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第2話 出会い

公園でぼんやりしていたら、あっという間に夜になっていた。


「どうしよう……お母さんに、なんて言えばいいんだろう。」


お母さんからの連絡が怖くて、スマホの電源を切った。でも、ずっと逃げているわけにもいかない。


――きっと何かの間違いだ。私が妊娠するなんて、ありえない。

でも先生にそう言われた。


医者だって人間だから、診断ミスってこともあるはず。

明日、別の病院に行ってみよう。


もー、なんで私がこんな目に遭わなくちゃいけないの?

私、何か悪いことでもした?


さゆりが頭の中で愚痴っていると、暗闇の中から誰かが近づいてきた。


……ん?誰か、こっちに来てる。誰?

お母さんじゃないよね。ナンパ?

深夜の公園で女子高生を見つけたので、持ち帰ろうとしてるとか?

逃げたほうがいいよね……。


さゆりはベンチから立ち上がり、公園を出ようとした。

しかし、好奇心に負けて、公園の入口で影に向かって振り返る。


――ちょっと待って、あれ、猫の着ぐるみ?


そこにいたのは、猫の頭を持つ二足歩行の“何か”だった。


まじか……こんな深夜に猫の着ぐるみ着て、公園で徘徊するなんて、ガチなやつじゃん。

早く逃げないと……。


さゆりは怯えて、足を速めた。


「にゃーー!!!」


その時、その“何か”が、まるで警告するように大声で鳴いた。


「なに!?」


振り返ると、猫の表情には明らかな敵意があった。

そして、その腹が裂け、そこから数本の触手が飛び出す。


――何あれ!? 着ぐるみじゃない!本物の化け物じゃん!!


さゆりは全速力で逃げ出した。

安心感を求める本能の影響か、夜でも人通りのある商店街へと向かって走った。

その速さは、まるでオリンピック選手のようだった。


夢中で走って、商店街の入口が見えたとき、さゆりは少しだけ安心して振り返った。


化け物はいない。ついてきていない。

――よかった。

人生で一番焦った。

死ぬかと思った。


私って本気出せばこんなに速いんだ……火事場の馬鹿力ってやつ?

まあ、とにかく助かった。


さゆりが胸をなで下ろした瞬間だった。


「にゃーー!!」


化け物が現れ、商店街への道を立ち塞がった。

結局、ついてきてるじゃん……しかも目の前に回り込んできた!


化け物はさゆりに突進し、爪で太ももに深い傷をつけた。

そして倒れたさゆりを、腹から伸びる触手で絡め取る。


――キモッ、ヌルヌルしてる……!


手足も口も触手に拘束され、身動きが取れない。


化け物はさゆりを抱えたまま、ジャンプしてどこかへ向かっていく。


――やばい、動けない。

殺す気はなさそう?

じゃあ攫うつもりなの?

殺さないのはありがたいけど、私をどうする気……?

まさか、触手苗床にでもする気?

どうしよう、このままだと絶対にロクなことにならない。

でも、私には何もできない……どうしよう……


……あれ、なんか、急に眠く……なって……きた。


さゆりは気を失った。


化け物は気を失ったさゆりを抱えたまま、屋根の上を飛び回り、どこかへ急いで向かっている。


しかし、突然、銃声が響き、どこからか飛んできた弾丸が化け物の頭を撃ち抜いた。

血と脳漿が飛び散り、化け物は屋根から転落する。


その死体に、誰かがゆっくり近づいた。


現れたのは拳銃を持つ黒髪の女性。

左目に黒い眼帯をしていて、革製のカバンを肩に掛けている。


「……よし、損傷は頭だけだ。」


女性は化け物の死体を確認しながらつぶやく。


「さて、商品は無事だけど、このガキ、どうしようかな。」


さゆりを見て、さらに小さくつぶやいた。


「こいつ......傷口結構深いな。しかも、毒も入っている。放っておいたら後で面倒なことになりそうだ。」


「……仕方ない、一緒に持ち帰るか。」


女性は銃をしまうと、自分よりも大きな化け物を片手で持ち上げ、もう片方の手でさゆりを抱えた。

そして、どこかへ向かっていった。


――――


「……うん、ここ……どこ?」


さゆりが目を覚ますと、そこは見知らぬ場所だった。

目の前には棚が並び、その上には大小さまざまな瓶が置かれている。

中には生き物のようなものや臓器のようなものが入っていた。


自分が寝ていたのは、ボロボロのソファー。


「……お、起きたか。」


横から声がして、さゆりがそちらを見ると、謎の女性が椅子に座っていた。


「さて……お前のことについて、ちょっと話そうか。」

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