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悩み

作者: klon

事故のご遺族の方が不愉快に思われる内容です。お気をつけください。

久しぶりだな。

……そうかな、そんなに痩せたように見えるかい?

君の方は逆に太ったんじゃないのか?

はは……まぁ、座れよ。

実は今日君を読んだのはちょっとした悩みごとがあってね……。

申し訳ないが、アドバイスも何もいらないから聞いてはもらえないか。


中学にさ、内藤っていう少し暗い奴がいたのを覚えているか?

……あぁ。俺もあまり話した記憶も無いんだが、この間テレビを見て思い出したことがあってね……。

昔一度、君や内藤や他の友人と遊んだ事があってさ、なんかのきっかけで内藤と2人きりになった時に、いきなりあいつが大声で笑い出してさ……

「そうか!!これは完璧だ!!」

とか叫んで。

俺が呆気に取られてた時に内藤が俺の方振り向いてさ、

「君にも教えてあげよう!!僕の思い付いた完全犯罪を!!」

って……。

そう、犯罪……。

内容がさ……、


駅で人に声をかける。

「君、ちょっとした実験に力を貸してはもらえんかな。

実は我社で人間そっくりのアンドロイドを作成した。見てくれたまえ」

指差す方向にサラリーマンが電車を待っていた。

「あのアンドロイド、PJ-3155は人が事故に遭った時に身体のどこをどのように守れば無傷で済むのかを調べるように出来ておる。

そして今日の電車に撥ねられる実験のデータをとり、実用的な防具の作成に取り掛かれるのだが、何故か研究員が他に来ないのだ。

〇〇電鉄は9時代の電車で試すように言ったのだが、今は9:52。次に来る57分の電車でなんとかせんといかんのじゃ!

頼む!報酬は今後働かんでも良いほどの金をたっぷりやる!次の電車で奴を突き飛ばしてもらえんか!!……そうか!やってくれるか!!ありがたい!!

PJ-3155は人間と同じ重さに設計してあるが、無機物じゃからな、重く感じるかもしれん。じゃから見た目よりも強めに押してくれたまえ。

あと、状況をリアルにしたいから、電車が来る直前に事を起こしてくれ。

私は向かいのホームからこのパソコンにデータが入るのを確認したらすぐ行く」

そう言って、パソコン片手に階段を降りる。

向かいのホームから事を見終えたら姿を消せば良い。

本人は自ら錯乱するか、本当の事を言っても聞いてもらえんだろうって……


あぁ……この間ニュースでやってた突き飛ばし事件に似てるだろ?

「男に頼まれた」とか

「あいつは人形なんだ」とか……

あの時、内藤にきいたんだ、それを思い付いてどうするんだって……。

そしたらいきなり焦りだしてさ、

「そうか、君達には黙っていたんだが、実は今推理小説が書けないものか試していてね、今不完全だったトリックが完全体になったんだよ」

とか言っていた。

……うん、まぁ、確かに今なら

「完全犯罪でどうやって推理するのさ」って聞いてただろうけど、あの時は小説って聞くだけで寒気してたからな。

でさ、内藤に連絡とりたいけど繋がらないし……。

それにさ……何て言うんだろう、嫌な予感、がするんだよな……。

だってさ、あの事件に内藤が絡んでいるなら、俺はこのトリックを知っている奴として、あいつに殺されるような気がしてさ……。

あいつの事だから、事故にみえる事件だって思い付いてそうだしな……

……うーん…………でも……うん、やっぱ明日、警察に行ってくる。

犯人かもしれない奴を隠しているみたいで気持ち悪いからな。

……大丈夫だよな。

はぁ……やっぱ君に来てもらって良かったよ。スッキリした。

なんか飲んで行くか?いい?

そうか、そうだな、もう終電だ。

コンビニまでだけど送るよ。

……いや、本当に助かったよ。

俺だけだったら悩み死んでたよ、ははは。

んじゃ、本当にありがとう。

ここまでしか送れなくてすまない。

駅のホームではドアが開くまで端には寄るなよ、ははは……

それじゃあな!!

はぁ……やっぱりあいつに相談してよかったよ。

えーっとタバコとコーヒー……

……?……なんだ、あいつ……、不気味な格好だな……。

え?あぁ、480円ね、はいはい。

あんなのいるし、なんか店出にくいな……。

……。

「ありがとうございましたー」

目を合わさなければ……え、こっちに近づいてくる……!

俺に用事か…?

うっ!!あいつ、な、ナイフを持ってやがぁっ!!

グサッ!!

ぐうぅっ!!ぐうぅ…………どさっ……



「し…死んだ……!?え、だって……これってドッキリの企画で……え!?ま……まじで死んだの……!?」

コンビニの陰から男が去った。

読んでいただきありがとうございました。この物語は「都市伝説」をコンセプトに作りました。できることなら「この事を皆に知らせてほしい」まで書きたかったですが自粛しました。本当に都市伝説になったら……うれしいような悲しいような……。読み手が「君」である時の「俺」の独白感を演出したかったのですがいかがでしょうか??

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