一つの恐怖
最近の私は、朝を迎え夢から醒める時に恐怖を抱くことがある。
その恐怖は長いこと心の奥底に沈んでいた……。
その恐怖とは、自分が死ぬことです。
私はある程度の精神的な強さを身につけた時から、死ぬことが怖いと思わなくなっていました。
もちろん、死ぬのは嫌だし死ぬ気も無いけど、死ぬこと自体に恐怖は無かった。
少し前の私なら、自分の死を目の前にしても”残念だけどしょうがない……”と思うことでしょう。
しかし、今の私は……そう思えるだろうか? 夢から醒めてしばらくすればいつも通りの私です。
けれど、死ぬことに対する恐怖を思い出してしまった私は……その時どう思うのだろうか。
なぜ今頃になって、この恐怖を思い出してしまったのか……理由は大体わかる。
今の私には、大切で失くしたくないと思うものがある。
たとえ失くしても、生きていればまた巡り会うこともあるかもしれない。
しかし、死んでしまったら私はその機会を永遠に失ってしまう。
それが私に死ぬことに対し恐怖を抱かせる。
今までにだって、大切で失くしたくないものは、いっぱいあったはずなのになぜ今更?
さて、なぜだろう? 明確な理由をコトバにするのが野暮なこともある。
大切だから失くしたくないという理由で十分です。
失くしたものにまた会いたいという理由で十分です。
生きたいと思うから死にたくないという理由で十分です。
なにより今の幸せに感じる日々を失いたくないからです。