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18.半獣



すずが二度寝から目を覚ます頃にはすっかり日も暮れて夜になっていた。

すずのお腹がグ〜っと鳴った。

半日寝ていてお腹が空いて起きてしまったようだ。



体を起こしグーっと伸びをして部屋を見渡すが誰もいなかった。

少し寂しい気持ちになりながら部屋を出てジョンガン達を探す。


廊下を歩いていると何やら食べ物の良い匂いがした。

(…これはパンとシチューだ!!)

ニオイの元を辿り進むとたくさんの子供の話し声が耳に入ってくる。


「俺のシチュー肉入ってないよぉ」

「ねーねー明日は木登りしていい?」

「こぼしちゃったあ〜」


すずが食堂を覗き込むと沢山の子供たちが机を囲み食事をしていた。


「だれかいるー」「あっ!お姉さんだ!」

ルカ君が元気いっぱいに手を振ってくれた。


(可愛い…)

すずも手を振り返した。


こちらに気がついた神父さんがすずを隣の部屋へ行くように促してきた。

「別で食事を用意してありますのでどうぞ自由に召し上がってください。」


すずが隣の部屋へ行くと黒装束2人とグレンとジョンガンが向き合って座り、お互いに目も合わさず黙々とシチューを食べている。

隣の部屋と違ってこちらの部屋はシーンと静かだった。


少し入りづらさを感じたが、ジョンガンがすずに気がつくとパッと席を立ち、すずの分のパンとシチューと飲み物を用意してくれ「どうぞ」っと椅子まで引いてくれた。


「あっありがとう!」

(昨日見た夢のせいで目を見れない。しかしなんて気が利いて優しいんだろうか…)


シチューもパンも子供向けなのか少し甘めでとても美味しかった。



今まで黒装束の2人は口と鼻を布で隠していたので顔がよく分からなかったが、向き合って座っている事で初めて全体の顔を見た。意外と年配の男性2人だった。50代後半くらいだろうか、1人は頬に古傷があり、1人は首元に大きな火傷のような跡がある。



無言で食卓を囲んでいることに気まずさを覚えすずがグレンに話しかけた。



「そういえばココ…アーべラス国のお世話になった人達が心配してると思うので、今までのお礼も伝えたいし連絡をとる手段はありますか?」



「ダメだ。戦争になる。」


戦争というワードに驚き、シチューをすくった手が止まった。


「今アーべラス国は必死になって行方不明の聖女を探している。この国が誘拐したと分かれば報復として攻撃してくるだろう。だが、向こうも戦争は避けたいはずだ…今は慎重に情報を集めているところだろう。」


頬に古傷のある黒装束が口を挟む。

「こっちにはグレン様がいるんだ!戦争だって勝つのはライガル国に決まっている。」


グレンが静かに答える。

「戦争はライアン王子が望んでいない。」



すずは話しについていけなかった。

戦争というものは絶対にダメな事だとしか分からない。

自分の存在が2つの国の行く末に大きく関わっている。


そして、このままお礼を伝えることも出来ずにココとお別れになってしまうのか…そう思うと悲しさがこみ上げてきた。


ジョンガンが口を開く。

「グレンは何者なんですか?魔術を使える人は他にも存在するんですよね?」



首元に火傷の跡がある黒装束が鼻で笑った。

「グレン様は銀狼だ。この世界で魔力で勝てるものはいないだろうな。」


ジョンガン「銀狼?」



頬に古傷のある黒装束が答える。

「膨大な魔力をもつ半獣のことだ。グレン様に直接会うまでは伝説だと私は思っていたがな。」



すずとジョンガン「…はんじゅう?」


2人の声が揃った。




読んでくれている貴重な方々本当にありがとうございますm(__)m

物語もラストに向けてかけ足でいきます!!

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