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2-26 日常。執事のお仕事 -不満そして先生の秘密-

明日も17:00の投稿予定です。

それでは、本日もどうぞごゆっくりご覧下さい。

 森に入ってから10日間。

 俺達は毎日、ベースを中心に徐々に円状に範囲を広げるように、近辺の森でひたすら魔物を狩り続けていた。

 毎日毎日、日が昇る頃に起きては狩りを始め。

 日が沈む頃に戻って寝るの繰り返しだ。


 先生はいつも朝から何処かへと飛び立つと、俺達が返って来る頃辺りにひょっこりと戻って来た。

 いつも何をしているのかを聞いても、


「それでは、皆さん!今日も一日。頑張って下さいねぇ~」

 ※シンには聞こえていません。


「ああ!あんな所に生き別れの弟が!」

 ※シンには聞こえていません。


「おお!愛しのエトランゼが、吾輩を呼んでいる~!

 ※シンには聞こえていません。


 と、今まで通りはぐらかされるばかりなので。

 何回か聞いてからは、戻ってくればそれでOK!ぐらいに思うようになっていた。


 肝心のシンの成長だが、目まぐるしい成長速度だった。

 元々頭が良いから要領が良く、3日目が終わる頃には俺達との連携も完璧に取れる程の成長ぶり。

 それほど要領が良くても、基本のLV関係がまだまだおぼついて行かないので、そこを重点的に上げて行く為に連戦に継ぐ連戦を敷いていた。


 これには思わぬ俺達への恩恵もあり、数LV程度だが上げる事が出来た。


 初日にも思ったのだが、この森の生息している魔物は大体は把握しているつもりだったのだが。

 どうも最後に俺達が来た時と比べると様子が変わっていた。

 この森に生息している魔物の多くはLV5~10位がいい所だったのだが。

 その中に同種なのにLV25~30位の魔物が混ざっている事が増えているのだ。

 まだこの世界に来て日が浅い俺だが、その大半をこの森で過ごしている為。

 範囲は決まっているが、この森の事は熟知しているつもりだ。

 俺達が修行している頃は、絶対にこんなLVの魔物が出て来る事は無かったのだ。

 こんなことを考えているとシノン達の事が頭を()ぎる。

 また前のワイバーンみたいに迷惑かけてないだろうか・・・

 そろそろシンのLVの上がる速度も鈍って来たので、俺は次の狩りの場所を魔の森にする事に決めた。


「皆!この近辺で狩りをするのは今日で最後にする。明日からはこの森の奥地、魔の森へと狩場を広げようと思う。あそこに関しては何が生息しているかもわからない未開の地だ。噂では竜が住んでいるとか言う話もあるらしい。今晩は武器や防具と道具類の再点検を行って万全の状態で明日に望もう!」


 今回はリーダー役・・・リーダー役ってこんな感じで良いのかなぁ?


 その日の夜。

 いつもの様に交代で火の番をしていた。

「明日はとうとう『魔の森』かぁ。・・・先生。何かアドバイスとかないですかぁ?」


 俺は、焚火(たきび)の火を見つめながらボソッと呟く。


「君もなかなかやるようになってきましたねぇ」

「そうですね、先生とももう半年近くの付き合いになって来ていますからね。何となくですが最近分かるようになってきましたよ」


 小屋の影からスゥ~っと先生が飛んでくる。


「良い傾向じゃないですか。そうやって教え子は成長していくものです」

「そんなもんなんですかねぇ~。俺は最近、先生が何も教えてくれないのを不満に思っていますよ?」

「そうでしょうね。しかし、雛もいつまでも親鳥から餌を貰ってばかりじゃ大人になっても死んでしまうでしょう?」

「そりゃ、そうですが。俺はもっと先生に教えて貰いたいですよ」


 俺がぶう()れた顔で先生を見つめる。


「そんなに頼って貰えるのも中々悪くないんですがねぇ。今はこれ位しか教えて上げれる事がないんですよ」

「え?何も教えてくれてないじゃないですか?」

「いえ、ちゃんと教えてますよ?」

「分からないですよ~!ちゃんと教えて下さいよ~」

「ちゃんと『自分で生きて行く事』を教えているじゃないですか」


 先生はそう言うといつもの意地悪そうな笑顔で俺の頭をステッキでコツンとやった。


「また。こうやってゆっくりとバカな掛け合いが出来たら良いですね」

「イタッ!何言ってるんですか?いつもやってるじゃないですか。主に俺がいじめられてるだけみたいなモンですけど」

「・・・ほらバカな事言ってないで、立ち上がりなさい」


 先生は急に森の奥の暗がりを見つめだすと、もう一つ俺の頭をコツンとやる!


「イタッ!何回も何回も!まぁ、久しぶりだからなんだか嬉しいけど・・」


と。俺はバカな事を言いながら、言われた通りに立ち上がる。


「お迎えですよ。今回は吾輩も一緒なのだから、恥を掻く様な事の無いように!」


 俺は何が起こっているのか皆目わからず。

 困惑して、先生の見ている方を見る。


 すると。

 先生の言葉に呼応するように暗闇の奥の方から、こちらに向けて狐火が一つ。また一つ。とゆっくり道を作るように伸びて来る。


「先生。これって、もしかして・・・」

「そうですよ。妖精達がお迎えに来てくれたんですよ」


 道が足元まで伸びて来ると、奥から話し声が聞こえて来た。


「コラ、シノン!ちゃんとせんか!」

「だって親父~」

「だってもかかしも無い!」

「これこれ、そろそろ着くじゃよ。今回は竜帝様もおられるからちゃんとしなさいじゃよ」


 遠くから近づいてくる一団の声、ここから見えるだけでも1・2・3・・・全員いるんじゃないか?!しかも今うっすらと竜帝とか聞こえたけど。・・・だれが?


「お迎え、ご苦労様です」

「竜帝様!ご無沙汰しております。この度は久方ぶりにおいでになられるとの事で、村をあげて皆でお迎えに上がった次第でございます。じゃよ」


 いろいろと気になる(ツッコむ)所はあるが、やはり「じゃよ」だけは、隠しきれなかったか!ちょっと面白いじゃないか!コノヤロウ!


「もうその名前はやめて下さい。私がそうであった頃は遥か昔の話し。今は只のシドですよ」

「そうは言われましても、我々には大恩あるお方でございますじゃ」


 あ、村長が早々に諦めやがった!ナチュラルにじゃって言っちゃってるし!


「いやいや、先日も我が不肖がご迷惑をお掛けした様で。申し訳ない」

「そんな滅相もないですじゃ。逆に助けて頂いてしまい。ありがとうございましたじゃ!」

「マサト!」

「おお!シノンじゃないか!って、向こうの方から声が聞こえてたぞ」


 長々とした大人の挨拶に、痺れを切らせたシノンが俺に飛びついて来る。


「あっちゃあ!やっぱり聞こえちまってたかぁ」

「そら、言わんこっちゃない!マサト様、先日は本当にありがとうございました」

「いえいえ!僕は何も出来ていませんので、もうお気になさらないで下さい」


 こちらもシノンの親父さんが出て来た事で、挨拶合戦に突入する。

 すると、痺れを切らせた人がもう一人現れる。


「いつまで話しているつもりだい?」





今回も読んで頂き、ありがとうございましたm(_ _)m


そして!もしよろしければ、少しでも読み続けて行こう!

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今後も本作を書いていくモチベーションとなります。

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どんな事でも構いません。同時に感想もお待ちしております。少しでもコミュニケーションを取れればと

思っております。

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