4話
お読みいただきありがとうございます。
「涼起きなさい。鍵が開いてたから泥棒にでも入られたかと思って焦ったわよ」
眼をこすり起きる。
「ごめん母さん、ちょっとゆっくりしようとしてソファーで横になったら寝ちゃった」
寝起きでボケっとしながらそう答える。
「気をつけなさい。何が起こるかわからないんだから。学校は大丈夫なの?」
俺はフラフラ台所へ行き、アイスコーヒーを飲みながら答える。
「うん、クラスについては大丈夫そう。勉強もそこまで難しくはないと思う」
ならいいわ といい、母は夕飯の準備をしだした。
部屋に行き着替えて、軽く勉強でもしようかと思ったが、気が付いたらイベリスを起動していた。
「中毒性がやばい、というか意思が弱いな俺」
夕飯まで少しやるか、そういえば今日柊さんが明日からイベントとか言ってたな。
公式サイトを見ると、ドロップアイテムの確立アップ、イベント限定IDなどが書かれていた。
他にも色々書かれていたが、戦闘大好きな俺からしたらこのくらいか。
アイテムドロップか・・昨日の夕方野良の人に誘われて行ったIDから有用な装備が出るんだよな。
今日は勉強のみにして明日がっつり回るっていうのもアリかも。
スマホを落として顔にビンタをして気合を入れる。やるか!
この後は夕飯、風呂を終わらせ勉強に集中した。
◆
「おはよう父さん母さん」
昨日は早めに寝たのでいい寝起きだった。
「あらおはよう、今日は機嫌いいわね。」
「おはよう」
両親と朝の会話を少しして準備をする。二人共今日は休みのようだ。
「行ってきます。」
母に見送られ学校へ向かう。昔は近所友人と一緒に投稿していたが、今の学校にそんな仲いい人はいない。
学校に到着しクラスへ入る。
席に着こうかとみると俺の後ろの彼岸さんの席にまた女子が群がっていたので、近づけずどうするか迷っていると昨日話しかけてくれた庄司に声をかけられた。
「明日葉おいっす。今日もすげぇ事になってるな」
「庄司おはよう。凄い人気だな彼岸さん。」
「なんたって女性誌のメイン張る人気具合みたいだしな。俺の姉貴もファンみたいで昨日話したらサイン書いてくれって頼まれちまってなぁ」
庄司がカバンからサイン色紙をチラ見せしてきて少し笑った。
「あの軍団に突撃する勇気はあるのか?」
「いや、今のところそんな物は微塵に無い。クラスの女子の9割があそこにいるんだ。今行ったら確実に俺は逝くだろう」
「朝から下らんギャグかよw」
2人で笑っていると後ろから
「おはよー明日葉君、と桂君だったけ?」
柊秋菜、またこの人かクラス違うのによくこう毎日来るな・・・
「おお!柊さんおはようございます!」
「あはは、桂くん元気いいねw明日葉君も元気よくいこー!」
軽く無難に挨拶を返すと、またもや彼女はHRがあるからとささっと帰ってしまった。
「庄司って柊さん知ってるの?」
「名前だけは知ってるぞ、うちのクラスじゃないが、色々なクラス見て回ってる人みたいだな。まぁ可愛いし話しかけてくれるってことはその気があるのもか・・・?チャンスある?」
一人で盛り上がってる庄司をスルーしてると担任の苧環先生が入ってきた
「おし、HR始めるぞー席に着けー」
彼岸さんの周囲にいた女子も解散したので席に着く。
後ろから軽い溜息が出たのを聞いてしまった俺は大変だなと思いつつ教師の話を聞いた。
授業を聞いてると前の席から一枚のメモが回された。交流会ということで今日来れる人でカラオケに行くみたいだ。
流石に去年みたいな事は勘弁だし、友達も作りたいので〇をつけて後ろの彼岸さんへ回した。
昼食は庄司に誘われて食堂で一緒に食べる事にした。俺はカレー、庄司は海老天うどんだった。
「明日葉は今日の交流会来るのか?」
エビの尻尾だけ食べて身だけ残してる庄司に聞かれる。
「以前はAクラスにいて友達なんていなかったから、今年は楽しみたいし〇つけたよ」
「お前Aクラスにいたのか・・・。一人でいたから根暗かと思って躊躇したけど、彼岸さんの匂いとか聞けるかと思って声かけたら、全然根暗じゃなかったな」
確かにあの状況じゃただ困ってるだけのボッチだったかもしれないな
「そうなんだ、医者目指して調子乗ってAクラスを選んだらまったくついていけなくて死ぬ思いをしたよ」
「んでも普通より勉強は出来るんだよな、俺バカだから今度テスト勉強とかつきあってくれ!」
俺でいいならと思って返事をすると庄司の後ろにサンドイッチを持って彼岸さんが立っていた。
「興味ある話してるじゃん、あたしも混ぜてもらっていい?」
「いいぞいいぞー!って彼岸さん!?」
庄司がかなりビックリして止まってしまったので俺が返事をする。
「テスト勉強の話ってどんな面白いかな。空いてる席どうぞ。」
お邪魔しまーすとかいいなが座る彼岸さんだが、何故俺の隣に座る・・・
ふわっと柑橘系の香りが鼻をくすぐった。
「えええっと彼岸さんあのそこのえっとこれ」
「ただのクラスメイトじゃんwなんでそんなテンパってるの?」
彼岸さんが庄司をなだめるが肝心の本人は鞄からガサゴソやっている。
「庄司の姉さんがサイン欲しいらしくて、無理矢理持たされたらしいよ」
すると彼岸さんがサイン色紙を庄司の鞄から取り出しササっと書いた。
「これでいい?」
サインをもらった庄司がありがとうございます!ありがとうございます!と言って丁寧に色紙を鞄に入れる。
「で、そうそう明日葉君だよね。勉強私にも教えてもらえる?」
なにこのある意味罰ゲーム?みたいなのは・・・
「俺でいいなら教えれるけど、彼岸さんって以前ってどこいたの?」
「あたしモデル活動が忙しくて以前いってた学校は一度も行ってない。今も忙しいけど、通えなくはないから出来る範囲で教えて欲しいんだけど」
「おうおう明日葉、彼岸さんの頼みだし断れないよな!俺も混ざるからよろしくな!」
先日やったイケメンスマイル(イケメンではない)を庄司がお家芸のように見せる。
「それはいいんだけど場所とか、今日は交流会あるしまた後日でいいかな?連絡先とか交換すると便利なんだけど」
俺はOKだぜ!と庄司 構わないと返事する彼岸さん。3人で連絡先を交換する。庄司は手が震えていたが・・・
「ありがと、じゃああたしそろそろ戻るから」
残りのサンドイッチを食わえて彼岸さんはどこかに向かった。
「まるで嵐だな。」
「あんないい匂いの嵐なら俺は喜んで歓迎するぜ。お前の横に座るのは少し解せなかったが許すとしよう」
「はいはい、ありがとうございます」
彼岸さんがいなくなったあとは軽く話をしつつ昼食を終えた。
俺は久しぶりに連絡帳に入った人の名前で少し喜んだ。
そういえばエビの尻尾だけ食べていた庄司だが、気になったので聞いてみたら
好きな物は最後にたらふく食べたい。との事らしい。ショートケーキのイチゴか!と突っ込んだが、イチゴは先に食べる。何故なら~と力説をされた。
また明日投稿します