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13.嘘も方便


ココが目を覚ましたのは翌日の朝だった。


周りがザワザワうるさくてボヤ〜とする目を擦った。視界に入ってきたのは 泣いている人 倒れている人を起こそうと呼びかけている人 手を握り寄り添う貴族

パーティー会場は混乱していた。



ココは立ち上がりすずとジョンガンを探すが見つからない。

一体何が起こったのか、まったく状況が分からずココは部屋の中を歩き回っていると、ふと1箇所に人集りができていてみんな下を見ている。ココが覗き込むと赤黒く床が染まっていた。

これは血だ。

落ちている布も血だらけだった。


ココは目を見開き血の気が引くのを感じた。

そして頭に不安が過ぎる。



「父さん!!!すずがいないっ!ジョンガン!!」


ココは叫びながら父親コルトを探し走った。







ーーーーーーーーーーーーーーー



馬車はすでにかなり遠く離れた場所を走っていた。



一定の距離を走ると別の人と馬が準備してあり素早く交代するので、一度も止まることなく進んでいる。

かなり緻密に計画されていたようだ。


すずを助けた灰色のローブの男は馬車の中でずっと無言で、目を閉じたり外を眺めたりしている。



すずはジョンガンの膝に横たわっていた。何度か起き上がろうと試みたが酷い目眩と立ち眩みで起き上がることが出来ない。

そしてずっと横になって揺られているので気分が悪くなってきた。



そんな様子にいち早く気がつきジョンガンが声をかける


「大丈夫?気持ち悪い?体を起こすよ」



ジョンガンはグイッとすずを起こし自分の肩に寄りかからせた。


「少しだけ馬車止まれませんか?気分が悪そうです」


「ダメだ」


灰色のローブの男の冷たい言葉にジョンガンが睨みつけるが、素知らぬ顔で外を見ている。



「…だいぶ楽になってきたから大丈夫だよ」


すずが弱々しい声で話し始めた。そして頭の中でずっと気にかかっているのは会場で倒れていたココや貴族の人達。

今までずっと一緒だったココがいない…すずは不安で押し潰されそうな気持ちを胸の奥にしまい込む。


「会場の人達は大丈夫だったかな…ココも無事だよね?」


すずがポツリと呟くと、灰色のローブの男が口を開く。


「眠らせただけだ」


その言葉を聞き、すずとジョンガンは少し安堵する。


「聖女に聞きたいことがある。

呪うと言っていたが魔術が使えるのか?」


すずは予想外の質問に目を丸くして考えた。


(使えるわけないけど、咄嗟に脅しのつもりで言っちゃったな…

正直に答えたらジョンガンが危ないかも…)


「魔術は使えないけど呪えるよ。私の国では恨みが強ければ人を呪えるの(藁人形とかで…多分)」


今の発言が心配になり、チラッとジョンガンの顔を見たが、なんとも表情が読み取れない顔をしていた。


我ながら変な嘘をついてしまったとドキドキしたが、灰色のローブの男は「ふむ」といった感じに納得しているので良しとした。



「お前たちをライガル王国へ連れて行く

あと数時間で馬車を降りて歩きで森を進む…

今は休め」



(ライガル王国…前に村で聞いた隣国!?

確か聖女様が現れなくて国が荒れてると言っていたはず…)


この灰色のローブの男はライガル王国の人間だった。

そして私を谷で助けたのはおそらくこの人だ。 

聖女だから2度も助けたということか…


いつから見張られていたのだろう。



隣の国から聖女を連れてくるという強引な手段。


容赦なくジョンガンに剣を向けた。


この先どうなってしまうのだろう。


不安と気持ち悪さの波が一緒にまた押し寄せてくる。



ジョンガンは肩を支えていた手に力を込め、片手ですずの両手を優しく包みこんだ。

包んでくれたジョンガンの手は血で黒く汚れていた。



(ジョンガンが居てくれて良かった…だけど…

私といるだけで危険な目にあわせてしまう…)



すずはジョンガンに体を預けながら

出会った日の夜を思い出す。


ほんの少し前の事なのに随分と昔の事に感じる。





2人を乗せた馬車は

森の奥深くまで行き止まった





ブックマーク4件になりました!!いぇーい!!☆

ありがとうございます!m(__)m


ジョンガンにはモデルのk-popアイドルがいます。

だけど、どう妄想想像してもすずのことを好きになってくれなくて、会社の子に相談しました。笑

その子の的確なアドバイスで今のすずとジョンガンが出来上がりました。

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