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12.銀色の髪の男



遠くで女性の悲鳴が聞こえた。



ピアノを弾いていた手を止め、ジョンガンとすずはお互いの顔を見る。


「戻ろうか」


「うん」


部屋を出て薄暗い廊下を小走りで会場へと戻る。


やけに静かだ。



ただならぬ雰囲気に嫌な予感を感じつつ2人が扉を開けると、さきほどまで会場でパーティーを楽しんでいた人達が全員床に倒れている。



「!?」



すずは近くに倒れている婦人の顔を覗きこみ様子をみるが眠っているだけのようだ。

しかし体を揺すっても起きる気配がない。



「どうして起きないの…?」



周りを見渡すと壁にもたれ掛かって倒れているココにジョンガンが駆け寄り声をかけているが、反応がない。



「私、護衛さん達を呼んでくる!」


すずが立ち上がったその時

ゆっくりと正面の扉が開いた。



剣を持った黒装束の3人が会場へ入ってくる。

口元を布で隠していて表情が見えないが、真っ直ぐとすずの方へ歩いてくる。

すずの背筋が凍る。



「すず逃げて!!」


ジョンガンがすずの手を引っ張り叫ぶが、すずは足が竦んで動けない。



「男の方は?」


「消す」


黒装束の会話が聞こえた。


一人がジョンガンの方を向き剣を振り上げた。

咄嗟にすずはジョンガンを突き飛ばし庇った。



「ッッ」


「すずッ!!」


左腕に強烈な痛みが走る。

ドレスは赤く染まり、肘から血が滴り落ちる。

ジョンガンはすぐに左腕の傷を布で圧迫し言葉をかけるが、すずは声が出せない。

意識が朦朧としている。



予想外の行動に黒装束達は慌てていて一人が外に飛び出していった。



(ダメだ…このままじゃ…

ジョンガンが殺されちゃう…

私が守らなきゃ…)



「…この人を傷つけたら許さない…

呪ってやる…死んでやる…」



すずは意識を失った。



「すずッッ!!」


ジョンガンが倒れるすずを抱き止めたその時、何処からともなく2人の目の前に灰色のローブを着た銀髪の男性が現れた。

髪の長さは胸元まであり、薄っすらと光り輝いている。



黒装束達はその姿を見て跪いている。



ジョンガンはすずをギュッと抱き上げ逃げる体制をとると、布から血が滲み出し手が赤く染まる。


灰色のローブの男性はすずの腕へ手を伸ばし目を閉じると呪文を唱え始めた。


すずの左腕が白く光り輝くと、巻かれていた布が床に落ちた。

左腕の傷が跡形もなく消えている。



それを見てジョンガンは大きく息を吐くと

前かがみになりすずを強く抱き締めた。



「2人を連れて行く準備を」


「はいっ」


黒装束達が素早く動き始める。



指示されるがままジョンガンはすずを抱き抱え庭を移動する。

いるはずの大勢の護衛達の姿が1人も見えない。


それにこの得体の知れない銀髪の男性。

気を失ったままのすずを抱えて逃げ出すことは難しそうだった。


庭を抜け屋敷の敷地を出ると、小さい馬車が止まっていた。



ジョンガン

すず

銀髪の男性


3人を乗せた馬車はゆっくりと動き出す。













ブックマークが3件に増えました!!めちゃくちゃ嬉しくてやる気がでます!本当にありがとうございます!


片道45分の通勤や保育園児2人の子供を相手しながら、平日は自分よく小説書いてるな…諦めようかな…と心が折れそうになる時もあります。笑


だけど気持ちはすずと共に前向きに!

最後まで推しのために頑張ります!!


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