8.鳥の郵便屋さん
すずが眠たい瞼を無理矢理開けて起きると、太陽は真上近くまで登っていた。
昨日いろいろと考えてしまったせいで、眠りについたのは明け方だったのだ。
起きてからもすぐに頭の中では昨日の夜の出来事がリピートされて流れてくる。
ジョンガンの手は大きくて骨骨していた。
(ダメだ。好きになっちゃダメ。期待しても傷つくのは自分。相手はアイドル…)
ブツブツと独り言を言いながらキッチンへ向かうと、ココが昼食の準備で野菜を切っているところだった。
「あっ!やっと起きてきた!」
ジトーっとした目線を送ってくるココに「ごめんっ手伝います」と、すずは気持ちを切り替え人参を切るのを手伝い始めた。
ジョンガンは相変わらずこの日も朝からジョギングと筋トレをしていたそうだ。そのストイックさがあるからこそ今の彼があるんだろうなと惚れ惚れした。
(いやっ!惚れちゃだめだよ自分!)
そんな一人でノリツッコミしてしまうほど浮かれていても良くないので、自分なりに聖女様について調べてみようと思い、ココのお父さんの部屋の本を読んでみたいとお願いをした。
だいぶ古い本のようでページとページがくっついてしまっていたり、破れているところもあったが分かった事がある。
元々この世界では人間と魔獣は共存していく定めであって、共に関わりを持たないようバランスをとって生きている。しかしバランスが崩れると魔獣は凶暴化し集団になり人間を襲うようになる。それを鎮めることができるのが召喚の儀式によって呼び寄せる聖女様だということらしい。
大昔、この村の湖に現れた聖女様はその聖なる力を使い、魔獣達を浄化させ平和をもたらした後、リシャールという貴族の人と結婚したと書いてある。
(この聖女様は元の世界へは戻っていない。やはり無理なのだろうか……)
すずは肩を落とした。
それから他にも色々な本を読ませてもらったが、これといった収穫もなく数日が経った。
ココとすずはいつものように朝食の準備に取りかかる。トントントンっと部屋に包丁の音がリズム良く響く中、コンコンコンっと窓が叩かれたので、すずが目を向けると大きなフクロウのような鳥がこちらを見ていた。
ココが窓を開けるとそのフクロウみたいな鳥はスーっとココの肩にとまり、ココは鳥の足に巻きつけられていた紙を外して広げて読み始めたときは
(ハリー○ッターかよっ)
とツッコミしたくなってしまったが、手紙を読んだココの表情が曇る。
ココの父親コルトからの手紙だった
ELEVENのラップ担当J・Jは身長185センチ
幼少期をアメリカで過ごしラッパーである父親に小さい頃から鍛え上げられたラップと英語スキルを武器に、チームの明るいムードメーカーとして活躍している。