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秋風に吹かれて  作者: アオト★★
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第4話 「桐生茉莉」

第4話 「桐生茉莉」


次の日

今日は日曜日、朝起きて

昨日私は晴斗に電話をしたことを思い出した。でも、晴斗は電話に

昨日出なかった。

もう9月。だんだん紅葉が綺麗になってきたから、今度、旭と晴斗と私の三人で

高尾山にピクニックに行かないか晴斗に電話で聞きたかった。

旭には昨日帰りにもう了承済だ。あとは晴斗に聞くだけなんだけどなあ・・。

そんなことを考えたら目覚まし時計が9時半になっていた

「いっけない!!急がないとバイトに遅刻しちゃう!!」

そういい急いで身支度を整えて外に出た。

「う~ん、今日もいい天気。」そう言い私は急いで徒歩でバイト先に向かった


茉莉の自宅から高尾駅まで徒歩15分の距離・・。旭の自宅からは

20分かかる

旭と茉莉との自宅の距離は徒歩5分。ご近所さん。茉莉と

旭は小学校からの幼馴染、そして親友。

晴斗とは同じ小学校だったが幼馴染ではなかったがすぐに親友になった。

晴斗は中学校までは高尾駅周辺に住んでいた

高校へ入ってから北野に引っ越しした。でも三人の友情は変わらなかった。


高尾夢見野学園ではバイトが禁止されている。でも一部の学生は内緒で

バイトしていた・・・。

茉莉が通っているバイト先は高尾駅から徒歩5分にある

大型のショッピングセンター<ハッピーアース高尾>

そこの飲食店イタリアンでウエイトレスとして働いていた。

「遅くなりました。桐生仕事に入ります」

そう言ってバイトの制服に素早く着替えた茉莉は満面の笑みで

「いらっしゃいませ!ご注文はお決まりですか?」

早速入店してきた客にオーダーを取っていた。




バイト禁止なのにも関わらずアルバイトをする茉莉には

ある理由があった。茉莉の家は母子家庭で父親がいない。

父親は茉莉が小学6年生の時に交通事故で亡くなった。

それから母親は茉莉を必死で育てた。本当はお金がないので

茉莉は公立の中学、高校へ進もうと思っていたが

高尾夢見野学園に入学したのは茉莉に不自由な思いを

させないで伸び伸びとした環境の中で過ごさせてあげたい、

学生のうちは茉莉に苦労させたくないという母親の希望であった。

そんな母親の想いを無駄にしたくないという気持ちで茉莉は行きたかった

高尾夢見野学園に中高一貫で入学した。

そしてたくさん友達を作り充実した毎日を

送っていたが部活だけはしなかった。その部活の時間をバイトをして

少しでも母親に恩返ししたいと考えた。

そんなわけで今日も茉莉はバイトに励んでいた。

そんな茉莉の事情をもちろん親友である旭も晴斗も分かっていた

だからこそ茉莉の役に少しでも立ちたいと二人とも考えていた

茉莉はそんな二人の優しさにも感謝していた。

いつまでも三人で仲良くずっと一緒にいたいと思っていた。

だけど、茉莉は密かに晴斗に好意を寄せていた。

でも、晴斗との友情を考えるとこのままでいるのが

一番いいのかもしれないと思っていた


つづく


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