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詩になりたかった何か。

空虚の表面を塗り固めたものたちはその時々描く理想形だった

作者: Noisy

そこに崖があった。

といってもわたしは本物の崖というものをその視点で見たことはない。

けれども思い描くそれは紛れもなく崖だった。


わたしは崖の上にいるのだろう、おそらく。

視界には遥か下にあるはずの地上の果ての線と、端の見えない台地の上の平らがあった。

地上と台地の間の空を鷲か何か鳥が泳いでいる。


風はない。風とは何かその正体をわたしが意識しないせいだと思った。

ここはわたしの空想の中なのだ、ほとんど確実に。

雲が流れる世界に風がないのは不思議でもある。


足の裏の感触はない。この空想世界はわたしの視界なのだ。

視界の外の感触は見えないから、ここにはないのだ。

あるいは固定されたカメラの撮影するドキュメンタリーかもしれない。

何の変哲もない、何の脚色も無い、事実を記録しただけの。


しかし重力はあるような気がした。

わたしはそれから逃げないし、逃げられるとも思わない。ある種心地の良い束縛だ。

そこに留まる雲の粒子は重力に抗っているはずだ。

つまりそこにわたしの体は在るような気がした。


気付けばわたしはそこにいて、きっと気付けばそこにいないのだ。

思考の狭間に折り重なり絡み断続する(ひだ)の一つにここは成るのだ。


騒音が現実を連れてくる。

この音を理解しないものらがわたしをこの世界(ゆめ)(いざな)ったような気がした。

振れない視界が、ここもわたしの自由にならない世界だと教えてくる。

御高覧ありがとう存じます

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