表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

アビス・トリガー(Abyss Trigger)〜内藤メアは悪夢憑き〜


 五年前――理由もなく眠り続け、二度と目覚めない者が増え始めた。
 医学でも心理学でも説明のつかないその症状は“睡眠不全症”と呼ばれ、人々の生活を静かに、しかし確実に蝕んでいった。

 国は対策として〈SOMNI〉を導入した。
 腕に巻くだけで睡眠状態を監視し、異常があれば自動で対処する――そう説明された装置だ。
 真相は誰も知らない。それでも、SOMNIが全国民に義務化されてから、眠ったまま帰らない人間は嘘のように減った。

 ……それでも、わたしの不安は消えなかった。

 内藤メア。
 普通の高校生。
 普通の教室で、普通の毎日を過ごしている……はずだった。
 けれど、わたしには“夜”だけが異常に長い。目を閉じるたび、胸の奥で何かがざわつく。暗闇の奥で、誰かがわたしを呼んでいる気さえする。

 SOMNIの黒い画面に触れると、時々、脈のように光が瞬いた。
 その光は、まるでわたしに「もうすぐだ」と告げているようだった。

 ある夜、白い閃光が視界を覆い、わたしは“黒い森”へ落ちた。
 そこには、形の壊れた化物が蠢いていた。
 逃げられない死の気配――その瞬間、ひとりの青年がわたしを抱き寄せ、影を断ち切った。

「戻れ。長くいたら、夢に喰われる」

 名前も知らない青年。
 でも、その瞳を見たとき、胸の奥がひどく痛んだ。
 思い出すはずのない誰かを、思い出しそうになった。

 ――わたしは、これから悪夢に堕ちていくのだろうか。
 それとも、すでに始まっているのだろうか。

 その時、SOMNIがまた脈打った。
黒い森の底で
2025/11/17 00:00
夢の声
2025/11/17 00:10
黒の底
2025/11/20 10:34
罪悪感
2025/11/17 07:00
潜夢局
2025/11/17 07:30
理由
2025/11/17 08:00
悪夢の歩き方
2025/11/18 00:00
監視対象
2025/11/18 06:00
銀の墓場
2025/11/18 09:42
夕焼けと邂逅
2025/11/19 00:00
ヒカリの憂鬱
2025/11/20 00:00
侵食の始まり
2025/11/21 00:00
檻と蛇
2025/11/21 06:00
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ