣を構えたまま後ろに距離をとる。振り上げられる剣をラロが剣で受ける、はずだった。
一閃。
振り上げられたJの剣はラロの剣を切り裂き、胸から肩を、その剣先で切り裂いた。
ここからは、ソローモーションだった。
折れるはずのない聖剣が折れ、ラロは後ろによろめき、Jは振り上げた剣を両手でつかむと踏み込むながら降り下ろす、その瞬間、ファラは叫んだ。
「置換!」
次の瞬間。
降りおろされた剣はファラを切り裂き、吹き出す鮮血はただ、赤く赤く大地を濡らした
二人退場、かな?




