表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/31

30.Not a dream


ELEVENのライブ当日、会場まで来たものの、すずは入口で立ち止まり入るのを迷っていた。

周りは様々な年代の人達がELEVENの公式ペンライトや買ったグッズを片手にテンション高めですずの横を通り過ぎ会場へと入ってゆく。



事情を全く知らない友人リナは、温かいペットボトルのレモンティーを飲みながら、立ち止まっているすずの姿を不思議そうに隣で眺めていた。



行きたい気持ちもある。

行きたくない気持ちもある。


もう涙は枯れるほど出しきった。

気持ちも切り替えた。



(じゃあなんで迷ってるの?)


自分で自分が分からない。


可能性があるってまだ少し思っている自分が凄く嫌だ。




だけど元気なジョンガンの姿がひと目見たい。

もう今度いつ日本でライブがあるかも分からない。



(やらない後悔よりやって後悔)



すずは目の前をしっかりと見た。



「…どうする?体調大丈夫そう?」


リナが心配そうにすずに声をかけると、「大丈夫。行く!」とすずは返事をしリナと一緒に会場へと足を踏み出した。


今回当たったチケットはアリーナ席の後方で隅っこだった。

かなりステージが遠く感じた。



(…緊張する…)


すずは冷や汗をかいていた。

手がどんどん冷たくなるのを感じていた。




そして会場が暗くなり始めると観客の割れんばかりの声が響いた。

大きい音楽、映像と共にELEVENが現れる。

自分の声も聞こえないくらいの歓声。

揺れる会場。


センターで最初に歌いだしたのはジョンガンだ。

カメラがズームされ大きなスクリーンに顔が映る。


すず「ジョンガン…」


すずの記憶の中のジョンガンより髪の毛がかなり伸びていた。

衣装のスーツに合わせてメイクしてある顔もかっこいい。



(…元気そうで良かった…)



すずの視界が揺らいだ。

だけど涙はグッと堪えた。

ジョンガンを目に焼き付けておこうと心に決めていたからだ。


最初にELEVENの代表曲の激しい3曲を歌い踊り終えると、休む間もなく個人のソロパフォーマンスへと入った。


ダンスが1番上手いソジュンのソロ曲が流れる。

たくさんのバックダンサーと共に軽やかな身のこなしでアクロバティックな動きを魅せる。


(かっこいい…本当ダンスの表現力が神ってる…)



そして今回のLIVEはソロパフォーマンスにもかなり力を入れているとすずは感じた。




お次はペジュンだ。登場でステージに滝のように流れる水と赤く燃え上がる炎にも圧倒されたが、それよりもペジュンのどの角度から見ても完璧なビジュアルに驚かされた。


(なんちゅー美しい顔だ。人間国宝だ。)


1番女性ファンが多いこともあり会場はすごい熱気と黄色い声援に包まれた。



ペジュンの曲が終わり会場が暗くなると、薄青色の背景と光と共にどこかで聴いたことのある曲が流れ始める。


登場したのはジョンガンだ。



すず「この曲…」



切ないバラードがアレンジされアップテンポになってはいるが、間違いない。

この曲はあの世界でジョンガンが作曲してピアノを弾いてくれた曲だ。



(夢じゃない…)



すずの頬に涙が流れた。



(夢じゃなかったんだ…ジョンガン)



すずの涙は止まらなかった。



もう前が見えないくらい流れ続けた。


(生きててよかったよぉ…

元の世界に戻れてて良かった…)



隣のリナが尋常じゃないくらい泣いているすずに気がついて、笑いながら「大丈夫?」と顔を覗き込んでいる。

思わずリナに抱きついて声を上げながら泣いてしまうすず。



(…守ることができた!約束も…)



嬉しくて嬉しくて悲しくて心と体が震えた。




そしてジョンガンの曲は終わり、会場に歓声が響き渡った。


すずはずっとリナに抱きついたまま顔を上げることが出来なかった。



そして周りの様子が変な事に気がつく。

次の曲が始まらず会場全体がザワザワしている。

所々キャーと叫び声が上がっている。



異様な雰囲気にすずは抱きついていたリナから離れ、涙で前が見えない目を擦った。



前方の人々がステージではなく横の通路を見ている。その通路を見ると人がこちらへ近付いてくるのが見えた。

周りのSECURITYと書かれた服のスタッフ達が慌てて追いかけて走っている。



隣のリナの「えっ嘘でしょ?」という言葉が耳に入った。



ジョンガンがこちらへ歩いてきている。


ジョンガンは柵を飛び越えすずの顔を見ながら手を伸ばし強く抱き締めた。

すずも背中に手を回し抱き締め返した。


ジョンガンの体が震えていて泣いているのが分かって、すずもまた涙が溢れてくる。



そんな二人を間近で見て、リナは驚きのあまり目を見開いて両手で口を押さえ驚き立ち尽くしている。


会場は悲鳴とカメラのフラッシュで溢れた。


しかし泣きながら抱き合う2人の姿に拍手をする人もいた。



この2人の姿は世界中に配信され

明日には大変なことになっているのだが

今の2人にはそんな事関係ない。



異世界を乗り越えた2人なら

きっとこの先も大丈夫だろう






happily ever after…














最後まで読んでくださり本当にありがとうございましたm(__)m 

ほとんど小説を読まない私が、このラストを書きたいがために勢いで始めてしまったお粗末な小説を少しでも好きと言ってくれる方がいたら幸せです。


そしてなんだかこの2人のその後をちょっぴり書きたくなってしまったので書く予定です。笑

R18で「異世界で推しを守って生き抜く方法〜その後の2人は大変で〜」(ミッドナイトノベルズの方で検索するとでてきます)

気になる方は読んでみてください。

イチャイチャさせたいけど私にどこまでイチャイチャが書けるか分かりませんが頑張ります。

昔、銀魂の作者さんが自分の作品を読まれるのはお尻の穴を見せるくらい恥ずかしいと言っていましたが、今その気持ちがよく分かります。


あと、今後はフルタイム勤務に戻ってしまうのでゆっくりですが、現実世界のちょっと変わった短編恋愛も書いてみたいな〜なんて思っています。


そして本当に感謝したいのですが、ブックマークやいいね!をしてくださった方がいなければ最後まで書く事は出来ませんでした!本当にありがとうございました!!!m(__)m


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ