感性
例えて話すなら。
インドのエライひとだかなんだかが、盲人たちをゾウさんに触れさせて、このように言ったそうな。
「これに触れて、君たちは、いったい、どのように感じるか」
と。
ある盲人は言った。
ホースのように細長いです。
ある盲人は言った。
大きい団扇のようなものが脇についてます。
ある盲人は言った。
とても、デカイです。
ある盲人は言った。
びらびらしたヒダがあります。
※下ネタではありません。
ある盲人は言った。
穴のあたりが少し匂います。
※下ネタです。
ある盲人は言った。
濡れています。
※下ネタではありません。
つまり、なにが言いたいかというと、「感じる」と言った行為は、ある側面しか捉えないことがあるということ。
濡れています。
と、答えた盲人は、ゾウさんの鼻先か口元に指でも突っ込んだんだろうね。
さて先日、受付の女の子で、僕のことが好きだと公言し、旅行のみやげに、僕にだけ違うものを買ってくる(そしてそれを他の社員の前で平然と渡す)といった、気まずさ東MAXなことをしてくる輩がいたので、ランチに誘い、真面目に質問をしてみた。
「あのさー、僕のいったいどこが好きなの?
やっぱりイケメンなところかな。」
彼女は答えた。
「鼻毛がたまにちょろっと出てるところ」
ふーん。
ちょろっと、
ね。
あ、そう。
…
「…他にはないかな?」
「チャックがよく開いていて、部長に叱られているとこ」
ふーん。
あ、そう。
…
それって、ひととして、
ヤバイね。
(終わってるね。)
…
僕は、思ったが、終わっているのは僕自身なため、三分ほど黙った。
きっと彼女は、僕のだらしない姿をみて、母性本能をムラムラ掻き立てられてしまたのかもしれないが、それは不本意というものである。
僕には、二十代後半といった経験値により、君が知らないアダルティな側面も持ち合わせているし、休日などは家で裸で1日を過ごすなど、ワイルディ、アンド、ネイチャーティな一面も持ち、コーヒーはゴールドブレンドしか飲まないといった違いがわかるダンディズムティも隠し持っているし、徹夜で桃鉄をやるタフネスティと、好きな文豪は荒木飛呂彦といったインテリジェンスティと、さらにいうと、ここまできてアリ○ッティとは決して言わないガマン強さも併せ持っている。
ゾウさんでいったら、彼女はまだ、
穴のあたりが少し匂います。
程度のレヴェルでしか僕を理解していない。
非常に、不本意だ。
僕には、ゾウさんでいったら、
長いお鼻で、バナーナやエポーをがっちりマンデーするアメイジングなワイルディさと、
大きなお耳で、群れのフレンドたちのヘルプの囁きを漏らさず聞き取る繊細なハートも持ち合わせている。
あくまでも、ゾウさんでいったら、
だけどね。
僕は彼女に特にワイルディな部分をアピールするため、いろいろと考えてテンパった後、
彼女の両手を握り、
さらに、
彼女の注文したジンジャーエールを飲む。
といった、今考えると自分でも意味の分からない荒業を繰り出してしまった。
確か、僕の手はテニスとバッティングセンターによりマメで意外にゴツゴツしているのさ!
をアピールするため、
彼女に僕の手を触れさせようとして、結果的に彼女の両手を鷲掴みしてしまい、
自分で自分の行動にびっくりドンキーした僕が、自分の注文したチャーイと間違えて、彼女のジンジャーエールをすすってしまった。
と、思い出してみると、ざっくりこんな感じ。
そして、テンパったついでに、両手を握ったまま、僕はマジメに平静を装い、
「○○さんは、例えば僕と、セックスがしたい、と、マジメに思うの」
とハッキリ発音しながら、聞いてみると、
彼女は少し頬を赤らめながら、
「うーん、ワキミズさんに抱かれるのは別に構わないけど、マジメに、ではないかなぁ」
とのお答え。
「どゆこと??」
と、聞くと、どうやら‘好き’の定義が根本的に違うらしく、彼女は僕のことを、
観賞用として、好き。
アンド、
付き合うとかではなく、
健康的に、好き。
といったことらしい。
観賞用って、ジャニーズ好きなガールズの感性とは明らかに違うよね。
見てると、
ぷっ
って、笑っちゃう的な、残念無念な観賞用ってことだよね。
健康的に、好き。
に、
関しては、
おじさん。
さっぱり
意味が
わかりません。
だいたい、好きに加減はあるとして、ゾウの濡れた鼻先に触れただけで、そのゾウを愛することはできるんだろうか。
できるんだろうね。
恋愛は一方通行で、エゴイスティックな思い込み。
って、
昔、小田原のおばあちゃんが、夏の暑い日に足柄峠を見つめながら呟いていました。
じじいの墓の前で。
僕、五歳でしたけど。
最後にひとこと。
ロマンティックあげるよ。
※僕の感性は昭和のワクをでることはないようです。