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とりあえず転生らしい①

良し悪し問わず感想頂けるとハッピーです。

トラックにはねられた。

往々にして物語は終わりから始まるものである。


俺は(あらし) (はじめ)どこにでもいるマンガとゲームが大好きな社会人だ。

もちろん転生モノも大好物でたくさん読んでいる。

俺ツエーもハーレムもスローライフも憧れるいたって普通のオタクだ。

クラスに一人は居たであろう、無難な髪型のよくも悪くも目立たないヤツを想像してくれ。それが俺だ。


そんな俺がトラックが近づいてくる瞬間、転生チャンス!と心のなかで叫んだのは仕方の無いことだろう。

ぶつかると思った瞬間、お決まりの真っ白な部屋で目覚めた俺は大興奮していた。

半裸の女神やお爺さん、はたまた裏のありそうな紳士でも出て来るのかと期待に胸を膨らませる。


しかし何の気配も姿もない。

何もない空間でやることもなく、日頃の寝不足がたたり寝っ転がってウトウトし始めた頃唐突にそれは起こった。


「ガチャーーン」

でかい音に驚き目を覚ますと、何もなかった空間に不思議な文字列が現れた。

『中世ヨーロッパ』『最強』『ハーレム』


ガバッ!

思わず身を起こし、「キタコレ!!!」と叫んでいた。


異世界転生の中でもポピュラーで安定のハッピーライフが脳裏に浮かぶ。

男として産まれたなら誰もが憧れるサイコーな設定である。つまんない現実でも頑張って真面目に生きてきた俺への神様からのご褒美だ。


きっと亜人のいる世界で、猫耳やエルフの美少女とイチャイチャしながら雑魚どもを魔法で蹴散らす幸せなセカンドライフが待っているに違いない。

そう確信して、変な笑いが口から溢れだす


「ドゥルルルルルルル」

突然、ドラムロールの音が鳴り、目の前の文字がスロットのように回転し始め、どんどん速度を上げながら次々と変わり始めた。


「え?え?え???」

幸せを確信していた俺は状況が飲み込めずただ疑問符を口にし、クルクルと回転しながら変わっていく文字列を呆然と眺めていた。


しばらくすると目が慣れてきたのか文字列が読めるようになってきた。


『機械文明』『魔界』『白亜紀』『宇宙』…

『天才』『最弱』『スライム』『現人神』…

『悪役令嬢』『鑑定』『復讐』『追放』…


「ヤバいヤバいヤバい」

法則が少しずつ見えてきた。

どうやら『転生先の世界』『自分の状態』『物語のテーマ』といった感じの内容でそれぞれスロットが回転しているらしい。

理解するにつれドクドクと心臓が躍動し、頭の中が赤く染まり始めた。

次の人生を決める選択肢がグルグルと目の前で回り続ける。

呼吸が定まらない。

汗が吹き出す。

辺りをキョロキョロと見回し助けを求める。

しかし、見渡す限り何もない真っ白な部屋。


「だれか!助けてください!」

「神様!女神様!だれかいませんか!?」

力の限り叫ぶがもちろん返事はなく、ただドラムロールが鳴り響くのみ。


だめだ、しかばねすらいない。

しかし、叫んだことで少し冷静さを取り戻せた。

相変わらず鳴り響くドラムロールに回り続けるスロット。

どうやら自動的に止まるスロットではなさそうだ。

よく見るとスロットの下にそれぞれストップボタンが用意してある。

不思議な力で止めるのではなく、ボタンを押すという妙に現実的な機構に自嘲気味に笑いが漏れる。


「ふうっ…」

一人ため息を吐き、落ち着くことに成功した。

しかし、状況は何も進展していない。

どうやらボタンを押さない事には何も始まらないようだ。


回り続ける選択肢を見ると明らかにハズレがある。

『白亜紀』に『ハーレム』とか何を楽しめばいいのかわからない。

『復讐』を引けば悪いことが必ず起きる。

当然、無難にハッピーなハーレム無双を夢みながら、俺はストップボタンに手をかけた。


「ダダダダダダダダッ」

さらに力強く鳴り響くドラムロール。

さらに高速で回り始めるスロット。

驚きについ手を離す。


「ギューーーーーーン」

ブレーキがかかるようにスロットがゆっくりになり『女学院』の文字が見えたと思った時にはストップのボタンを押していた。

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