2.不吉な予感
ーどれくらい時間がたったのだろう
すずはハッと目を覚まし、完全にジョンガンに寄りかかっていた体を起こす。
窓から射し込む月の光がジョンガンの美しい顔をすずに見せてくれた。トロンと眠そうな顔を。
「まだ夜ですよ、寝てください」
優しく声をかけてくるジョンガンに、申し訳ない気持ちでいっぱいになるすず。
すずを支えるためにずっと起きていたのだろう。
「寝ちゃってごめんなさい…次はジョンガンさんが寝てください。膝枕しましょうか?」
恥ずかしさと申し訳無さで、膝枕を提案したすず。
「ひざまくらってなんですか?」
「あーここに頭を乗せて横になって寝ることです」
自分の太ももを指差し教える。
背中を怪我してるのに座ったまま寝むれるはずないだろうし、体調も崩さないように少しでも寝てほしかった。
ジョンガンはゆっくりとすずの太ももに頭を乗せた。
しばらくするとスーーと呼吸が変わったので、本当に寝てしまったようだ。
素直に甘えてくれたジョンガンに愛おしさを感じ、少し頭を撫でてみた。
触れた髪の毛はサラサラでちょっと冷たくて、すずの胸に何か分からない気持ちが込み上げてくる。
(それにしても、……本当にかっこいい
鼻高い
写真撮りたい
携帯どこにいったんだろうな…)
などと考えてるうちに、いつの間にかすずも眠ってしまい、ヨダレを垂らしながら朝を迎えたのだった。
【主人公たちはさておき】
【ここはアーベラス王国の隣国にあたるライガル王国】
長年この国では、魔獣の存在によって民たちの生活は恐怖に脅かされていた。
魔獣達によって壊滅してしまった村は国の半分に及ぶ。
この状況を打破するためには、なんとしても魔を浄化する力があるとされる聖女様の召喚を。
国を挙げて呪術師たちが召喚の儀式を行ったが聖女様は現れず、十数年が経っていた。
過去の文献では
[聖女は召喚の儀式後、国の湖に現れる]
そう記されているが国中の湖を調査しても発見されなかった。
頭を抱えるライガル王国のラーサイン王は遂に思いつく。
他国の聖女でもいいから見つけて連れてこればいい。
召喚に失敗した呪術師達は各国に散らばり湖の調査をしていた。
そして深くフードを被り、灰色のローブを着た一人の呪術師は見ていた。
アーベラス王国のとある湖が黄金に輝きを放つと、一人の女性が倒れているのを。
呪術師は鳥を腕にとまらせ魔術を唱える。
すると鳥の目が赤く光った。
「アーベラス王国に聖女が現れた」
「ラーサイン王へと伝達せよ」
鳥は空高く飛び上がり
ライガル王国の方角へと飛び去った
つづきます。
不定期な更新になり申し訳ございません。
週一で更新できるように、努力していくつもりです。




